第40話 憂慮

『有翼のユニコーン』を借りに来たティセに、昨日の出来事を話すノア

 訪ねて来た旅人に言われた 近々に『国が亡ぶ』と…


「ひと月も掛からないであろうかと・・・ この国が亡ぶまで」


「・・・『泡沫国』が亡ぶとな… 遅かれ早かれ、そうなる覚悟はしていた…

 そんな事をわざわざ教示してくれるのだから、偽りは無いのであろう・・・

 ・・・お主さえ良ければ、この地に留まり、進むべき路を示してくれないか?」


「私は旅人… 命あれば、機会があるやも知れません」


「そうか… 残念だが、機会があれば是非」


「それでは、失礼します  

 ……最後に… 北の地に、仄暗い星の輝きが見えます・・・

 これは捨て置いても可… 拾い上げれば尚可…と」


「・・・頭に入れておこう… ありがとう」


「いえ、失礼致しました」


 旅人『スカアハ』は【タカミ村】を後にした



「・・・・・・と言った訳でな… ティセの願いでも今回は・・・」


「… 分かりました 大丈夫です!!」


「そうか… 今回はティセの方で、何とかしてくれ」


「領主様、これは結構あるあるな話で、よくあるんですよ」


「こんな話が、良くあるのか?」


「重要な内容なのに、大事な事は言わないで、不安は煽るけど、結局助かるの

 この旅人が言ってるのは、多分本当の事 解決方法も知ってるくせに教えないの

 こんなもったいつけるこんなやり方、結構あるんですよね~

 だってね領主様、村の外には魔物がいて、国と国は戦争をしてるでしょ?

 そんな世の中なんだから、1つ間違えば『寿命』が無くなるとか、普通でしょ?

 1つの選択が『寿命を無くしたり、延ばしたり』って、

 この世界では当たり前の事でしょ?

 今回は、そんな不安な領主様に安心してもらう為に、敢えて借りませんけど、

 1つとても大事な事が分かったので、そっちの方が知れて良かったです」


「それは一体何だ?」


「この国が亡ぶまで、1ヶ月は掛からないって事です」


「私もティセに言ってたように、想定はしてた・・・

 だが、考えてた以上に早すぎるのがな… こんなに早いものかと…」


「明日かも知れないし、もうちょっと後かも… だけど準備はできます・・・

 私ちょっと… 出ます」


 ティセは兵舎を出て行った

【タカミ村】を出たティセは【ハルヨシ村】のフェレンレンを探す

 今日も45名の訓練をしてるはずなので、衛兵に尋ねる


「衛兵さん、フェレンレン様は、今日はどちらの森に向かいました?」


「ティセ、今日も早いな 本日は西の森に行ったよ」


「ホント、ありがとう」


 西の森へ向かう

 上空から見渡すと、魔法を使ってるであろう、騒がしい場所があったので急ぐ


「フェレンレン様、ここでしたか」


「こんな所に来るなんて珍しいね」


「実は・・・カクカクシカジカ・・・ っと言うワケなんですね・・・

 国が亡ぶまで、あとひと月もないらしんですね…

 私が思うに、ごにょごにょだとダメなんですね…

 逆にごにょごにょなら多分大丈夫なんですよ・・・

 それだと、どんなふうにしたら良いか、相談なんですけど・・・」


「なるほどね… だったら、幹部連中に言っときな・・・

 ごにょごにょだとね 奥方にも伝えた方がいいね

 坑道の連中を運ぶ事なら、ケニーたちごにょごにょに、

 ごにょごにょって話せば、それで良いんだよ」


「あ~あ、そうですね! 分かりました! ありがとうフェレンレン様!」


「ちょっとお待ち もう時間がないなら、この45人の訓練をしてる余裕は無いよ

 なので明日からは、空と陸の10人を鍛えておかないといけないねぇ

 魔法の基礎的な訓練なら、教えられる者は掃いて捨てるほどいるから、

 また募集でもして探しなさいな」


「はい、募集してみます ありがとう! エンジェルちゃんもお願いしますね」


 ティセは【ハルヨシ村】の幹部たち、そしてノア夫人『メルゼイン』にも、

 フェレンレンから授かった方法を伝えた

 ケニーを尋ね、送り迎えの件を伝えた


「・・・・・・と言う事で、ごにょごにょって言えば良いんですって」


「お嬢様… それで大丈夫でしょうか?」


「もう、2ヶ月ちょっとだもん 結構成長したでしょ?」


「まぁ、そうですね… 分かりました 今日からやらせてみます」


「ケニーさん、お願いしますね!」


 ティセは『王都』へ向かった

 到着後、ギルドで『送魔鏡』を使う


「人を雇うと言ってもねぇ~ 募集してから時間が掛かるからな~

 手っ取り早く決めないと… でもなー…

 ・・・まぁ、やってみるか! じゃあ… この子を・・・」


 1つ『護姻環』を買って、【ハルヨシ村】に戻る

【ハルヨシ村】に到着したティセは、【ハルヨシ村】の幹部を探す


「あっ! いたいた  レイリアンさん、こんにちは!」


「おっティセ、なんか用かい?」


「この子を着けて欲しいの」


「別に構わないけど」


「じゃあお願い! それでね、この子は45人の魔法の先生にして欲しいの

 ただ命令してくれれば良いから… 明日から毎朝、魔法の先生にするんだからね」


「ん、うん、分かったよ やっておくよ」


「じゃあね!」


【cost☆☆☆☆(4)ウィッチ(魔女)Lv10】 ×1人


 ティセは急いで【タカミ村】に戻る

【タカミ村】に到着したティセは、ノートンを探し見つける


「ノートンさん、実はね・・・その旅人が・・・・

 ・・・・・・そんなワケで領主様が、そんな感じなの

 フェレンレン様に相談したら、そんなこんなだから…

【ハルヨシ村】の幹部の人たちにも、そうするように言ったの

 だから、こちらの幹部の人にも同じようにして欲しいって伝えて」


「よし、分かった! ノア様以外、みんなに伝えておくよ」


「じゃあ、お願いします」


 こうして、旅人の言葉に惑うノアへの対策を終えた

 時は過ぎ、11月15日 午前中 【タカミ村】


「ノア様、【ジュリア】より、人足200名が到着致しました」


「おぉ、そうか! では迎えようか」


 ノアら幹部は、人足たちを出迎える為に、兵舎の外へ出た

【ジュリア】エミリーが待機していた


「ご領主様、募集されました、建築関連の人足200名をお連れ致しました」


「うむ、ご苦労であった  今回は、募集の期間が短かったにもかかわらず、

 どんな者でも期日に間に合うのは、大したものであるな」


「ありがとうございます それだけ、職や金銭を求める者が多いのでしょう」


「ただ200では、今でも足りないと思っているのだ・・・

 今後はもっと必要になるのだが、集められるであろうか?」


「今回のような経験者ですと、やはり数は限られてきます

 ですが、建築関連の経験者を求めなければ、容易いかと存じます」


「・・・そうか、では検討しておこう 今回も助かった

 いずれまた、世話になる その時はよろしく頼む!」


「ありがとうございました またのご利用お待ちしております ・・・・・・」


「どうかしたのか?」


「いいえ… 何もございません 失礼致します」


 エミリーに『違和感』の様なものを少し感じた、ノアだった



 次回 第41話『開通』

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