第24話 愉悦

 昼を少し過ぎた頃、ティセとノートンは王都に到着した

 昼食を済ませ、2人は買取りセンターへ入る


「ティセ、今日の買取りは『1.7』と『1.9』だそうだ… どうする?」


「あ~ダメダメ! 安すぎ 今日は売らないで もったいないよ」


「そうか… では『素材』だけ売ろう」


 ノートンは『素材』だけ売却した

 今回は『素材』だけだが、丸々一ヶ月分の成果が見れた


「715,540ヨーだったぞ、『素材』だけでこんなにいくんだな!」


「そうなの、結構侮れないでしょ!」


「よし! こちらは終わった ティセは『送魔鏡』やるんだろ?」


「はい、時間掛かるかも知れませんよ」


「全然構わない 好きなだけやってくれ

 そう言えば、この前ノア様から100万ヨー貰っただろ

 好きに使って良いと、仰ってたぞ

 足りなければ『換金』した金も使って良いそうだ

 今回は『乱玉』売れなかったけどな」


「えぇ~! 本当に? そんなに使ったら『ノア軍最強』になっちゃうよ!」


「いいじゃないか!『最強』 ノア様を最強にしてくれよ」


「じゃあ、見てみるね」


 2人は買取りセンターを出て、隣のギルドへ入る

 ティセは『送魔鏡』を使い始めた

「入金のお知らせ? あ~『競売』と『固定売』で売ったんだ…

 3500ヨー… すっかり忘れてた・・・

 私の現在のLVは… 商人LV28・・・か

 それじゃあ~ 今回は何があるかな~♪

 おぉ、この子は中々 こっちは特技がなぁ 高いなぁブツブツ…

 うーん… だがしかし でもしかし、あの子は… ブツブツ…

 一応必要だからな~ 念の為買っとくか


【cost ☆☆☆ (3)鬼    Lv1】 ×70 計14万ヨー


 この子と… この子を・・・ 

 両方だとLVが足りないけど、お試しで…


【cost ??? (?)???? Lv1】 ×1 28万ヨー

【cost ??? (?)???? Lv1】 ×1 25万ヨー


あとは食品・・・こんなの売ってんのね~ じゃあこれも

 合計 67万余ヨー


「ノートンさん、終わったわ 今回は67万ちょっとね」


「分かった・・・ (毎回凄いな)」


「ところでノートンさんの職って何?」


「私は登録してからずっと戦士だな」


「レベルは?」


「分からんな? 調べてみようか」


 ノートンは『送魔鏡』に向かい操作する


「戦士・・・ レベルは14だな・・・」


「ノートンさん、最近魔物と戦ってないでしょ?」


「・・・ まぁ忙しいからな、、、」


「何か違う職業にした方がコストは増えるから、変えた方が良いかも」


「・・・ ティセは何が良いと思うんだ?」


「誰もやらなそうな、変なのが良いんだけどなぁ~」


「変なのって・・・」


「私が決めちゃって良いの?」


「カッコ良いのにしてくれよ… 頼むから・・・」


「じゃあねぇ・・・」


 2人は帰路につく

 そして夕方【タカミ村】に到着 

 ティセは家に帰り、ノートンは兵舎へ向かう


「ノア様、只今戻りました!」


「おぉ、ノートン いかがであった?」


「はっ! 今回は『1.7』『1.9』と倍率が悪く、ティセに相談したところ、

 今回は『見送り』となりました

 基準は『2.5』以上が理想で、長期間売却できなかった場合は、

『2.0』以上なら売る可能性はあると申しておりました

『素材』は売却し、計715,540ヨーとなりました

 今回の購入品が合計67万ヨーです

 こちらが残金と『護姻環』70個です 全て『鬼』だそうです

 あと2個はティセが持ち帰りました こちらが明細です 以上です」


「そうか、ご苦労! 『素材』だけでも70万を超えるのか…

 ひと月分の稼ぎとしては最高だな!

 しかし『鬼』70個か… 凄いな!」


「はい、それでも『足りない』と申しておりました・・・

 本来『数百』は揃えたいそうです」


「まだ足りないと… 鬼の軍勢ができてしまうな」


「ノア様の軍勢を『最強』にすると言ってました」


「最強に・・・ まぁ期待しよう!」


 少し時間が経過し、夜食配膳中 兵舎

 ティセは、3人の鬼に3つの大きな寸胴を運ばせ、兵舎を訪れた


「領主様、これからご飯でしょ?」


「あぁ、そうだ ティセも食べるか?」


「私は大丈夫! これを作ってみたの、みんなで食べてみて」


 ティセはお玉で寸胴の中身をかき混ぜ、器に2回掬い入れる

 そしてノアの前に差し出す


「これは… スープだな 具も色々入ってる

 じゃがいも、にんじん、キャベツ、たまねぎ、ベーコン、腸詰…

 香りが良い… だから普段の物より色は濃いのか?」


「まあまあ、いいから食べてみて!」


「では頂こうか…

(・・・なんだこの深い味わい…) 美味い…ティセ美味いぞ!!」


「うふふ、美味しいでしょ! 『ポトフ』って言うの」


「お前らー、ティセが作ったスープが最高に美味いぞ!みんな食べてみろー」


 ここにはノアと役付(幹部)11人がいる 全員に配り終え、いざ実食!


「何だこれはー」「食べた事ないー」「美味すぎるぞ!」「シンジラレナーイ」

「おかわりー」「ヤムヤムウマイ」「お店ができるぞ」「マイウー」


 全員に大好評だった 3つあった寸胴は、全てカラになった


「ティセ、凄いじゃないか! どうやって作ったんだ?」


「鶏肉や骨、色んな野菜とかで煮て、出汁を…スープをとったの

 それを・・・ブイヨンだったかコンソメって言うのよ」


「・・・ あ~だからか! 炊事場から骨を持って行ったりしたのは」


「そうなの、今色々と『実験』してるから 他はまた今度ね」


「ティセ、これは前回の『カツ丼』同様、我が領内の名物になるだろう

 スコットや炊事場担当の者に、作り方を教えてやってくれないか?」


「はい! 今度教えに行きます それじゃあ帰りますね」


 ティセと3人の鬼は帰った


「ノートン、あのティセは、本当にやりたい事をやって、

 如何なる時も我々を喜ばせたいんだな… ただ純粋に…」


「そうですね… あんなに優しい子は見た事がございません

 それがティセにとっての幸せなのでしょう」


「我が領内でも、そんな子供が多く育ってくれたらなぁ」


「… ティセは言葉通りの『案ずるより産むが易し』なのでしょう

 あれこれ悩んでる時間があれば、失敗を恐れずに挑戦してみる

 ともすれば、失敗さえも楽しんでいるかも知れません」


「失敗さえも楽しんでる・・・か

 実はな、ティセが裏で何かをやってるみたいでな、

 今日のスープで謎が1つ解けた…

 あとは『狩りに同行』『果物』と『畑の隣に小屋』だ

 また近いうちに、我々を驚かせにくる筈だ 楽しみに待ってよう」


 

 次回 第25話 『絶景』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る