第8話

俺..凪都は、瑠斗のことが心配だった。 瑠斗の家族が亡くなって次第に隈や顔色が悪くなっていたからだ。話しかけようとすると、部下や王達に止められる。 立場が違っていた。たまに、仕事のことで話している時も無理に笑ったり

元気を出したりしている瑠斗を見るのは辛く、痛々しかった。


さっき、微かに気配を出した瑠斗が入って来た時ほとんど察していた。わざと気配を出して

いたのだと分かった。 分かった上で俺は人気がない場所で攻撃し、話しかけた。俺は、復讐

するって言ってくれたことが嬉しかった。瑠斗が王や城ごと立場をぶっ壊してくれたから。

瑠斗のおかげで俺は自分らしく、瑠斗と接することが出来た。そして、両親の死の事実も

知れた。 それでいて、久しぶりに瑠斗の本当の笑顔を見た。


瑠斗の優しさを1番よく知っている。俺は、瑠斗の1番の悩みについて話すことにした。


「なぁ、るい。ちゃんと寝てるか?」


俺は、瑠斗がする答えを知っていた。 いつも

通り自分の弱いところを隠して俺に見せない

ようにする。 分かっていて聞いたのだ。すると予想通り隠そうとしていた。今までは、あまり踏み込めなかった。だが、今は違う。 今は

『アルレッド国騎士団団長の凪都』ではなく、ただの凪都だ。瑠斗の幼なじみとしてここにいるのだ。今までずっと出来なかったことが出来る。俺はただ、自分がしたかったことをするだけだ。




俺..瑠斗は内心驚いた。 いつもは、寝てるから大丈夫と言ったらそれで引き下がった凪都が

今はとても食い下がって来たからである。

凪都は本当はこんな風に話しを聞きたいと考えていたのだろう。そして、俺は6年間で初めて

人に弱音を吐こうと思った。自分が英雄で

居続けるための大事な仮面を幼なじみとはいえ人の前で外すのだ。


「...確かに、なぎの言う通り俺は眠れてない」


「いつから?」


「家族が殺されてから少しずつね」


「今はどのくらい寝られてないんだ?」


「一睡も。まぁ、ここまでになったのは1ヶ月前で事実に気づいた時から」


「なっ!?」


予想通り、凪都は驚いていた。俺は事実に

1ヶ月前から気づいており、それを誰にも悟られずに今日になったのだ。


「...そうか、るい」


「ん?」


「さっき、城の奴らを殺した時お前はどう

思った?」


「そりゃースッキリしたよ。でもな、王に

メリアを見せた時の絶望した顔が6年前の俺の顔に見えて腹が立った」


「その気持ちは俺も理解はできるが、お前はどうしてそう思った?」


「先に同じことをやって、それ以上のことを

してきたくせに..本当に俺がこうした理由が理解してなかったんだ。あたかも、自分が可哀想な人間だって思ってるみたいにっ..これはお前から始めたことだろうがっ!」


俺は、心の底にグツグツと湧いていた怒りの

マグマを凪都に少し吐き出した。もちろん、

人を殺すのは悪だ。それで自分を正当化する

ことはしない。その罪は死んでも、背負う気でいる。


あぁ、復讐が終わるまでは冷静で淡々としようと決めたのになー


凪都は、俺がそう言ったことに少し安心して

いるように見えた。俺はそれが何故なのか理解が出来なかった。


「なぁ、何でそんな安心してる顔してるん

だよ? こんな面白くない話し聞いて?」


「だって、それがお前の本音だろ? 俺は本音を言ってくれただけでも嬉しいから」


「...なんだよ、それ?」


「あー。分かりやすく言うなら、俺らが腹を

割って話したのって結構久しぶりだから話してくれないと思ってたからな」


「ふーん、そういうもんか」


俺は、凪都が言いたいことは何となく理解が

出来た。折角こんな風に話せるような仲に

戻れたんだ。これを機に、腹を割って話したくなったのだろう。俺がそう考えていると、凪都が急にその場に立ち上がった。


「るい、何か飲む?」


「んーココア」


「だろうと思った!俺もそうしよーっと」


凪都はそういい、家の主の前でリビングを漁りココアを2人分持ってきた。凪都がそうする時は朝まで話す気満々だということだ。


「はい、るい」


「ありがと、今日は朝まで話すのか?」


「おっ、さすが! よく分かったな!」


「そりゃわかるだろ。いつもそうだった

じゃん」


俺はそう言いながら、凪都のコップ都俺のコップを軽く当て乾杯する。やはり朝まで語る

らしい。


「でも、いつもより少し違うことがあるぞ?

るい」


「え、何が?」


「今回は、復讐の計画を立てるんだよ」


「あー、なるほど」


てっきり、俺の愚痴を話させられるのかとヒヤヒヤしたがそうじゃなくてホッとした。

そして、俺と凪都は国の奴らの復讐の計画を朝まで話し合った。

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