第34話 推論

 王都で逃げ出す一家と話をしたティセは【タカミ村】へ戻った

 聞いた話をノアに知らせる


「・・・それで私に、ぺらぺらぺらぺーらと、おじいさんが言ったの、

 あんまり【トーラ】に来ない方が良いって」


「兵士も噂してる…か… しかし北は閣下が守ってる、

 西は暫く動きは無いが・・・ その民が、単純に王国を見限っただけなのか…

 それだけでは、判断できないな」


「それでこれが『世界の図面』です」


「これが世界か・・・ ここが【王都】【ハルヨシ村】【タカミ村】

 この領域より東も南も、図面が無い 

 現状で『不越山ふえつのやまの向こう側』が図面に無い事に少し安心した

 南には国が無いのか… 2つ確認している村も、図面には無い」


「領主様、私が考えたのは【ジュリア】も調べてるだろうけど、

『商会』も、色んな報告してるんじゃないかなぁって… 

 おじいさんが言ってたでしょ、【ジュリア】が『送魔鏡』を売り出した時に、

 全ての国が買ったって・・・

『送魔鏡』を買ったら、高い物だから普通『王都』に置くでしょ

 そしたら『送魔鏡』を設置して『登録』する訳でしょ?

 それで国の情報を【ジュリア】で把握できるから…

 私もそうだったけど、ギルドに登録する時に『主な所在地』って書かされたから

 それで『王都』以外の村も知られるから

『送魔鏡』を使うってなったら、普通はに、

 行くでしょ?

 仮に『王都』以外の村人が『送魔鏡』に登録してない場合でも、

【ジュリア】の馬車や『商会』の荷物は、他の国に襲われないし、

 移動の途中で通りがかった街や村の情報も手に入るでしょ?

『取引が無くてそこまで行かない』から、南の村が無いんだと思うの」


「そうか!なるどな… しかしそうなると、『向こう側』に『送魔鏡』を置けば、

 存在も情報も筒抜けになってしまうな・・・」


「そうなの… だけど置かない訳にはいかないでしょ?

 だからは、やりようが無いから諦めて、

 何かあっても対処できる様に、準備するしか無いと思うの」


「できるだけ隠しておきたかったが、致し方ないか…

 だが、前もって備えられるのならば、それで良しとしよう

 それで北部だが、ビザルラス城の【リレイン】と、その南【アイルザット】は、

『グラ・ディオルカ』の領地に、既になっている…」


「領主様、私さっき、念の為に『鬼』を20個買って来たの

 攻めるのも守るのも、『備え』があれば、何も無いより選択肢が増えるから

『鬼』はコスト3だから、登録してる人だったらぱっと着けて、呼べるでしょ?

 でもね、それだけだと少しだけ不安だから、この子を紹介するわ」


 そう言うとティセは『護姻環』を着け、魔物が現れた


【cost ☆15 (15)???? Lv1】 ×1


「ノートンさん、スコットさんを呼んで欲しいの

 要らない麻袋を1つ持ってくるように言って」


「あぁ、分かった」


 ノートンは、スコットを呼びに行った


「ティセ、その者は魔物なのか?? 人間の女性ではないのか?」


「領主様、まあまあ、お待ちくだされ このティセ、実験を何度もしてますれば…」


 しばらくして、ノートン、スコットは到着した


「じゃあスコットさん、その麻袋の底を切って、頭から被って胴体の所で留めておいて欲しいの・・・ そうそう、そうそれで大丈夫 両肘は上げて そうそう」


 ティセは魔物に耳打ちすると頷き、アレの巨大な形に変身した

 ノアら一同は息を呑んだ 『鬼』や『ワイバーン』でもそうだったが・・・

 スコットは後に『見た事も聞いた事もない走馬灯らしき物を見た』と証言した


 すると魔物は、器用にお尻をスコットに向け、何かを発射!

 すると麻袋に命中したスコットは、見事に絡めとられて半泣きの状態だ


「ティセ~助けてくれ~ 頼むよ~」


「よし!降ろしてあげて」


 すると魔物は何かを切り離した 床に落ちるスコット 唖然とするみんな


「領主様、この子は『アラクネー』って言うの よろしくね」


【cost ☆15 (15)アラクネー Lv1】 ×1


「ある程度以上、魔物に『知性』があると、人間に擬態へんしんできるんだって」

 この子を、あと5人手に入れようと思うんだけど… 良いかなぁ?」


「あ…あぁ、勿論だ・・・ これは心強い・・・」


「その子たちを面倒みる兵士さんを、5人集めてもらって、

 コストは15だから… この前話した『商人のLV上げ』でLV上げれば、

 残りコスト15なんて多分1回で上がると思うのね」


「そうか・・・ では次の換金で5人を売主にして、LVを上げさせよう

 商人にして換金LV上げ→上がったら他の職にする、で良いな」


「ノートン、換金までに、誰か5人選んでおいてくれないか?」


「はっ!承知致しました」


「領主様、この話とは関係ないんだけど、良いかなぁ?」


「何だ、言ってみろ」


「じゃあ、畑に行きましょう」


「畑か、では行こうか」


 ティセとノアは、東の畑に向かった


「おぉ、ティセ・・・ これは凄いな・・・!」


「そうでしょ!鳥小屋です」


「ここに何羽いるのだ?」


「確か… 26羽かな?」


「この界隈ちいきは、鳥を飼う習慣はないのだ

 卵が欲しい場合は、森に入って採るのでな」


「このように鳥を飼う事を『養鶏』って言うの(パパに聞いたの)

 それで毎日卵を頂くって仕組みなの こっちに来て」


 鶏舎とりごや裏の壁が一部分『引き出しほどの厚み』で、

 出っ張りがあり、その上部に被さってる蓋を空けると、数十個の卵があった


「この子たちが産んだ卵は、裏のここに流れて来るように、

 ほんの少しだけ傾斜をつけてるの

 だからここから取り出せるようにしたの

 だけど、違う場所で生んじゃう事も良くあるから、

 よく見ないと踏んじゃうから、気を付けてね!」


「そう言えば、ある時『狩り』について行ってたが、これの為か?」


「そうなの ここにいる鳥は3種類いて、

『ウェイキーバード』『ゲレロチャボ』『シルキルキー』

 この子らは初代の親だから、生まれてからどのくらい経ってるか分からないけど、

 次の世代は、雛から3か月くらいで食用にするの 親鳥は1年以内かな

 正直分かんないけど、そんな感じ」


「そんなに早く食べるのはどうしてだ?」


「若い鳥は、肉が柔らかく美味しいけど、歳をとると肉が固くて美味しくないって」


「そうなのか… 固い物しか食べた事が無いから、鳥とはそんな物だと思ってたぞ」


「領主様が、この前食べられなかった『鳥の唐揚げ』を、また作りますよ」


「おぉ、そうだ! それと『ぽてとさらだ』だったか?それも頼むな」


「分かりました! 近い内に作りましょう! あっ!あと言い忘れてた事が・・・」


「何だ?言ってみろ」


「【ジュリア】の『エミリー』さんに、聞きたい事が色々あったの

 だけど、ギルドでも受け付けてないって予想通り言われたから、

 もう1人雇う事になりました 次は『魔法使い』の方です

 兵士さんたちに、修行してもらいましょう

 11月1日に来ますので、お願いしますね」


「・・・・・・」



 次回 第35話『悪夢』

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