第18話_意識不明者8名(特殊武装部隊1)

 重い音と共に、大きな扉が開かれる。

 それと同時に11人が席を立ち、姿勢を正した。

 開かれた扉から男がひとり。11人の前に立つと、11人が一斉に頭を下げ、一斉に頭を上げ、着席した。その動きは一糸乱れぬものという言葉がふさわしい。



 11人の前に立つ男、日高司。国防省の組織、12人で形成される特殊武装部隊部隊長である。メディアがこの12人の精鋭の部隊を、とある経典になぞらえて十二神将と名付けた。そのため、巷では、特殊武装部隊という名前より、十二神将という名前の方が有名であった。


 日高は手元のファイルを開くとともに、「花村、報告」と言った。

 花村と呼ばれた若い女性隊員が立ち上がる。

 「報告です。ここ1カ月以内の意識不明者は8名。全員、殴られたような痕や、何かをぶつけたような打撲の痕跡はありますが、意識を失った後、目を覚まさないというような重大な怪我につながるような痕跡はありませんでした」

 言い切ると、花村は席に座る。


 日高は、その鋭い目を別の女性隊員に向ける。

 「イシャ、調査状況は?」

 イシャと呼ばれたインド出身の若い女性が立ち上がる。

 「ハイ。目撃者情報はありません。また、周辺の防犯カメラも全て確認しましたが、有益なものは映っていませんでした」

 言い終えると、大きく息を吐きながらイシャは席に座った。


 「野崎、他に考えられる原因についての分析状況は出ているか?」

 野崎と呼ばれた中年の男がゆっくりと立ち上がった。

 「えー、現在、薬物投与、化学兵器、細菌兵器の類の線も調べていますが、なんとも言えません。ただ、化学兵器や細菌兵器を使っていたとすると、周辺に被害が出てもいいんですが、今のところ、そういった情報は入っていないので……ただ、まあ、どちらにしても、もう少し時間をください」

 野崎はゆっくりとした口調で報告し、腰をおさえながらゆっくりと席に座った。



 日高は11名の隊員全員を見渡したあと、口を開く。

 「各自周知は把握しているな?警察庁より応援要請が来ている。市内で、ここ1カ月の間に原因不明の意識不明者が8名。しかも8名共に目が覚めない状態が続いている。被害者同士の関連性は見つからない。無差別での犯行の恐れもあると考えられる。また、野崎が調べてくれているが、新種の薬物や兵器も考えられるため、我々も行動を共にすることになった」


 日高の目が鋭くなる。

「まだ、わずかしか時間をかけられていないが、こちらで調べても原因の尻尾もつかめないということもわかった。警察庁の応援要請の是非は正しいものかと考える」



 日高は鋭い目のまま目配せをし、「伊藤、岡田、鈴木」と呼んだ。

 伊藤、岡田、鈴木の3人が立ち上がる。

 「3人は明日、警察庁へ。今後の連携について確認。また、巡回に同行せよ」

 「はい」と返事をし、席に座った。



 日高は、手元のファイルを閉じる。

 「以上、解散」




■崎山高校

・伊藤涼介(ゴーレム):高校1年生。久原道場の元門下生


・高山明:高校1年生。同級生。思い出作りに燃える。

・長谷川蒼梧:高校1年生。同級生。美形。

・桜井千沙:高校1年生。同級生

・笹倉亜美:高校1年生。同級生

・小森玲奈:高校1年生

・池下美咲:高校1年生


・木下舞(デコピン):高校3年生。生徒会会長。学校内の人気絶大。

・世良数馬:高校3年生。生徒会副会長

・久原貴斗:高校3年生。生徒会議長。武闘派。久原道場師範代。

・上田琴音:高校3年生。生徒会総務

・美馬龍之介:生徒会2年生。生徒会会計

・和久井乃亜:生徒会2年生。生徒会監査

・古賀星太:高校1年生。生徒会所属。涼介の幼馴染。久原道場門下生



■株式会社神楽カンパニー

・神楽重吉:神楽カンパニー代表取締役会長

・白い仮面の男:スカウトマン・プロ―トス

・鳴海玲奈:スカウトマン・デウテロス。社員。

・石田:スカウトマン・ヘクトス

・北上慶次:スカウトマン・エナトス、ラスボス



■コロッセオ参加者

・田中一成:予備校生



■特殊武装部隊(十二神将)

・日高司:特殊武装部隊隊長

・名前不明:特殊武装部隊隊員

・花村美咲:特殊武装部隊隊員

・伊藤康介:特殊武装部隊隊員、伊藤涼介の兄

・岡田紗弥:特殊武装部隊隊員

・名前不明:特殊武装部隊隊員、アメリカ出身

・鈴木翔:特殊武装部隊隊員

・名前不明:特殊武装部隊隊員

・名前不明:特殊武装部隊隊員

・野崎文雄:特殊武装部隊隊員、エンジニア

・名前不明:特殊武装部隊隊員、アメリカ出身、エンジニア

・イシャ・ラナウト:特殊武装部隊隊員、インド出身、エンジニア

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