第46話 偽装

 ノアとケニーは、王都に到着したアルを伴い【レビド】の救援に向かう

【レビド】のラディアーガ卿は、一足先に『グラ・ディオルカ』軍を撃退

 ノア等は安堵した

 その頃王都では、地上部隊のライズ・デイルが、生存者の捜索をしていた

 ギルドの外観が、普段と違う事に違和感を感じ、ノートンに報告する


「ギルドの入り口が・・・ 無いのです・・・」


「!?」


「私たちは、利用したのが1回だけですが… このような外観では無かったと

 記憶してます・・・ ノートン様、いかがですか?」


「確かに… 入り口が無いな… 壁面は蔦が張っているが・・・」


 ノートンは、蔦が張った壁を指でなぞる


「…冷えている!? いや冷たい!!お前たち… 念の為触れるな!

【タカミ村】の冷凍庫のように冷たい!?

 危険かも知れないので・・・ここは良い、他を探してくれ!」


「はっ!」「はっ!」


 ノートンは、ティセの元へ向かった


「ティセ… ギルドの入り口がおかしいのだ・・・」


「おかしいって、どんなふうに?」


「入り口が無くなって、壁になってるのだ… その壁には蔦が張ってて…

 しかもその壁を触ると、冷凍庫のように冷たいのだ!」


「ちょっと、私も見てみたい… 行きます!」


 2人は、元ギルドがあった場所へ向かう


「あれ~!? ホントだ? 何で・・・?」


 ティセも壁を触ってみる


「冷た~!! 何これ??」


「なっ… 変だろ」


「・・・・・・私、フェレンレン様を連れてきます…

 ノートンさんの『馬』貸して下さい!!」


「ああ、連れて来てくれ!」


 ティセはノートンの『有翼のペガサス』を連れ、フェレンレンを迎えに行った

 1時間20分ほどで【ハルヨシ村】へ到着した


「フェレンレン様、ちょっと聞きたい事があるの・・・」


「聞きたい事って何だい?」


「ギルドの入り口が、何でか無くなってるの・・・

 その壁には蔦が張ってるんだけどね、その壁を触ってみると凄く冷たいの…

 意味が分からないんだけど、それって何なのかなって… 分かる?」


「ギルドに入り口が

 壁に蔦が張ってるけど、その壁を凄く冷たい…

 ふん~… じゃあ行こうか…」


「フェレンレン様、待って・・・ ウィッチも連れて行くわ!!」


「早くしてね・・・」


 ティセはフェレンレン、ウィッチと共に王都へ向かった

 到着した3人は、ノートンと合流しギルド前へ・・・


「これだね、ギルドのって…」


「はい… 在った筈の入り口が無くなっております・・・」


 フェレンレンは、壁を触る


「・・・ ふ~ん… なるほどね ワイバーン2頭と操者2名を

 呼んでくれない?」


「はい、ただいま・・・」


 ノートンは、ワイバーン隊の2人を呼びに行った

 戻って来たノートンは、エマとラナを連れて来た


「じゃあ、両端はあんたたちね 私は真ん中 ワイバーンはその間に・・・

 まずは、私とエマとラナ・・・だったか… 一斉にウォーターを唱えるよ

 良いかい? 壁に向かってだよ、せ~の ウォーター・・・」


「3人から放たれた『ウォーター』は、勢いよく壁に当たり、跳ね返るほど強い

 その水が壁を覆ってた『何か』を剥がしていき、本来のギルドの外観になっていく


「フェレンレン様、これはギルドの入り口を『偽装』していたのでしょうか?…」


「理由は分からないけど、そうみたいだね

 次は全員で一斉に『ファイア』だよ 爆発系じゃなくて、火炎系だよ 良いかい?

