第17話 増員

 とある日の午後

 畑仕事の手伝いを終えたティセは、家に戻る途中だった

 炊事場担当の『スコット』が走り寄って来た


「お~い ティセ~ ティセ~」


「あら、スコットさん こんにちわ!」


「おい、ティセ聞いてくれよ!」


「なぁに?どうしたの?」


「あれから『毎日』獲物が届くんだけど~ 処理しきれないんだよ~」


「一回で、何百だもんね」


「そうなんだよ~ おれと『みー子』2人じゃ… ムリだよ~」


「(あ~忘れてた… あと2つあったんだ… )

 増やしてあげても良いけどさ、これ以上増やしたとして、

 スコットさんが『みんなの親』として、ちゃんと面倒みれる?」


「それは大丈夫だよ~ 約束する」


「何人くらい?」


「多ければ~ 多いほどいいなぁ~」


「スコットさん、ギルドで何の『職業』にしたの?」


「そりゃ~『料理人』だよ」


「(それじゃあ、もうLV上がってるかなぁ?)

 2つある『護姻環』をはめてみて 新しい子も『猫又』だから

 それで『猫又』姉妹に、やり方を教えてあげてね

 順序はこう、

 1.全員で届いた全ての獲物の『乱玉』を抜く

 2.その際に、『人間用』『魔物用』に分ける

 3.乱玉を抜いた『魔物用』の毛皮や角の『素材』を『猫又』に取らせる

 4.『素材』を取り終えた『魔物用』の残りを、『3兵士(鬼)』に渡す」

 5.スコットさんは『人間用』の『肉の処理』をする

 6.『魔物用』から『素材』を取り終えたら、『人間用』から『素材』を取る

 7.『素材』の最終的な処理を終えたら、領主様に渡す

 こんな感じでどう?」


「いや~ 本当に助かるよ!」


「領主様に言って、『狩り』を少しの間止めてもらうわ」


「ありがとう! その間に教えるよ! じゃあな!」


 スコットに感謝され別れた

 その足で、領主ノアの元へ向かう


「領主様~ 領主様、いますか~」


「おぉ ティセ、どうした!」


 ティセはスコットの件を話した


「確かに、あの数を処理するのは無理があるな」


「食料は、あればあるほど、良いと思うの

 あと2つ『護姻環』があるけど、もっと増やしてあげて欲しいの」


「それは構わんが、あと何人だ?」


「あと7人 スコットさんは『指が埋まって』しまうけど…」


「もしもの時は、外せば良いだけだ 問題はない」


「じゃあ7人 良いですか?」


「あぁ、良いぞ どのくらいだ?」


「多分21000ヨー くらいだと思います」


「分かった、『乱玉』も『素材』も大分溜まったからな

 そろそろ『換金(買取り)』しようと思ってたんだ!

 ケニーに行かせよう」


「領主様… 私も行きたいです ついて行って良いですか?」


「・・・あんな事があったのだぞ 私はお前に『王都』には行って欲しくない」


「お願いします あの時はザースマに邪魔されて…

『送魔鏡』で、色々見たいんです… お願いします!」


「……では、ケニーの『目の届く所』に居れるか?」


「はい!別行動はしませんから」


「今日行くには中途半端な時間だ 明日の早朝に行けば、時間を有効に使える

 ギルドだけでなく、街も見て歩くのも何か発見するかも知れないぞ」


「街も見たいと思ってました」


「では明日の6時に出発だ 遅れるなよ」


「ああっ!そうだ、忘れてた スコットさんが少しの間、『狩り』をお休みして

 欲しいって言ってました 

 その間に『新人2人』に、ちゃんと教えるように言っときましたよ

 今回迎える、新しい新人7人が来たら、一回狩りに行ってとった『獲物』で

 仕事を教えるように伝えて下さい」


「あぁ、分かった スコットに伝えておくぞ」


「じゃあ、明日の朝に来ますね~」


 ティセは帰って行った


 翌日午前6時前 兵舎前

 ティセが『布袋』を携えやって来た


「ティセ、おはよう!」


「領主様! ケニーさん! おはよう!」


「お嬢様、おはようございます」


「ケニー、換金したら食事代も必要な経費は、そこから出して良いからな

 ウィルに食事を忘れるな」


「はっ!畏まりました」


【cost☆☆☆(3)赤兎馬 Lv2】 ×2頭



 ティセとケニーが、キャビンに乗り込むのを確認すると、ウィルは馬を走らせた

 こうしてティセは、スコットの助手を求めて【首都トーラ】へ向かう

 同行者・・兵士:ケニー

 馭者・・・兵士:ウィル


【タカミ村】を出発してから30分ほど経過した頃

 持参した布袋からから『ある物』を取り出し


「…ケニーさんに、お願いがあるの!」


 

 次回 第18話『交換』

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