第3話

そして、俺は袋を取りに戻った。 すると王が

起きていたが何も出来ず座っていた。そんな王に俺は冷たい視線を向けて、手を差し出した。

もちろん、助けようとしているわけではない。

王には、俺の作った

見て貰いたいのだ。 そのためちょうどこの時間

くらいに起きるように計算していたのだ。

だが、俺が許してくれたと考えた愚かな王は

嬉しそうに俺の手を取って立つ。


「暗崎殿、どこかに行くのかい?」


「まぁ、見たら分かりますから。いいものが

見られますから」


そう言い、俺はニヤと笑う。 王は、「?」と首を

傾げたが王の部屋を出た瞬間一気に絶望した顔をしその場に座り込んだ。 死体は、大広間にあるためまだ汚らわしさや血はまだマシだったが

汚らわしいものや血に免疫がないボンボンには刺激が強いらしく嘔吐いていた。俺は王の反応に大笑いしながら、王の少ない髪を掴み聞いた。


「なぁ? どんな気持ち? 操り人形に全てを奪われた気分は?」


「き、貴様っ!!」


「操り人形が反抗しただけだろ? それとも反抗

するってことも考えられなかったわけ?」


「うっ」


「まぁ、とりあえずこんなの序の口だから。

それだけは言っとく」


「えっ」


俺が言うと、真っ青になり震えだした。


...お前には、俺と同じ..いやそれ以上の苦しみを味あわせてやるよ。 だから、まだ壊れないでくれよ? 王様。


そう考え、俺は腰が引けた引っ張り大広間に

向かう。 王は必死に拒んでいたが、いつも鍛えていた俺の力に勝てる訳もなく引きづられる形となった。 大広間に近づけば近づくほど亡骸や血が増えていき、抵抗する気力がなくなった

のか最後の方は自分で歩いていた。


そして、数分後大広間のドアの前で止まった俺と王。 すると、震えた声で俺に問う王。


「こ..ここで最後なのか?」


「あぁ、 行くぞ。 先に入れ」


「入らないと言ったら?」


王は言いずらそうに言う。 俺は少し圧を強くして答えた。


「入れ」


「ひっ!! わ、分かった。 入る...って!? おぇぇぇぇえ!!」


王がドアを開けた瞬間激しい血の匂いと亡骸のリアルさに嘔吐した。 無理もない、その亡骸達は、1人は内蔵が出ている者、脳が見えている者、背骨が見えている者、喉に剣が刺さって

いる者、と刺激が強い亡骸の山が積み上げらていてるのだから。


...正直、今改めて見たら結構キツいな。 まぁ、こいつの反応見れたからいいか


その後王は1番上に積まれている亡骸を目を向け驚き一目散に1人の亡骸の元に行った。


「め、メリア!? メリア!! 目を開けてくれ!メリア!!」


「...」


王はそう言い永遠に目の覚めることのないメリアという少女を泣きながら呼びかけていた。

メリアは王の娘である。 俺は呼びかけ続けて

いる王に向かって事実を突きつけた。 その時の王が俺にしてきたことを。


「なぁ? いつまで娘の亡骸抱えてんの? お前の娘はもう起きないぞ? 俺が確実に息の根止めたし影武者も」


「っ! なんで...そんなことをっ!」


「そんなこと? お前が俺にしたことだろ? 俺の大事な家族を殺したうえ、俺が絶望していた時にそう言い放ったのもお前だ。 そんな奴に言われる筋合いはない」


「うっ、お、お願いだ! 何でもする! メリアを..娘を返してくれ!!」


「...お前は俺がそう言って助けを求めた時、何をしてくれた? 何もしてくれたこともなかった

じゃないか。 そんなやつを助ける理由はない」


俺はそう冷たく言い放った。 だが、俺の心の中にある善が「もう、許してもいいんじゃないか?」「少しやりすぎじゃないか?」とブレーキをかけさせられそうになった。


その時、俺は家族を思い出した。 一時たりとも忘れたことのない家族を。 優しく褒めるのが

上手いがダメなことはしっかり注意してくれていた母、遊び上手でよく俺と遊んでくれていた父、俺を兄として尊敬してくれていた妹、

口うるさいが優しく頼りになる兄。 それと同時に、帰って来たら全員が無念そうで悲しそうに亡くなっていた両親、妹、兄の姿を。そして、今も尚俺の足にしがみついている王を見下ろしながら考えた。


俺の家族が死んだ時こいつは何をしてくれた? 何も言わずに利用しようとした。 その上こいつがその犯人。 これくらいされて当然。 助ける

義理なんてない。それに、こいつに助けられたこと何て1度でもあったか? いや、1度たりともない。それに、俺は悪人にならないと復讐の

ために。


「...俺が助ける義理なんてない。」


「なっ!?何故だ!? わしはともかくメリアとはお前も仲良かっただろう?!」


「確かに多少の情もある。いや、あった。

だが、俺は全てを知ってるって言ったぞ?

お前の大切にしているメリアが俺の絶望している姿を見て嬉しそうにしてたこともな!」


「うっ。 し、しかし..お前はメリアが大事だっただろう?! 」


「あぁ、大事だったさ! ...あいつが、俺の家族を侮辱しなければな」


俺がそう言うと王は何か言いたげにしていたが話すのをやめた。


...何で..俺はただ、みんなが楽しく暮らして

くれたらそれで良かったのに。 だから、悪口が聞こえても我慢した!聞こえないフリをした!無償で人を助ける続けた! それなのに..それなのにっ!!


....もういい、俺は徹底的に悪人を徹底する! こんな国徹底的に潰して地図にこんな国を乗せられないようにしてやる!

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