第38話 解放

 王都から【ハルヨシ村】へ戻って来たノアとティセ

 ティセはノアにとある質問を投げかけた


「領主様… いつも夜寝る時は『メルゼイン』様と一緒ですか?」


「なっ、、、、なんだいきなり・・・」


「だ・か・ら~、夜寝る時は『メルゼイン』様と一緒のベッドですか?」


「まぁそうだな… 結構大きいベッドだし… それがどうしたのだ!!」


「今日寝る前に、ごにょごにょす~るとごにょご~にょ…

 そのあいだに…ごにょごにょ~てじにゃ~にゃで、下にごにょごにょ…

 それで様子を見ましょう」


「それで… 諸々解決するのか??」


「何でもやってみないと、わかりませんよ!

 じゃあ、をお願いします 今日私は、泊まります 1階にいますから」


「・・・・・・」


 ノアとメルゼインが寝静まってから、数時間経過した午前3時を少し過ぎた頃


 カチャッ キシ… キシ… キシ… キシッ… キシッ…

 ううっ・・・ う~ん んんん・・・・ ううっ・・・ぐ~~う・・・

『メルゼイン』はうなされ、唸りだした しかし数分で収まった

 

「??????????」


 「今だ!!」


 大声が響いた瞬間、何人かの何者かが、謎の何かに飛び掛かり、

 持っていたロープで、足やら首を雁字搦めにする


「ご主人様!ご主人様!ワレワレが捕まえたよ!」


 大声と騒々しい物音で、寝ていた2人は跳ね起き、ティセは急いで2階へ上がる

 するとベッドの脇には『漆黒の黒い馬』が縛られてもがいていた


「お前は何者だ!!」


「私は・・・ナイトメア… こんな事をしておいて何だが… 許して欲しい・・・」


【cost☆☆☆(3)ナイトメア Lv3】 ×1頭


「一体… 何故こんな事をしたのか… 話してもらおうか、で…なければ殺すが」


「頼む!!! 本当に済まなかった… 私は…同情してしまったのだ…」


「何に同情したのだ!!」


「『グリーンアイズモンスター』 かつて抱いていた『恋心や愛情』が、

『思念』となって表れたのだ…『恋心や愛情』が『嫉妬』に変化して…

 仲むずまじい其方らを見て・・・

『嫉妬』に駆られた者が…せがむのでつい手を貸してしまった…

 其方ら2人が離れたら、殿方がその者の元に戻ってくると・・・

 私は其方が、その者の『思い人』でない事は分かっていたし、

 その者の勘違いだと言う事実も、知らせたが… そんな事は無いと認めなかった

 そんな『思念』が、ただ彷徨っていた『リャナンシー』に取り憑き…

 より人間らしく懇願するもので… つい同情してしまったのだ…」


「ねぇ!あなた! その『リャナンシー』ってどこにいるの?」


「ここより北東の森の中にいるが… その者に乱暴なマネはしないで欲しい…

 できるなら・・・心を… ただ解き放って欲しい・・・たのむ・・・」


「ティセ、我々はその方法を知らない…

 教会の神父か…フェレンレン様に聞いてみるか・・・」


「領主様とメルゼイン様がそれで良ければ、私は構いません」


「そうか…分かった! お前はどうだ?」


「話を聞いたら… 気の毒に思えてきたわ…

 私は… ナイトメアの願いを聞いてあげて・・・ それで何も無しにするわ」


「・・・フェレンレン様を起こしに行くか… こんな時間だが」


 ノアはフェレンレンを連れ、皆で『リャナンシー』の元へ向かった


「あそこにおるのが『リャナンシー』だ…」


 こちらに気付いた『リャナンシー』は、ノアの方に歩み寄る


「やっト…ワたシのもトニ… モどってキてくレたのネ… ウレしいわ」


「私はお主の『思い人』ではない!」


「あハハは… アなたは・・・ わタシの…ワたしのぉォォ・・・」


「・・・」


「カれおぉぉ… ッマドわすぅぅゥいっやヤやなあぁァオンなぁぁ

コロすぅぅゥ おおまエヲぉ こロすわァァーー」


『リャナンシー』は、メルゼインに飛び掛かった

ノアは素早く、後ろに回り込み、両腕を必死に抑える


「フェレンレン様、この者を解き放ってくれないか?」


「この『思念』は… よっぽど重症だね… いいよ、静かにお眠り」


 淡く緑に光る球体が、ふわふわと飛んで行き、彼女リャナンシーを優しく包む

 ノアは彼女リャナンシーの両腕を静かに離す

「やっと逢えたね」と、彼女リャナンシーは呟く

 ほんの少しだけ『顔』が柔らかくなった彼女リャナンシーは、

 何事も無かったように、とぼとぼと北の方へ歩いて行った・・・

 

