第6話 初めての裁縫

 今回の回で完結になります。


 ーーー


 

「助かりました。悪しきものに神殺しの剣で貫かれていたのです。これはお礼です」


「ありがとうございます」


 アリアドネの機織り機をもらった。

 大きい。

 元々針を取りにきたのもあってことさら大きく感じる。

 とりあえずしまおう。

 触れてアイテムボックスに収納しようと思うと、機織り機が形を変えて針になった。


「これは」


「私の半身は糸を扱うものであればいかなるものにも形を変えることができます。あなたは糸を紡ぐものの宿命にあるように感じます。是非とも使ってみてください」


 アリアドネの針のマスター版みたいなものってことでいいかな。

 これ一つで、服を作る以外にも色々とできるのか夢が広がるな。


「こんな豪勢なものを頂いて、何だか申し訳ないです。何か代わりに欲しいものってありますか?」


「欲しいもの? 私はすでに物欲から解放されています。あなたのその気持ちだけで十分満たされました」


 優しいなこの人。

 ゲームで侵入した瞬間に「曲者!」と怒号をあげて、糸で攻撃しているせいで余計優しく感じる。

 映画版ジャイアンと接しているようだ。


「女神様は優しい方なんですね。では私はこれで」


「あなたに祝福の加護を与えましょう。糸紡ぎ人の子に祝福を」


 必要なものも手に入れたので転移して離脱すると、別れ際にアリアドネが加護をくれた。

 めちゃくちゃサービスがいいなこの神様。


 ーーー


「ここ、この世界にも存在するんだ」


 何となしゲーム時代にホームとしていた拠点に転移して、しまったと思うとそっくりそのままこの世界にも存在したので驚かされる。


「ふう、落ち着くなあ」


 ベッドに腰を下ろして一心地つくと早速、針状態のアリアドネの機織り機とアラクネの糸で服を試しに作ってみることにする。

 作製しようと思うと、脳内でデザインが何にするかという選択肢が表示され、デフォルトで存在する無地の服を選択すると、目の前にガイドラインが表示され、それに向けて糸を這わせていく。

 1時間も経たないうちに服が形を成した。


「無地の服(星1)できた!」


 初めて作ったが形だけは完璧にできた。

 星1にしてはなかなかのものじゃないだろうか。


 

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転生したらデータ継承で強くてニューゲームしたので、最上級職『裁縫士』で憧れのスローライフを送りたいと思います 竜頭蛇 @ryutouhebi

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