第3話 大事な贈り物

あの日の星が遠い明かりとなり、夜の砂漠の旅を導く。仲間たちと歩く旅路。ひとつの物語の終わりの舞台の場所へ。長い冒険だった。ふたつの世界さえまたぐような。ヤシの木に月がかかる休息のオアシスで水浴びをする。草むらに秘められた視線。


心の草の中に詩の石がころがっている。文字が刻み込まれた石。文字の溝が淡い色に光る。まるで見つけられることを欲するように。突如として草むらに伸びる手。やっとあなたは見つけられたように、心の文字が記された石は手にとられた。


孤独な文字が火の縁を結ぶ。文字の火の光は星々の縁をつなぐ。熱に浮かれて喜ぶ星々。人は大きく腕を広げて夜空の星々の中の大事なそのひとつを抱きとめる。くちばしの長い鳥が山の向こうへと飛び去っていく。大事な贈り物を届けて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る