 【cost   (0)グリーンアイズモンスター Lv7】思念体の為、使役不可

 【cost☆☆ (2)リャナンシー Lv4】 ×1人 北方面へ彷徨う


 ナイトメアが口を開く


 「の者を救ってくれた事は… 本当に感謝する… ありがとう

 そして私を許して欲しい 私を『眷属』にして欲しい…」


「あなたは優しいのね… 気に入ったわ 私と家族になりましょう」


「・・・・・・ありがとう… 忠誠を尽くそう」


「さぁ、みんな帰るよ 私はまた寝るからね」


 メルゼインは『ナイトメア』を『眷属』に加え、一同は村へ帰った

 部屋に戻った3人 ティセは捕り物の立役者を2人に紹介する


「領主様とメルゼイン様の間に寝ていたこの子は、『獏』って言うの」


 ティセがタオルケットをめくると、1頭の動物が寝ていた

【cost☆  (1)獏    Lv1】 ×1頭


「この『獏』は夢を食べるの だから『悪夢を見せるナイトメア』の、

『悪夢』を食べてもらったの この子がいたら『悪夢』はもう見ないわ」


「『夢』を食べる魔物がいるのか… 本当に不思議だな魔物とは…」


「この魔物はどうするんだ?」


「あら、良いじゃない!飼えば」


「では、君も登録しないといかんな!」


「もちろん登録しにいくわ!」


「それでこの4人組は『ホビット』君です」


【cost☆☆  (1)ホビット  Lv1】 ×4人


「この4人組はどうするのだ?」


「良いじゃない、うちの子にすれば!」


「これも君の『眷属』にしてくれよな!」


「だから分かったってば! 家の子供が増えました… 孫か… まだ早いな」


「ティセも家の子になりなさい!」


「・・・・・・」


 こうして『悪夢』最終日の夜は明けた

 11月3日 王都で登録を完了した兵士50名の休みが明けた

 45名の一般兵士は、午前:いずれかの森で、一般的な基礎魔法を中心に

 選抜5名の兵士は『護姻環』を装着した状態で午後:

『向こう側』での特別授業を、ケニーからフェレンレンに指導を変更した

 魔物込みのフォーメーションや連携、トラップ等 初日からかなり飛ばす内容だ


 夕刻、ティセが様子を見にきた


「フェレンレン様、今日は初日でしたけど、午前の一般の兵士さんは、

 今月の末だとどのくらいLV上がりそうですか?」


「午前のか… 上で20行くかどうか… 下で15ってとこかな?」


「その兵士さんたちは、来月も『魔法使い』のままが良いですか?」


「コストを増やしたいなら、『戦士』か『僧侶』がおすすめだよ」


「ふ~ん… じゃあ変えた方が良いか… そしたら、選抜の5人は?」


「25前後じゃないかな?」


「変えた方が良い?」


「もちろん… どっちか」


「フェレンレン様にお願いがあって…」


「そのだろ… 良いよ 弟子は一度とった事があるから」


「そのお弟子さんは、『ペルン』さんですか?」


「何で知ってるの?」


「(ブバッ… ベフフクククぅーーーー当たった!?ーーーググ)

 いえ、なんか~ そんな話を聞いたような観たような・・・ブブ」


「・・・・・・」


「この子を、お世話係と弟子として、鍛えてあげて下さい お願いします」


「うん、分かった… このの名前は?」


「『エンジェルちゃん』です!」


「そのまんまじゃないの」


「はい! それでいいんです」


【cost☆25(25)エンジェルちゃん Lv1】 ×1人



 次回 第39話『旅人』

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