第3話 大きいことへの弊害

あそこが大きいことに対して僕はコンプレックスをしばらく抱えていた。


それは周りから笑われたことだけが理由ではなかった。


例えばトイレの便座に座る時、大抵僕のあそこはトイレの便器の中に当たる。


家ならまだいいが、公衆トイレで当たると気持ちが悪いものだ。



僕は平常時から社会一般の勃起時のサイズなわけだから、平常時でも勃起していると勘違いされるのではないかとひやひやするのだ。


特にスリムフィットタイプのズボンや少しサイズが小さいズボンのうち、ベージュ、白、明るいグレー、緑などの明るめの色のズボンを履いていると、あそこが常にもっこりしていたり、場合によってははっきりとあそこの形が浮き彫りになっているのが目に見えて分かってしまう。


黒や紺なら意識しなければあまり気にならないものの、濃い色でもうっかり勃起してしまえばくっきりと形が分かってしまうのである。


特に10代なんて何も考えていなくても生理現象として硬くなってしまう。


コントロールできないのに気づいたら勃っていて、肉の棒が股間から膝にかけて伸びて形が丸分かり…なんてことは日常茶飯事。


誰にも見られていなければもちろん問題ないが、女性の前でそんなことになった時には申し訳なさと恥ずかしさとで心が押しつぶされそうになるものだ。


だから安易にスリムフィットタイプのズボンは履けないし、暗い色を選びがちになってしまう。



さらに大人になって女性と肉体関係を築くようになると、もちろん大きいのが好きと言ってくれた女性もたくさんいたが、痛いから嫌いと言われたり、不機嫌になった人もいた。


コンドームのサイズが合うものが少ないのも悩ましいものだ。


種類も少ないし売ってる店も限られている。


だから常備していないといざという時にできない、なんてことも度々あった。


だからこそ大きさへのコンプレックスがあったのだ。


ただ、先にも言ったように、大きくて良かったこともあるし、正直なところ長さはもっと欲しいとも思ってしまうこともある。


男心は実は複雑なのである。

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