第16話 自足

 一台の荷馬車が【タカミ村】に到着した

 知らせを聞いたノアら一同は、兵舎を出る


「なんじゃ・・・これは!!!」

「・・・ど… どういう・・・事だ?」

「いー!! いやっ 嘘だろ…?」

「す…ぐ、うー、へ?はっはっは!」


 ノアは、真っ先に戻った『ダミアン』に問う


「ダミアンよ、これは一体どう言う事だ?」


「はっ!こいつらが最初、言う事を聞かなくて、困りましたよ」

 私は『東の森』で狩りをしました

 森に入って10分位でしょうか、獲物を見つけたこいつらが、

 命令を聞く間もなく飛び掛かって行きました

 私は走って追いかけましたが、見つからず探してました

 それから30分程したら 魔物の声… いや悲鳴が聞こえた方へ向かうと・・・

 魔物の死体が、山のよう…? いいえ死体の山でした・・・

 それから一旦全員で荷馬車に戻り、森の中の荷馬車が行ける所まで進み…

 積み込みました・・・

 狩りの時間より、寧ろ移動する時間の方が掛かったかも知れません・・・」


「ダミアン『鬼』に、魔物を下ろすように命じてくれないか?」


「はっ! お前たち、獲物を荷馬車から降ろせ!」


 5人の鬼は、荷馬車に積まれた『獲物』を次々と下ろしていく


『ダミアン隊』大小含めてその数、89体(匹)

 ダミアン隊到着から22分後、フレディ隊到着

『フレディ隊』大小含め74体(匹)

 それから45分後にジェイソン隊到着

『ジェイソン隊』大小含め102体(匹)

 3隊 合計265体(匹)


 ノアは、フレディ・ジェイソン両名にも、聞き取りをする


 ティセはスコットに、『ダミアン隊捕獲の、人間が食べない魔物』の処理から始めてもらい、次に『フレディ隊、ジェイソン隊』の順で処理(乱玉を抜くだけの作業)と、毛皮や角、牙、爪、嘴等の保存

 その後『人間が食べる魔物』の処理を依頼

 スコットが処理し終わった『ダミアン隊の魔物用のえさ』を運搬し、

 15人の鬼の餌として与える事を3兵士に依頼 

 フレディ隊、ジェイソン隊の『魔物用のえさ』は晩御飯用に利用させる


 3兵士とスコットは、それぞれの任務を遂行する中、一同は兵舎に戻る

 戻って来た一同は、興奮を抑えられない


「おじいさん、領主様、いかがでしょうか?」


「これは凄い結果じゃ! お前さんやるのぅ」


「うふふ、そうでしょ! 意外とやるのよワタシ」


「しかし…ティセ、鬼がそんなに狩りが上手い事を知ってたのか?」


「はい!もちろん 知ってました ※魔物ガイドを読んでたから」


「いやぁ驚いたのぅ!! 大したもんじゃ」


「領主様、全部で何匹(体)でしたか?」


「あぁ、全部で・・・265だ」


「265と言う事は・・・で1.5だから… 

『乱玉』が完全なら…全部100ヨーで、最低約4万ヨー 3倍で8万弱でしょ!

 それに、500ヨーがどれだけ入ってるか…で、最高額が変わるわ!」


「4万ヨーと8万ヨーじゃ大分違うな・・・」


「だから領主様、ギルドに売りに行った時に、安い時は売らないの」

 最低でも2倍とか、倍率を決めておいてやれば良いでしょ?

 しかもそれだけじゃないの、人間が食べる食料と、魔物の餌でしょ

 それと毛皮と角と牙、爪、嘴も 素材で売れる物も結構あるし」


「最低額が約4万ヨーだとしても、実質はもっとあると言う事だな?」


「そうなの!仮に最高の『3倍』だとして、それに食料と素材で、10万ヨー前後はありそうでしょ? だとしたら、あの子たちに掛かったお金は、ほぼ回収なの

 まだあるわ、今日は最初の日だから『ダミアンさん』『ジェイソンさん』『フレディさん』に、あの子たちの先生をやってもらいましたけど、

 その内慣れたら『あの子たちだけ』でやらせても良いんじゃないかな?

 1日に5回でも、6回でも、できるから!

 シスターに聞いたけど、領主様たちが『何回討伐しても魔物が減らない』って

 なので『狩り自体が』村の周辺の『魔物退治』になるワケでしょ?

 最後に『あの子』たちは『私たちの戦力』なの!

『今回は狩り』をやらせたけど… あっ『あの子たちは狩り専用ね』だけど

 例えば『村の衛兵さんや兵士さん』とか『大工さんの手伝い』とか色々

 だから領主様にお金をお願いした時に『結局あとになっても、どこかで必要になる部分だから』って言ったの!」


「・・・・・・ティセ… 凄いな! さすがだ!


「そうじゃな・・・!参った!」


「ただね… 一々王都までいかなきゃいけないのが、難点なのよね~

 買取りの『価格変更時間』が午前12時なの、早く分かる方法があればな~」

『送魔鏡』もあれば良いんだけど無理だからね~」


「全てが思い通りに行く訳ではないからな… そこが難しんだ

 しかしティセよ色々助かったぞ

 これから我々は仕事があるので、帰っていいぞ 今日は助かった!

 そうだ、太陽園の皆を連れて、晩飯を食べに来い!

 先ほどの『獲物』を御馳走するから、な!」


「領主様、本当に!! やった~ ありがとう! ダークラビットもね

 じゃあまた来るね!」


 ティセは家に帰っていった


「閣下… これが『外乃者』の力でございましょうか?」


「そうであろうな… 大した娘だ! 思った以上の成果だのぅ」


「しかもまだ昼前ですから… 結局ダミアンが2時間弱、フレディがその22分後、ジェイソンがその45分後・・・ 

 ジェイソンは南西なので、移動に時間が掛かった部分がありますが、3隊が3時間以内での成果としては、この上ない結果でございます」


「しかもなぁ、最初は『ただの金策』だと思っとったんじゃが、1つの事でこれだけの『副産物』を得られたんじゃ… 末恐ろしい…」


「今後はいかが致しましょう?」


「先ずはあの娘の方じゃが、提案は無理の無い範囲で、叶えてやるがよい

 今回のような、嬉しい結果になるであろう

 また、お主に困った事があれば、相談してみるのもええじゃろう

 解決の糸口が見つかるかも知れんのでのう!

 村の方は、このまま進めておけばええじゃろう

 儂は…お主に『肩入れしすぎ』だと思われれば、要らぬ『憶測』を呼ぶんでのぅ

 一度『王都』に戻って、『北の領地』を見に行こうと思うでな 

 その後は『西の領地』を見て、『王都』に戻ろうと思う… 今日は昼に出る」


「承知致しました! 閣下、それでは飯にしましょう!」


「先ほどの『戦利品』が頂ける訳じゃな! それは楽しみじゃ!」


 昼食を済ませた『王国宰相テリー』は【タカミ村】を後にした



 次回 第17話『増員』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る