共食い
遠藤
第1話
幼い頃からサバイバルは始まっている。
卵嚢から一歩外に出れば食うか食われるか。
この世界は同朋、兄弟達との食い合いだ。
僕らはカマキリ。
卵から出た瞬間、食うか食われるか。
兄弟は食べ物だ。
同朋は食べ物だ。
生き残るために仲間を食う。
手っ取り早く目の前の仲間を食う。
満たされたら身を隠せ。
生き残るために仲間から必死に逃げる。
せめて他の生物に食われるならまだいい。
仲間を食べて何が悪いの?
目の前に動くものは全て餌だ。
それでも本能には逆らえない。
美しく自分よりも大きなメスのカマキリがいた。
本能は揺れ動く。
食うか?子孫を残すのか?
自分の寿命も見えてくる。
食うのは子孫を残すまでの手段。
メスとの交尾を選ぶ。
生まれてきた目的を果たすのだ。
思い残すことも無くなったその時を待っていたかのようにムシャムシャとメスはオスの頭を食べる。
お前はオスではなくお腹の子たちの栄養だ。
そして、またカマキリとして生まれて来い。
私たちは抜けられないスパイラルの中、今日も仲間を食う。
滅びるまでやめられない快感だ。
因果は巡る。
滅びるまで因果は巡る。
共食い 遠藤 @endoTomorrow
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます