第35話 悪夢

 10月31日 【ハルヨシ村】兵舎 午前10:00

 現在2つの村に分かれている役付き(幹部)が、久々に一堂に会した

【タカミ村】の拡張工事、坑道の掘削、他国の侵攻に備える準備等、

 問題が山積する状況で、ティセも加わり会議が始まった


「・・・と言う訳で、一度全体を見直してみる事となった

『坑道』に関しては、開始から本日で36日目

 ノッカーを使役する10名はそのままで作業を続行

 護衛の兵士は減らすが、代わりの護衛として『鬼』を持たせ、

 護衛と砕かれた石・岩の運び出しをやってもらう事にした

【タカミ村】の拡張工事は、先般『大工のシーク』が棟梁となり、

 作業の効率は格段に上がった 宰相様が手配した人夫500名はそのまま継続

【ハルヨシ村】から派遣していた、役付き(幹部)を除いた一般兵士90名は、

【タカミ村】の衛兵として若干名を残し、【ハルヨシ村】に戻す

 また、拡張工事に従事していた領民200名は、御役御免とする

【ジュリア】か『商会』にて、建築関係に明るい人足を、新たに雇い入れる

 人数に関してはこちらで精査する

 坑道手前の森を伐採した者への、賃金の支払いを始める

 他国からの侵攻に備える準備だが、ティセから説明がある では、ティセ…」


「はい、ティセです… よろしくお願いします

 兵士さんの中で、ギルドに登録していない人は、順番に登録してもらいます

 第一に、登録する事が備える事の第一歩です

 登録しておけば、通常の業務でもLVは上がっていく筈ですから

 明日登録する選抜の5人は『商人』にして下さい すぐに『魔法使い』に変えます

 他の兵士さんは、最初から『魔法使い』にして下さい

 明日『魔法使い』の先生が来ます、50人は明々後日からお勉強してもらいます


 第二に、『護姻環』の整頓です

 魔物以外だと『馬』は、複数の人が持ってると思います

 このばらけている『馬』を、特定の人でまとめて持ってもらいますが、

 基本的に『馬』は移動に時間が掛かるので、移動が早い魔物に徐々に替えたいです

 馬車も時には必要だろうし、必要分残したら残りは違う魔物に交代です

 それで指が空く人が、何人も増えます


 第三は、魔物は1人で10人が理想ですが、お金やコストの問題もあるので、

 最初は1人に『鬼』×4と『アラクネー』×1の、6人1組でやってもらいます

 この組み合わせだと、大体30万4千ヨーです

『鬼』は戦闘が強いです 『アラクネー』も戦闘は強いですが、

 罠を張ったり待ち伏せしたり、捕らえる事も上手です

 兵士さんも入れて6人1組を、最低5組以上作りたいと思います

 5組だと総額、152万ヨーになりますが、『鬼』20個は既に買ってます

 なので『アラクネー』5個で140万ヨーです


 第四に、『ワイバーン隊』は現在、1人で2頭の『ワイバーン』ですが、

 地上戦向きな魔物を加えても良いかなって考えてますが、これは後々…


 最後に、『狩り』で仕事をしている『鬼』たちも、もしもの時は使えますが、

 できれば色んな事は同時にやらせないようにしたいです


 ここまでやれたら少し安心ですが、もっとお金に余裕が出たら、

 更に強い魔物を買えたら良いなって思います 以上ティセでした!」


「皆、聞いてもらった通り、兵士全員に登録してもらうつもりだ

 単純な解釈だが、我が領内の兵士全員がもし10の魔物を使役したら、

 それだけで約200余りの戦力が、凡そ2200になる訳だ

 そこまでとは言わないが、何倍にも増える事には違いない

 ここにいるティセが、あらゆる金策で頑張ってくれた事で、

 それをある程度可能にしてくれた

 国と国との争いが、今後無くなるとは到底思えないが、

 せめて対抗しうる力を持つ事が、我々の家族や領民を守り、

 幸せな日々を送るに至る、第一歩だ!


 通常は毎月8日に換金していたが、明日より毎月一日に変更する

 毎月と言ったが、これは換金率によるので、換金しない場合も勿論ある


 先にティセが言ったが、今回ノートンが選抜した5名を含めた、

 未登録の者合計50名は、明日王都で登録してもらう

 登録が済んだなら、明日一日は大いに王都で楽しんでもらう

 50名に50万ヨー つまり各自1万ヨーを支給する

 そして明後日に村に戻ったらその日も休みで構わない

 つまり移動を挟んで2日休みだ

 明日早く出発し、明後日も早く戻れば、ゆっくりできるぞ

 それら以外の未登録者は、再来月に同様の休みを取らすので安心してくれ

 役付き(幹部)と登録済の一部の者は、更にその後になってしまうが、

 少し我慢して欲しい

 ノートンは、両方の村から『乱玉』と『素材』を回収して、

【王都】へ前乗りしてくれ 私は、明日の昼前に向かう 

 そうそう、革職人のエディーに、素材で使う物があれば渡してくれ

【タカミ村】の分のみで構わない

 セルトーアは、森の伐採に従事した者に、賃金を渡してくれ

 アズディニは、レイリアン達が王都より戻ったら、馬の件を頼む

 フォランダは、岩の運搬用荷車を2台、『鬼』が使えるように作ってくれ

 レイリアンは、未登録者45名の決定と、選抜5名を加えた計50名の引率

 グレーイズは、次回の登録予定者を、来月中に50名決めておいてくれ

 ハルザートは、明日【ジュリア】より到着する『魔法使い』の御仁を、

 恐らく【タカミ村】へ向かうであろうから、こちらに留めておいてくれ

 それ以外の者は、通常の業務をこなしてくれ 皆頼んだぞ、以上だ」


「はっ!」×20


 こうして会議は終わった・・・ 各々仕事に取り掛かった


「ティセ、『メルゼイン』に会ってやってくれないか?」


「喜んで、でも会議の後会いに行く予定でしたよ」


「そうだったのか… では行こうか!」


 2人は『メルゼイン』の元へ向かった


「こんにちは~、メルゼイン様!」


 ノア夫人:メルゼイン


「まぁ~! ティセ! 良く来たわね、さぁこちらへ」


「今日はこちらで会議があったので、領主様が呼んでくれたので」


「あら、そうだったのね 最近は全然来てくれなくて… 冷たいじゃない!」


「えへへ、ごめんなさい!

 領主様が色々我儘聞いてくれるので、試したい事何でもやっちゃうんです…

 ところで、最近お体の方はどうですか? 今日は少し調子は良さそうですけど?」


「もう3年も経ったとは言え、少しは慣れたと言いたいところですけどね・・・

 それでも『主人うちのひと』が【タカミ村】へ行ってからかしら?

『悪夢』を全く見なくなったの…」


「おいおい、それでは私が『いない方』が良いのではないか!


「ごめんなさい… そんなつもりはございませんが、結果的にそうなんですよ…」


「??『悪夢』を見るんですか? 『悪夢』を見るから具合が悪いのですか?」


「関係があるかは分かりませんが、でも見ない時は調子がとても良いの」


「・・・じゃあ、ちょっと試してみましょうか!」



 第36話へ続く

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