第 5話 連行

 『外乃者』

外乃者げのもの」とは、この世界とはから来た者

 そんな「外乃者げのもの」がこの世界には多数掃いて捨てる程存在する

【永世中立国ジュリア】の研究機関『ゼーク』の調査報告(非公式)によると、

外乃者げのもの」が元にいた世界は98%が【ニホン】または【ニッポン】から来たと証言

【ニホン】と【ニッポン】は、聞き取り調査の結果「同じ国家」だと判明

「どのようにに来ましたか」の質問では、

 死亡した88%、迷い込んだ7%、言えない/答えたくない5%

に来て、何をしましたか?」の質問では、

 勇者31%、貴族/国王19%、商人18%、冒険12%、スローライフ9%、村人5%、

 動物(モンスター)2%、言えない/答えたくない4%、との結果がでた


 また、こちらの世界には多数の『魔王』が跋扈のさばっているが、

 こちらの世界に在住する『魔王』に対して、個別に聞き取り調査を敢行(非公式)

「この世界で、何をしたいですか?」の質問に、

 世界征服94%、言えない/答えたくない4%、恥ずかしい2%

「貴方以外の魔王について」の質問に対して、

 魔王の98%が「余以外の魔王は認めない」と、現場は非常にピリピリしていた

 因みに、残り2%の魔王が「仲良くしたい」と語ってくれた

 残り時間も少なかったので、最後の質問をした

「最近のHOTな話題ですが、勇者として来られる外乃者げのものに一言を」に対し、

 ワンパンだ32%、余を倒してみよ30%、チートがずるい18%、無双すぎる10%、

 パーティーを組んでみたい8%、恥ずかしい2%、と、意外な結果となった



 時は遡り

 ティセ出発後【王都トーラ】とある酒場 午後7時33分

 酒場に、一人の男が入って来た

 入って来たその男を見て、声を掛ける老人


「おおっ!こっちじゃ、こっちじゃ」


閣下宰相、遅くなりました… 申し訳ございません」


 じいさん:泡沫国 宰相:テリー

    男:ノア男爵配下:ノートン 


「ご苦労さんじゃ、腹も減ったじゃろ 取り敢えず一杯やりなさい」


「お姉さん!エール2つじゃ」


「はいよ~」


「して、その後はどうじゃ?」


「はっ、対象者は、今しがた出発致しました」


「そうか」


「対象者は午後6時50分頃ギルドを出て、書店で本を3冊購入し馬車へ」


「は~い、エール2つねぇ お待ち!」


 2人は、運ばれてきたエールを乾杯し流し込む


「何か変わった事は無かったかのぅ?」


「対象者が『送魔鏡』を操作していたところ、後からやってきた一団と、何か悶着があったようですが、私から理由は確認できませんでした・・・」


「ふむぅ」


「私は存じ上げませんが、どちらかの領主か貴族のようでした」


「領主か貴族のぅ…」


「対象者はその悶着があった後、すぐにギルドを出ています」


「そうか…ご苦労じゃった! たらふく食って明日【タカミ村】に戻ってくれ」


「はっ!ありがとうございます!」


 翌日【タカミ村】の畑 午前9時過ぎ

 ティセが畑仕事を手伝っていると、物々しい雰囲気で一団が近づいてくる

 一団の先頭を歩いていた男が大声で「この中に『ティセ』という者はおるか!」

 畑仕事をしていた者全員が、ビックリして男を見る

 ティセも立ち上がり


「あのぅ… 私ですが・・・」


「お前がティセと申すか?」


「はい・・・」


「お前を『窃盗』の罪で連行する」


「ちょっと待って下さい!私は知りません!」


「うるさい!盗んだ物を出せ!!」


「やってません!本当です!」


「嘘をつくな!!!」


 ティセの腕を掴み、乱暴に扱う男を村人たちが止める


「このは、そんな事しねぇ!」「止めろ!」「止めて!」


「うるさい!邪魔をするな! お前たちも『反逆罪』で連行するぞ!」


 男は、ティセの腕を掴んだま連れていく

 村の中ほどまで来た所で、騒ぎを聞きつけたノア男爵らとシスターが駆けつける


 【ハルヨシ村】【タカミ村】領主:ノア男爵

 【ハルヨシ村】【タカミ村】保幼及び孤児院統合施設 太陽園 園長:テクラ


わたくしは、【タカミ村】領主ノアと申します このが一体何をしたのでしょうか?」


「この子供が王都でスリを働いた為に、捕えに来たのだ」


「私はやってない!!」


「私はこのの親代わりのテクラです ティセは、そんな事絶対にしません!」


 ノアは努めて冷静に問う


「本当にこのと云う確かな証拠はございますか?」


「当方の主【ケムイ村】御領主ザースマ様が実際に被害にあわれ、こちらの調査の結果、この者の犯行であるのは明らかである」


やってないんだな?」


「はい!やってません… やってない事は証明できないけど、調べれば分かります」


「泥棒は黙ってろ!」


「分かりました・・・ このはこの後どうなされるおつもりで?」


「王都に連れて行き、ザースマ様と共に、王様にお目通りさせて頂く」


「王様にお目通り!?だと… 何故王様が関係あるのだ!?」


「これ以上は国家の機密故、話す事はできん」


「承知致しました… だが今はまだ容疑者の段階… 粗雑な扱いはお止めください」


「・・・・・まあ良かろう」


「もしこれが間違いであった場合、王様を巻き込んで大変な事になりますぞ」


「・・・・・」 


 ノアの言葉を無視し、男は数人の部下に指示を出す


「お前たちは家捜しだ、終わったら戻れ! 私は馬車で先に出る」


「はっ!」


 男はティセを連行し馬車へ 部下数人は、園長先生を連れて太陽園に向かう

 ノアと部下たち、村人は困惑している


「考えても仕方がない… 私は赤兎馬で王都へ向かう


 向こうが馬車なら、こちらが大分速い… 後は頼んだぞ!」


「はっ!」


 

 次回 第6話『指輪』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る