第21話 保存

【タカミ村】に到着したティセとケニー

 ティセは眠いから帰ると言う


「ケニーさん、ありがとう!これは預かっておくから じゃあね!」


「お嬢様、お疲れさまでした!」


 ティセと別れたケニーは、ノアが待つ兵舎へ向かう


「ノア様、只今戻りました!」


「おぉ!!ケニー ご苦労 問題なかったか?」


「はっ! 諸々完了致しました 4人とは現地で解散しました

 換金も済まして参りました

 こちらが『購入した魔物』及び『登録と紋章』の支出です

『鬼』×15人 9万

『猫又』×25人 7.5万

『コボルト』×25人 7.5万


 登録料 1万4× 4万

 紋章『眼球』5万×5 25万

 資金 5千×4 2万

 謎の物 35万×2 70万

 合計 125万ヨー で、ございました」


「謎の物?? 70万・・・これは一体何だ!」


「お嬢様が… 内緒だと言う事で・・・」


「・・・ して、換金は?」


 ケニーは明細を渡す


「合計1,722,360ヨー で、ございました・・・」


「170万・・・6週で『送魔鏡』が買えるではないか!」


「今回は少し倍率も低く、お嬢様も悩まれましたが、

 売る決断をなされました」


「それでも170万・・・」


「こちらが残金の 472,360ヨーと先の70万ヨーです

 足りない分が食事代です」


「そこからティセに100万ヨーを渡し『自由にして良い』と伝えてくれ」


「はっ! 私も王都へ戻り、ひと月森に籠ってLVをあげます」


「あぁ、頼んだぞ!」


「はっ! 失礼致します」


 ケニーは太陽園へ寄り、シスターに言付けとお金を渡した

 そして再び王都へ戻るのであった

【ハルヨシ村】でも『狩り』『解体』のシステムが稼働して、

 毎日大量の『乱玉』を順調に集めていく・・・

 そんなある日の午後…


「お~い、ティセ~ ティセってば~」


「なあに? スコットさん」


「ティセ、助けてくれよ~困った・・・ 困ってんだ~」


「だから何よ!」


「実はな、『魔物の肉』がとれすぎちゃって、干し肉とかやってんだけど~

 保存できないんだよ~ どうしたら良い?」


 この地域は1年を通して暑い 肌寒いと感じるのは、年に2,3度だ


「ちょっと時間は掛かるわよ そんな『秒』でできないんだから!」


「それでも頼むよ~」


「じゃあ、取り掛かりますよ」


 ティセはその足でノアの元へ向かった


「領主様、今良いですか~?

 スコットさんからのご要望で、ごにょごにょごーにょ、なんですって

 それで、王都に行きたいの」


「そうか… ならスタンかウィルに頼んでみろ 私が許可したと言えば良い」


「ありがとうございます!」


 ウィルを捕まえ王都へ、そして帰宅 今日は遅いのでまた明日

 翌日・・・


 ノアに確認を取り、拡張工事の人夫を使い、炊事場横のスペースに小屋を建てる

 建物は1つ、入り口は2つ中央で分厚く区切られ、右左に行き来はできない仕様だ

 1階、2階には棚が備え付けられ、3階は住居の作りになってる

 急ピッチでわずか20日で完成した

 その後数日に渡り、実験を繰り返し、ようやく完成にこぎつけた

 ノアたち幹部とスコットを呼んだ


「皆さま、ご覧ください この建物を左が『冷蔵庫』右が『冷凍庫』と言います」


 ティセが左のドアを開けると皆が


「すずしい」「気持ちいい」「やんや」「やんや」


「じゃあ、中に入ってみて 開けっ放しはいけません! 早く閉めて!」


 全員が中に入る 棚には『生の肉』が置かれている 温度計が3℃を示す


「ティセ、これが『れいぞうこ』と言うのか?」


「はい、そうです お肉を生のままで保存ができます

 かと言って、いつまでも保存はできませんが、数日は持ちます」


【cost☆  (1)雪ん子 Lv1】 ×1



 一度外に出て ティセが右のドアを開けると皆が


「さむぅー」「凍える」「気持ちいい」「やんや」


「じゃあ、中に入ってみて 開けっ放しはいけません! 早く閉めて!」


 全員が中に入る 棚には『凍った肉』が置かれている 温度計が-20℃を示す


「ティセ、こちらが『れいとうこ』と言うのか?」


「はい、そうです お肉を凍らせて1年は保存ができます

 かと言って、取っといても常に新しいお肉が手に入るなら

 必要ないかも知れませんが、一応作りました」


「それでも、そんなに長期間保存できるとは・・・」


「はい、みんな出て下さい」


【cost☆☆☆(3)ジャックフロスト Lv1】 ×1


 全員退出する


「これが『冷蔵庫』と『冷凍庫』です

 お肉以外にも野菜や果物、飲み物なんかも冷やせます

 タオルを凍らせて、外の作業中に首を冷やすのも気持ち良いですよ

 皆さま、頻繁に開け閉めをすると、中の温度が上がり痛んでしまいます

 なので素早い行動で、さっと終わらせる そんな感じでお願いしますね」


 こうして『冷蔵冷凍庫』の小屋前が、兵士のたまり場になった


 

 次回 第22話『恩義』

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