第5話

そして、俺..瑠斗が麻袋を持ち門に着いた。

すると3人で倒れたフリをしていた。


マジで倒れてるみたいに見えるけどほんとに

倒れてないよな?


「終わったからもういいぞー」


俺がそう言うと、3人が同時に目を開けて起き

上がった。


ちょ、え? 怖。 急に目を開けないで? てか、この3人仲良すぎだろ。


「瑠斗、もう終わったのか?」


「あぁ、終わった」


「あの..少し聞きますけど、この袋に入ってるのって?」


「え、 お前らの王さん」


「「「えっ!?」」」


「う、右京うきょう。確認してくれ」


「は、はいっ! 暗崎様、中身を見ても?」


「あぁ、いいぞ」


俺はそう言い、雑に麻袋を下ろす。

雑に下ろしたため中から「う」という声がした。

右京が先に中身を見た。そして、右京は驚き

ながら王の入った麻袋の紐を結んだ。 左京さきょうは心配そうに右京を見ていた。

ちなみに最初に俺に謝ってきたのも右京

である。


「ど、どうだった? 右京」


「...本当に入ってた。 王が気絶した状態で

喋られないようにして」


「ひえっ!」


左京は情けない声を出し驚く。団長である凪都は俺の麻袋を見た。 凪都は、右京より冷静で眉ひとつ動かさなかった。


「なるほど、本当みたいだな。 だが、何故殺さなかったんだ?」


「あぁー、後で拷問しようと思ってな。 ちなみに、王女は殺してる」


「ま、まさか..その遺体を見せたんじゃ?」


「え?そう」


「「「....まじか」」」


ん? なんかおかしいことしたか? 俺はあいつがやったことと同じことをしただけなんだが?


俺がそう思っていると、左京が言いずらそうに口を開いた。


「あの、暗崎様はメリア王女様と仲が良かったと記憶しているのですが?」


「左京の言う通りです。メリア様を大切になさっていたと思っていました」


「逆に聞くけど、復讐には何が必要だと思う?」


「「え? うーん..」」


俺の問いに右京と左京は考えていた。 俺は答えを待っていると、凪都が1歩前に出て口を開く。


「非情さ」


「その理由は?」


「..復讐を果たすには今まで仲良くしていた人間も殺さないといけなくなる。 そんな時、中途

半端に優しさを出したら復讐が出来るはずが

ないから」


「正解。 仲が良かったとか、親友だったとか

大事だったとか関係ない。 復讐の邪魔になる奴は殺す。そうしないと、国を滅ぼす何てできるわけがないだろ?」


「「...」」


2人は、黙り込んだ。 2人も理解が出来たの

だろう。 復讐はそれくらい覚悟がないとやり

遂げられないということを。


この2人は優しすぎる。王や俺の立場にも同情をしている。この2人は復讐に向いてない。 これ以上こちらの世界に行かせる訳にはいかない。


「なぁ、3人はこれからどうする?」


「俺は瑠斗に着いていくぞ! この国の終わりを

最後まで見届けたいからな!」


「団ch..いや、凪都らしいな」


「へへっ! やっぱり瑠斗に呼ばれるのはこっちの方がいいな!」


「はいはい。 それで2人はどうする?」


2人は顔を見合わせて頷きこちらに向き直った。

この2人は、双子で他の国から攫われて来た

のだ。もう自由になって欲しいと俺は考えた。


「俺達は家に帰ります。 俺達の家族が持って

くれてますから」


「そうか。じゃあ、ここでお別れだな」


「「はい!」」


2人はそう言い俺と凪都に頭を下げて2人の故郷の方へ歩いて行った。俺は少し感傷に浸って

しまった。


..やっぱり、俺は悪人になりきれないんだな。


俺はそう思っていると、急に凪都が肩を組んで来た。


「なんだなんだ? さっきまでの冷酷な瑠斗はどこ行ったんだー?」


「凪都..」


「俺らは他にやることがあるだろ」


「そうだな」


俺と凪都は、同い年の幼なじみだ。 だが、今までは『最年少で騎士団団長になった天才』である凪都と『英雄という名の操り人形』であった俺では権力に差があったのだ。 お互い、タメ口では話していたがその間には少なからず壁が

あったのだ。


「なぁ、瑠斗?」


「ん?」


「そろそろ、夜が明けるぞ?」


「あー。そういえば、そうだったな。 俺の家に

来るか?」


「おっ! いいな!久しぶりに瑠斗の所で泊まらせて貰うな!」


「あぁ」


そして、騎士団団長と操り人形という壁がなくなった凪都と俺は自分の姿を消す魔法をかけて気配を消し、俺の家に帰った。

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