第23話 戦力

 ケニーがLV上げに出掛けてから28日が過ぎた

 午前8時半頃… 兵舎


「ノア様、よろしいでしょうか?」


「フレディ? いかが致した?」


「はっ!午前の『狩り』に行く準備をしておりましたところ、

 ティセが参りまして『狩りに連れてって欲しい』と申しましたので、

 どうしたものかと… いかが致しましょう?」


「ティセが狩りに…(また何か考えてるな・・・)

 今日はどちらの森だ?」


「『東の森』でございます」


「よし、分かった!

『東の森』に限って許す、お前はティセから離れずにいる事、

 ティセと、ダミアン、ジェイソンにも伝えてくれ」


「はっ! 承知致しました!」


 こうしてティセは、午前の狩りに同行して何かをしてたようだ…

 同日午後2時過ぎ…兵舎前


「領主様、今よろしいだべか?」


「お主? いかが致した?」


「はい… 先ほど女の子がきますて『畑の横に小屋1つと、

 それを畑の2倍の広さで柵で囲ってけろ』って言うもんで、

 作ってええんだか悪いんだか…どうしたものかと… 

 領主様、おら達作ってもええだべか?」


「ティセが『小屋を柵で囲う』…(またしても何か考えてるな・・・)

 どちらの畑だ?」


「『東の森』の手前だべ」


「・・・よし、作ってやってくれ!

 お主たちは、その娘に『何か頼まれたら』私の許可は要らないので、

 叶えてやってほしい

 仲間たちにも、そう伝えてくれ!」


「んだ、分かっただ! おら~作るべよ~」


「よろしく頼む」


 こうしてティセは、人夫にお願いして『何か』を作るようだ…

 同日午後4時過ぎ…冷蔵庫前


「ノア様~ ノア様~!」


「スコット? いかが致した?」


「はい~! 食事の度に~食べないで冷蔵庫に隠してたおれの果物を~、

 ティセがきて『没収』と言って~持っていきました~

 どうしたものかと~… 助けて下さい~!」


「ティセが果物を…(いや… 食べるんだろう・・・)

 夜食は何の果物だ?」


「『オレンジ』です~」


「よし、分かった! 『今日までの分』に限って許してやってくれ 

 お前はティセが、『何かをやろうとしている事』は分かるだろ?

 お前自身の『やるせない気持ち』は、胸にしまってくれ!」


「はい~? ティセを怒ってくれないんですか~」


 こうしてティセは、スコットが隠してた『果物』をくすねたようだ…

 同日午後7時過ぎ…


「ご領主様! ご領主様!」


「お主は炊事場担当の? いかが致した?」


「はい… 先ほどティセが来て、晩飯に使った鳥の『骨』を、

 全て『回収』だと言って、持っていきました…

 生ごみは『その日の内に処分』と言う決まりがございますので、

 どうしたものかと…」


「ティセが鳥の『骨』を…(一体何を考えているのだ…?)

 夜食は何の鳥だった?」


「『ウェイキーバード』です…」


「よし、分かった! 『その日の内に処分』の決め事があるだろうが、 

 ティセは『意味の無い事』は恐らくしないだろう・・・

 今後…多分『うれしい気持ち』になれるような『何か』を、

 私は望んでるし信じてる…

 だからティセが何かしても、それで君たちを咎めはしないから、

 安心してくれ…」


「あ・・・はぁ… 分かりました」


 こうしてティセは、兵舎の炊事場で『鳥の骨』を集めたようだ…

 同日午後9時過ぎ…兵舎


「ノア様、只今戻りました!」


「おぉ! ケニーではないか!! 一ヶ月を待たずして達成したのか?」


「はっ!条件は満たしました!」


「ティセにも知らせてやりたいが、今日はもう遅いしケニーも疲れたであろう

 少し体を休め 2日後の朝、全員がいる時間にティセを呼ぼう…

 食事を摂って、今日はもう休んでくれ!」


「はっ! ありがとうございます!」


 2日後の朝、ティセも呼ばれ【タカミ村】にいる兵士全員が集合した


「それではティセ、ケニーが一ヶ月弱で『残りコスト40』を達成してくれた

 それでいかが致すのだ?」


「はい、それでは・・・ 恰好よく登場したいので、

 私とケニーさんは一旦『畑の方』に行きます 皆さんちょっと待っててね」


 そう言うとティセとケニーは、東の畑に向かう

 10分少々経った頃、上空に大きな飛来物が2つ・・・

 背中にはティセとケニーが乗っていた


【cost ☆20 (20)ワイバーン  Lv1】 ×2


 上空から2匹は村に着地し、2人は背中から降りた


「みんな! 新しい仲間『ワイバーン』よ!!」


 兵士は皆言葉が出ず、中には腰が抜けた者もいた


「ティセ… これは『ワイバーン』と言う魔物なのか?」


「はい、カッコいいでしょ!」


「・・・ これは凄いな… こんなのに誰が勝てるんだ・・・」


「それでも『ワイバーン』って、超序盤でやられる『雑魚』扱いなのよね」


「ま、まぁ… 一旦兵士たちを業務に戻そう

 みんなー! 仕事を始めてくれー」


「はっ!」


 ティセと幹部は兵舎に戻り、ノアは今後の作戦を聞く


「ティセ、お前がこの前70万ヨーで買ったのは、あの『ワイバーン』か?」


「そうなの、1匹35万ならお買い得でしょ?」


「・・・ だな して、今後どのように致す?」


「はい、ケニーさんはあの2匹の『ワイバーン』を、

 一ヶ月で上手く扱えるようにして下さい

 両方を交互に乗って、どちらに乗っても2匹で連携できるようにして下さい」


「お嬢様、畏まりました!」


「しかし、一ヶ月でできるのか?」


「それは分かりませんけど、何とかして下さい」


「・・・・・・」


「王都で修行中の4人が、あと一ヶ月で『残りコスト40』が達成できたとして、

 その4人にもそれぞれ2匹の『ワイバーン』を与えます

 ケニーさんは4人の先生になって、隊長をやってね

 そうすれば合計10匹の『ワイバーン隊』ができます

 人間が攻めて来たって、あんなのと戦いたくないでしょ?」


「そうだな… ティセの言う通りだ」


「お金次第だけど、戦力はいくらでも強くできるから

 候補は幾つかあるけど、それはまた追々」


「そういえば前回の『換金』から一ヶ月だが、ティセは行くのか?」


「うん、行く 行きま~す!」


「ではノートン、お前が行ってくれ」


「はっ!」


 

 次回 第24話『愉悦』

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