第18話 交換

【タカミ村】を出発してから30分程経った頃

 持参した『布袋』から『ある物』を取り出し、

 ティセはケニーにあるお願いを切り出す


「ねぇ、ケニーさん… お願いがあるんだけど・・・」


「何でしょうか、お嬢様??」


「あのね、これなんだけど・・・」


 ケニーが見ると、ティセの小さい両手にある物は、4つの指輪ケースだ


「それは・・・『護姻環』でございますね…」


「そう… あの時に王様から送って来た『指輪』…」


「それを… どうなさるおつもりで…」


「あのね… これがあると… 『ケインさん』を思い出すの…

 捨てようかなとか、売っちゃおうかなとか、色々考えたの…

 でも… そうすると・・・

『ケインさん』の生まれ変わりが『これ』だと考えても、

 私は持っていられないの…

 かと言って、捨てても売っても… 遠くに行っちゃうみたいで…

 だからね、近くで使ってくれる人がいたら、使ってもらいたくて…

 今回… スコットさんが… この子を使ってくれたらなって

『ケインさん』と『ギルドのお姉さん』の分 この2人なんだけど…」


「・・・・お嬢様、承知致しました!

 その2人分の予算が余りますので、お金でも魔物でも、ご自由にお使い下さい

 こちらの2つは? 売却で、はい、畏まりました!」


 そんなやり取りがあり、しばらくして【首都トーラ】へ到着した

 3人で食事を摂り、ウィルは今日一日分の弁当(念の為4つ)を購入し馬車に戻る

 ティセとケニーは、ギルドの隣にある『買取りセンター』に入る

 ケニーは受付けに持参した『乱玉』1344個(内100ヨー1034個 500ヨー310個)

 獲物から取った『素材』多数を差し出した


 ティセは別の受付けに『乱玉』52個(内100ヨー 44個 500ヨー 8個)を出す


 十数分後・・・ アナウンスが入る


「8番でお待ちのお客様・・・ 2の窓口までお越しください・・・」


「お嬢様、私の番です… 」


 ケニーは少し緊張していた


「はい!私です!!」


「先ずですね… 『素材』ですが、こちら全てで『114,240ヨー』でございます

 本日の『乱玉』の買取り倍率は共に『2.4』となっておりますが、よろしいでしょうか?」


「お嬢様…『乱玉』の買取りが『2.4』だそうです 売ってよろしいでしょうか?」


「う~ん… 今日が初めてだからなぁ‥‥ ふ~む… 売りましょう!

 領主様に『ちゃんとお金になる』ってところ見せないと…ね!」


「承知致しました

 はい!それで売ります!!」


「代金は『現金』ですか?『貯めますか?』」


「げ、現金でお願いします!」


「それでは後ほど『8番』でお呼びしますので、お待ちください」


「はい!」


 しばらく待つと

「『8番』のお客様、2の窓口までお越しください・・・」


「はい… 『8番』です…」


「『乱玉』1344個(内100ヨー1034個 500ヨー310個)

 その中で、100ヨーの4つがヒビ又は破損の為、買取り不可

 100ヨー1030個 こちらが2.4倍で、247,200ヨーになります

 500ヨー 310個 こちらが2.4倍で、372,000ヨーとなります

『素材』が『114,240ヨー』ですので、

 合計733,440ヨーとなりますが、よろしいでしょうか?」


「な、な十万・・・ はい… よろしいです…」


 ケニーのやり取りの最中にティセも呼ばれ

『乱玉』52個(内100ヨー 44個 500ヨー 8個)

 100ヨー 44個 10,560

 500ヨー  8個  9,600

 合計 20,160ヨー になった


 窓口の職員に、ティセは質問する


「魔物討伐なんかでドロップした装備品とかアイテムも、

 ここで買い取ってもらう事はできますか?」


「もちろん大丈夫でございますよ

 壊れた武器防具でも、鉄や銀など素材として買取り致します

 ただし、洋服など布製品で、余りにも破損してる物に関しては、

 お断りする場合がございます

 食料品でしたら『鮮度』が悪い物は、買取り不可でございます」


「買取りできるできないの判断は、ギルドの方がやってるんですか?」


「全てを【ジュリア】に送ります ですので【ジュリア】の判断によって、

 買取りの可否と査定額が出ます」


「良くわかりました! ありがとうございました!」


 2人は現金を受け取り、隣のギルドへ向かう

『送魔鏡』はケニーが先に使い、お目当ての魔物を購入

 『護姻環』5個総額 15,000ヨー


 次はティセの番

「まずはこの2つを売る・・・と

 こっちは競売 こっちは固定売・・・

 売上は… 『貯める』でOKと 

 次に魔物チェ~ック なんかいないかな~と

 さすがに高いのは強そうだ、こいつは… 使い道あるんかい!

 ああ高いな… ぶつぶつ… あかんなこりゃ… 」 


 魔物や値段の確認などしたティセだが、お目当ての魔物は全て高かった


「そうだそうだ… 忘れてた・・・ 『マジックバッグ』

 値段を確かめないと… え~と、魔道具、マジックバッグ、ソート、安い順」


「安いのは… 2万8千… やすっ!! 10個のアイテムが収納できる・・・

 10個か~ 無いよりは良いけど… アイテム100個以上がほしいな…

 一番高いのは… 2億… 無限に入りますって・・・

 100万200万ならどうだろ・・・ 280万で150個収納か・・・

 ・・・魔道具であるって事は、もしかしたら・・・


 ・・・やっぱりあった! しかもこんなに入るなんて! 値段は高いよね・・・

 後はマンガで定番のアレがあれば完璧なんだけど・・・

 

 あるじゃんあるじゃん!このコンボで楽勝じゃんか!

 でもこれって、グレーなのか黒なのか・・・ 判断つかないな?

 それと値段が980万・・・ 買ってから違法になっちゃうとな~

 まぁ、コンボ思いついただけでも収穫かな?」


 ティセは検索を切り上げ、街の散策(調査)に繰り出す


「お嬢様、護姻環2つ分の『6000ヨー』をお渡ししておきます」


「ケニーさん、ありがとう!

 ところでケニーさん、王都の物価って分かりますか?」


「飲食店や、食料品は【ハルヨシ村】の1.5倍から3倍以上高いです

 日用品は2倍から物によってもっと高い物もございますが、

【ハルヨシ村】で手に入らない物は、仕方なく【王都】で手に入れます」


「この国の『特産品』… は、何かありますか?」


「特別な物は特にございません 強いて挙げるなら『小麦』でしょうか?」


「『米』は採れますか?」


「『米』は以前採れましたが、この地方では食べる習慣がないので、

 もう作ってない筈です あっても全て売ってしまうと思いますが…」


 途中で『串焼き』の店があった とても『美味しそうな匂い』がしているので、

『豚系』『鳥系』各2本の計4本を注文 ケニーと食べる


「いただきま~す! もぐもぐ、もぐもぐ… ・・・・

 じゃあもう1本 もぐもぐ… もぐもぐ・・・

 ケニーさんはどうだった?」


「そこそこは美味しかったです」


「あの… 焼いてる火は『魔法』ですか?」


「そうでございます!」


「(正直大して美味くない・・・素材?調理法?)

(異世界あるあるの、日本食の研究… 私も今度やってみるかな?」



「ケニーさん!もう一回ギルドに行きましょう!」



 次回 第19話『改革』

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