第31話 始動

 とある日の朝、ティセが畑に行く途中で大工のシークに声を掛けられた

 とっても不満そうだ


「おはよう、お嬢さん!」


「シークさん、おはよう!」


「お嬢さん、ちょっと良いかい? 

 ここ4,5日、拡張工事を見てるんだけどね、こりゃあイカンちゅうか…

 見てられんちゅうか… 仕事がなってねぇんですね

 でもってあっしが棟梁として指導っちゅうかやりたいんだけどね

 8日以降あっしの仕事って何かあるんかな?」


「あ~… 急ぎの仕事は無いんで、お願いしちゃって良いですか?」


「がってんだ!任せてくれ」


 人夫・兵士・村人の人たちに、シークを紹介した

 特別な注文があるまでは、シークが棟梁として現場を回していく


「じゃあシークさん、よろしくね!」


「あいよー」


 ティセが家の方に向かうと途中で、酒造ジーナ 料理人ケン 植物担当ミナ

 3人と出くわした  植物担当ミナが切り出す


「あっ、みなさんおはよう!」


「お嬢様、おはようございます お嬢様にお願いがありまして、

 私たち3人で森を散策ついでに採取したいのですが、よろしいでしょうか?」


「あ~採取ですか… ちょっと待ってて下さいね」


 5分後、ティセは本日休みジェイソン隊の1人『鬼』を連れてきた


「みなさん、森はちょっと危ないので、こちらの『鬼』君を連れてって下さい

 凄い強いから、みんなを守ってくれます」


 3人は引いている・・・

 構わずにティセは『鬼』に説明する


「いい、あなたはこの3人を魔物から守ってね  あっ、ちょっと待ってね

 ケンさん、何かお肉獲ります?」


「ええーと…獲れたら何でも良いです・・・」


「お肉ちょっと獲ってあげて、人間用 あなたのも何個か獲って良いからね

 あっあと、帰りたくなったり、道に迷ったら、『鬼』に聞いて下さい」


『鬼』はコクリと頷いた


 ティセは『鬼』に可愛いかごを渡し、4人を見送った


 ティセは家に帰る途中、金属加工のセイン、鋳物師のキッド

 陶工のザック、ガラス職人のマリーの4人と出くわした


「お嬢さん探してました 我々4人で岩盤とか砂や粘土見たいんだけど、

 どこか良いところあるかな?」


「あ~、岩盤とか砂や粘土… ちょっと待っててね」


 ティセは、スタンに馬車を頼み、乗って来た


「えーと、今…坑道を掘ってる現場があります

 岩盤はそこで多分 砂は…1つ候補があるけど、ちょっと先の話しかな?

