第25話 絶景

 ある日の昼過ぎ、兵舎前

 拡張工事の進捗を確認する為に、兵舎の外に出たノア

 そこで『白馬』に乗ったティセと出会す


「おぉ、ティセ はいかが致した?」


「あ~領主様、今領主様に見せようと来たところなの

 この前買った、これが私の新しい子『有翼のユニコーン』です」


【cost☆14(14)有翼のユニコーン Lv1】 ×1


「ティセ… この馬ははねがあるようだが?」


「はい! 飛べますよ」


『有翼のユニコーン』はティセの合図で羽を羽ばたかせ宙に浮く


「馬が飛ぶのか・・・」


『有翼のユニコーン』はティセの合図で地上に降りる


「どうです! 凄いでしょ!」


「なんと言って良いか分からないが、凄いな・・・」


「ちょっとと、王都に行ってきます」


「一人で大丈夫なのか?」


「はい、多分大丈夫です」


「気を付けてな 何かあったら空を飛んで逃げるんだぞ」


「は~い それでは行ってきます」


 そう言うと『有翼のユニコーン』は大きく羽ばたいて空を翔けた

『ワイバーン』ほどではないが、それなりにスピードも出ている

 しかし鞍は大きいので、大分乗りづらい

 それでも『赤兎馬』よりも更に早く到着した

『有翼のユニコーン』をギルド前に待機させる


「誰かがあなたを連れて行こうとしたら、飛んで逃げるのよ」


 ティセがそう言うと『有翼のユニコーン』は2度頷いた

 そしてギルドに入る


『送魔鏡』で今回する事は『職人の人材募集』だ

 


 人材募集 集まれ!職人!! 

 勤務地 泡沫国 ノア男爵領【タカミ村】及び領内

 1年契約 年俸 50万ヨー

 1年の契約を満了した場合、更に10万ヨー進呈


 下記の職人(親方)を募集致します

 金属加工、鋳物師、大工、木工職人、ガラス職人、酒造、

 陶工、料理人、機織り職人、植物(食用・実用)に詳しい方、

 その他、職種により採用する場合がございます

 ※その場合は雇用開始が遅れる可能性がございます


 仕事内容

 1.後継者育成(当方指定の者)技術伝授、失敗時の修復方法など

 2.当方が要望する品の制作 製作 または採取(拒否権はございません)

 3.自らの経験・技術を駆使し、新作の開発等 ※植物担当除く

 お仕事は『10月1いっぴ』より開始


 応募者は『送魔鏡』から、自身最高の作品を【ジュリア】へ

 お送り下さい 期日 〇月〇日 まで

 作品の返却は、〇月〇日以降随時

 尚、植物担当の方は、採取歴・採取地域・植物の利用方法などを

【ジュリア】植物担当宛までお送り下さい

 応募者は【ジュリア】募集担当が選考します

 どしどしご応募下さい!!



「これで良しっと!」


 ティセは募集を出し、ギルドを出た


まで1時間半くらいだったから、

 今度『ワイバーン』で試すかな~

 あっそうだ! 東の山を見に行こうか!」


【王都】が北【ハルヨシ村】は中間【タカミ村】は南にあり、ほぼ直線状だ

 その東側は森をはさんで山が塞ぐ形になっており、

 その切り立った山は、遥か南まで延びている

 山の向こう側がどうなっているのかが、とても気になる


『有翼のユニコーン』に乗ったティセは、王国を出て南下する

 40分少々で【ハルヨシ村】上空に到着 ここから東の山に向かう


「やっぱ『地図アプリ』の『航空写真』よりリアルよね~ 感動する」


 山頂に到着し眼下を見下ろす


「すごーい!【ハルヨシ村】が丸見え! あれは【王都】っぽい?かな?

 あっちは【タカミ村】?ちょっとはっきり見えないなぁ?」


 スカイツリーの展望台並みの高さから見る『この世界』は、

 戦争で人が争い、魔物に恐怖する事を忘れるほどに、

 自然に溢れたとても『美しい世界』だった

 ティセは後ろを向き、天然の壁の『向こう側』に目を遣る


「これは!!!」


 ティセは息を呑んだ

 眼下に見える景色は、手前に今いる切り立つ山 両サイドは手前より若干低い山

 北の山に滝? そこから南の山へ中央を割るように流れる川

 中央は三方の山に囲まれ、所々に森がある広大な原野 王都の数倍はありそうだ

 その原野のその先には・・・ 海?っぽい? 断定はできない

 正に『天然の要塞』で『地上の楽園』だ

 ここをとらねば(物にしないと)後悔する ティセはそう思った


 海っぽい方面を見に行きたかったが、それよりもノアに見てもらいたい

 その気持ちが勝ったので、一度王都へ戻る

『有翼のユニコーン』×2を買い、【タカミ村】へ帰る


【タカミ村】に到着したティセは兵舎へ向かう


「領主様!領主様~ いませんか~ どこ~」


「おぉティセ早かったではないか どうしたのだ?」


「領主様! 忙しいのは分かるんですけど、1時間ちょっとお願いします!

 できればノートンさんも!」


「なんだ? どこかへ行くのか?」


「そうなの! お願い!!」


「分かった! ノートン、ノートン来てくれ!」


「はっ!」


「ティセがお前も一緒に来てくれって言うのだ」


「はい!では参りましょう」


 3人は兵舎の外に出る


「ノートンさん、鞍を2つ持って来て!」


「ああ、分かった」


 ノートンは、兵士と2人で2つの鞍を持ってきた

 ティセは『護姻環』を2人に渡す


「これは私のと同じ『有翼のユニコーン』2人もつけて」


 2人は言われた通り、指輪をはめる

【cost☆14(14)有翼のユニコーン Lv1】 ×2

 2人は鞍を取り付ける


「ティセ… 私に乗りこなせるだろうか?」


「大丈夫ですよ 私だって初めてでちゃんと乗れたんだから」


「そうか・・・ して、どこに向かうのだ?」


「東の山に行くの」


「東の山だと!?」


 ノアやノートンは、生まれてから今までこの地域に暮らし、

 先祖代々祖父母や両親から東の山は、決して越えられない山【不越山ふえつのやま】と

 教えられて育ったのだ


「ティセ、お前は向こう側を見て来たのか?」


「そうよ、私さっき見てきたの みんなにも見てもらいたくて

 じゃあ行きましょう!」


 ティセが先陣を切って飛び立つと、ノア・ノートンも続いて飛び立つ


「ティセ、意外とできるもんだな…」


「ねっ、そうでしょ!」


 3人は【不越山ふえつのやま】へ向かう


 十数分後、3人は森を越え山頂に到着し、山の向こう側を見下ろす


 「・・・」



 次回 第26話『渇望』

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