 せ~の『ファイアー』・・・」


 3人の『ファイア』と『ワイバーン』のブレスが、同時にギルドの門をあぶ

 この炎に晒されたならば、ものの数分で黒焦げになる筈が、この門は全然大丈夫だ


「では、みんなで開けてみようか・・・」


 その場にいる全員で、門を開けた・・・

 門を開けたそのすぐ後ろには、薄い氷の壁が若干残っていた

 フェレンレンはワイバーンにブレスを指示する

 氷が全て無くなり、いつもの風景に戻った!!


「中でまだ… 結界を張っている者がいるよ・・・ 気を付けて行こうか…」


 ワイバーン2頭を先頭に、ノートンとフェレンレンが続く・・・

 ギルド内部中央に、結界を張った人物と他6人が居た!

 ノートンが叫ぶ


「安心してくれ、私たちは助けにきた者だ・・・!」


 その声を聞いた6人は、皆安堵した表情でノートンを迎えた

 中央で結界を張ってた者は、精も根も尽き果てた様子で結界を閉じ、

 ノートンに対し一瞥をくれ、ボソッと呟いた・・・


「ちと… 遅いんじゃないかぁの~」


「宰相様!? ご無事でございましたか!!」


「お主たちが入り口を開けた時、人生終わったと思ったぞ・・・」


「【ハルヨシ村】にも攻め手が現れましたもので・・・

 これを打ち破り、こちらへ参りましたよ

 ノア様も私らも、もうヘトヘトでございますよ・・・」


「まぁ、そうじゃな… ありがたい!!

 皆に感謝申し上げるでな、本当にありがとう! こちらはどちらさんじゃ?」


「こちらは、伝説の勇者様のご一行で、大魔法使いのフェレンレン様でございます」


「何と・・・ 伝説の魔法使いである… フェレンレン様・・・ 凄くお若い…」


「まあ… 見た目はね 多分もうじき死ぬんだろうけどさ」


「またまた、ご冗談を仰る! 大魔法使いの御冗談じゃ!」


「・・・」


 ティセ達も中に入って来た


「おじいさん! 生きていたのね!! 良かったわ!!」


「いや… もう死ぬ寸前じゃよ… これは冗談じゃないぞ!!」


「・・・ でも何でこんな所に居たのよ??」


「まぁ… 色々とじゃよ 領主はどこじゃ?」


「ノア様は【レビド】の救援に向かいました」


「領主が戻ってから話そう・・・」


「エマ・ラナ、生存者を酒場まで頼む」


「はっ!」「はっ!」


 泡沫国宰相:テリーを含む7名が救助された・・・

 7名に食事と休養を取らせる為に、酒場に案内された


「我々が到着した頃には誰も居らず、王宮の地下牢にて『王妃様』を

 保護致しました・・・」


「何と!? 王妃様が地下牢にじゃと!?・・・」


「はい・・・ 只今、2階でお休み頂いております」


「王様はどうなされたのじゃ??」


「王様は… 行方は知れません・・・」


「そうか・・・ 無事でいてくれたら・・・」


「・・・」


 その頃【レビド】にてノアは・・・

 机を叩いて拒否するラディアーガ卿


「ダメだ!ダメだ! それは絶対にダメだ!」


「しかし… こうなってしまったからには、それしか手はございません!」


「ノアよ… くどいぞ! その話は仕舞じゃ!」


「いいえ! ここで決めておかねばなりません!」


「かと言ってな… そんな事を… できる訳なかろう!」


「ではこのままで… と行かぬのは、閣下もお分かりでございましょう?」


「・・・ いや、ダメだ! 最早… 私はこの時代に即してないのだよ…」


「何を仰られるか! そんな事はございません… 閣下」


「こんな事は、本来言いたくはないのだ…」


「何故、そのようにご自分を卑下なされるのか… 私には分かりません!」


「簡単な話だよ・・・」


「何と申されるのか・・・??」


「だから、これは簡単な話なんだよ・・・ お前が立てば良い!!!」


「!?」



 次回 第47話 王都編『本分』

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