 粘土は正直分からないです

 今回は坑道までご案内します 馬車に乗って下さーい」


「ではスタンさん、お願いします」


 ティセは家に帰ろうとしたら、木工職人のジョージと出くわした


「あっ!お嬢様、探してました!」


「ジョージさん、おはよう!」


「拡張工事で使ってる木材の端材があれば、大量に欲しいんだけど良いかな?」


「あ~端材ね… 拡張工事の現場に行って、好きなだけ持って行って良いですよ」


「ほんと? ありがとう では行ってくるね」


「は~い」


 ティセは家に帰ろうとした途中で、機織り職人のシュリと出くわした


「お嬢さん、おはよう」


「あっ、シュリさん おはよう!」


「どこかに糸の良い素材が無いかしら?」


「一応目を付けてる物はあるんですけど、まだ時間が掛かるかなぁ?」


「あら、残念 では手持ちのでやりますね」


「お願いします~」


 ティセはやっと家に帰れた

しかし【ジュリア】から 革職人:エディー 染物師:モレノ

2人が馬車で到着したので出迎えた

ティセは『エミリー』に職人道具・設備について聞いたところ

『ワイワイ商会』を紹介してもらった


 そして3日後 10月8日

 今日は王都で修行している4人とギルドに集う日

 解散からちょうど2ヶ月が経った


 ティセ、ノア、ノートンの3人は、『乱玉』『素材』を持ち

 途中【ハルヨシ村】の『乱玉』『素材』を回収し、王都に到着した


「おぉ、ケニー既に来ておったか!」


「はっ!お待ちしておりました」


「して、4人は総LV40は達成できたのか?」


「はっ!先ほど確認は完了しております」


「4人も本当にご苦労であった、改めて感謝する

 休みを与えたいが、状況も差し迫っている

 もう少し我慢して欲しい」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」


「ケニー、良きところで休ませてやってくれ」


「はっ!畏まりました」


「これよりティセと換金してくるので、皆はここで待機しててくれ

 ノートンは荷物を運んでくれ」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」


 ノアと、ノートン、ティセは、ギルド隣の買取りセンターへ入るところで・・・


「領主様、ちょっと確認と試したい事があるの

 すぐ終わるから、換金は待ってて」


「あぁ、分かった」


 ティセは走ってギルドへ入り、『送魔鏡』でLVを確認し、

 ノアの元へ向かった


「はい、お待たせしました 行きましょう」


 中に入ると、ノートンは『乱玉』『素材』を全て置いた

 窓口の女性が7番の札をノートンに渡す


「少々お待ち下さい」


 ティセはノアに話しかける


「領主様、さっき言った試したい事があるの

 今日の売主は私にしてもらいたいの」


「別に構わんが・・・ 良いぞ」


「ありがとう!」


「ノートン、今日持ってきた分は、『乱玉』が両方で4か月分

『素材』が前回【タカミ村】の分は1か月分換金したので、

 両方で3か月分で間違いないな?」


「はっ!左様でございます」


「7番でお待ちのお客様、3番の窓口までお越しください」


「ティセ、頼む」


「はい!」


 ティセは窓口に向かう


 本日の『乱玉』の買取り倍率は『100ヨーが2.5』『500ヨーが2.7倍』となっておりますが、よろしいでしょうか?」


「はい、はい、売ります!」


「それでは少々お待ちください」


 ティセはノアの所へ戻る


「領主様、今日の換金の額、聞いた方が良いですよ

 きっとブルっとしちゃうから」


「そうか、では一緒に行こうか」


「7番でお待ちのお客様、3番の窓口までお越しください」


「はい、7番です」


「『乱玉』31755個(内100ヨー25404個 500ヨー6360個)

 その中で、100ヨー28個 500ヨー7個が、ヒビ又は破損の為、買取り不可

 100ヨー25376個 こちらが2.5倍で、6,344,000ヨーになります

 500ヨー 6353個 こちらが2.7倍で、8,576,550ヨーとなります

『素材』が『332,720ヨー』ですので、

 合計15,253,270ヨーとなりますが、よろしいでしょうか?」


「いっせんごひゃくまんだと!!」


「ねっ、ブルった?」


「・・・・・・」


「はい!よろしいです!!」


「お支払いは、現金ですか? 貯めますか?」


「領主様、どうしますか?」


「それだけの現金は流石に怖いな・・・

 少し聞きたいのだが良いか?」


「はい、どうぞ」


「現金と貯める両方で、金額の指定はできるのだろうか?」


「はい!可能でございますよ」


「貯めた物を、他の者に移す事はできるか?」


「はい!それもこの窓口で可能でございます 」


「領主様、一旦私に全部貯めさせて これが試したい事なの」


「… 分かった では、一旦この子に全額貯めてくれ」


「畏まりました それでは紋章をお出しください」


 ティセは右手を出した 何かを押し当て


「はいっ 完了致しました ありがとうございました

 こちらが明細です」


 3人はギルド前に行く


「皆、中に入ってくれ」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」


 全員で中に入る


「これからティセと、必要な物を購入する 悪いがもう少し待ってくれ」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」


 ティセとノアは『送魔鏡』を使う


「ティセ、まずは『ワイバーン』だ」


「えーと、『ワイバーン』わっと… ええー これね これを8個」ポチ


「次に商会だ、職人道具一式なんでも揃う『ワイワイ商会』だ」


「えーと、『ワイワイ商会』は… これね

 で、メモを受付けに渡す・・・はい 終わりました」


「これで終わりだな」


「ちょっと待って下さい 私のLVを調べます・・・やっぱり(ニヤッ)

 それともうちょっと買う物があります

 これこれこれこれこれこれこれこれこれこれ、ハイ終わり

 受付けでメモを渡して、買い物の決済をします」


「ああ、頼む」


 ティセは受付けで商会への発注のメモを渡し、買った『護姻環』を受け取る

 決済を済ませたが、商会への発注分は直接の支払いだった 全員で表へ出る


「皆は先に酒場へ行っててくれ、私とティセは今一度買取りセンターへ行く」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」


 再び買取りセンターへ訪れたティセとノア


「すまんが、貯めた金を移して、少し現金化したいのだが」


「はい!どのように致しましょう?」


「この子から私に1千万ヨーを移してくれ そしてこの子から100万ヨーを引き出して現金化 全て1000ヨーで頼む以上だ」


「少々お待ちください」


「ティセ、残りは持ってなさい」


「ありがとうございます!」


「お待たせ致しました それではお二人共に紋章をお出し下さい

 …はい、完了致しました こちらが現金で100万ヨー 全て1000ヨーでございます

 ありがとうございました!」


 2人は酒場へ向かう


「みんな好きな物を頼んでくれ」


 全員が食べ終わった後、ティセは『護姻環』を8個出した


「ケニー、訓練の方はどうだ?」


「大分良いかと存じます」


「それでは4人に、ティセから話がある 聞いてくれ」


「まず、4人の兵士さんお疲れ様です 皆さんに1か月で残りコスト40を

 やってもらいました

 ここにある『護姻環』は『ワイバーン』と言う魔物です

 皆さんはこれを2個着けて、『ワイバーン』の訓練をしてもらいます


 ティセは2個ずつ配る


「ケニーさんは皆さんより先に、2匹の『ワイバーン』を訓練しています

 ですのでこれから1か月で習得して下さいね みなさん、お名前は?」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」

「私はライルです」「私はギースです」

「私はエマと申します」「私はラナです」


「私からは以上です」


「ケニー、話したい事がある その4人に早速『ワイバーン』に乗ってもらい、

【ハルヨシ村】の東側の森… そこは切り開かれているのでそこまで5人で来てくれ

『ワイバーン』は余り目立たないように気を付けてくれ

 それでは私たちは先に向かう」


「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」「はっ!」



 次回 第32話『商会』

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