少しメンヘラな少年と少しポンコツなメンヘラの少女

@syuimee2

少しメンヘラな少年と少しポンコツな少女


「ああ...今日〇〇さんに〇〇って言っちゃった...


大丈夫かな、嫌われてないかな...?」





「〇〇くん、


今日は私と違うまた別の女性と話してる...どうしよう、あの子抹殺しないと...





でも、喋れるかなぁ...。。。」







これはほんの少しの失敗でヘラってしまう少年と、




少年のことになるとメンヘラになるも、


何もできないポンコツなメンヘラな少女の話である。







キーン、コーン、カーン、コーン...




鐘の音と共に学校は昼休み休憩になる。




その教室の中には、対照的な少年少女がいた。





少年の方は、周りに複数の友達に囲まれていて談義をしている。





少年)昨日みんななんか面白いことあった?

(あ...こんな雑振りみたいなのしちゃった...白けちゃうかも...)




なぁ、昨日やってた番組最高だったよな!女性達が艶やかでよぉ...



こいつ、キモ。



うわぁー、変態スイッチ入っちゃったよ...





対して少女の方は教室の端の席で、

本で顔を隠しながら1人ポツンと座り少年の方をチラリと見ていた。





少女)[少年]くん今日もみんなのコミュニケーション回してて偉いなぁ...



でも、あの子[少年]くんに近すぎる...




このA子(紙でできた藁人形?)で呪わないと...

ええいっ!A子あやつを呪え!




あっ!




少女が必死に握りしめていた藁人形?が、


力を込めすぎたのかビリビリに破けてしまい、




ビリビリ、と教室に紙が破れる音が鳴る。





あぁ...A子破れちゃったよぉ...


でも呪えたっていうことでは!?





少年に近付いていた女の子は相変わらず元気そうである。





また[少女]さん変なもの触っているよ。



ねぇ。変なやつ。





少女は教室どころか学校中で知られる変人だった。






今日も教室は平常運転で賑やかだった。







昼休みの終わり際、

屋上で遊んでいた少年は急ぎながら教室へ向かっていた。





やばい......




あぁ...1人遅れて教室入って気まずい雰囲気になったら嫌だよ...





ちょうどその頃、


少女は少年のことを探して教室を出ていた。





[少年]くんがいない...


また違う虫が近づいてるのかな...


今度はこのA子スペシャルで...





少女が徐にポケットからまた違う藁人形?を取り出してさわりさわりしていたら、




視界が一転して、鈍い音が出る。





いてっ!




少女は前方を見てなくて段差で盛大に転んだ。





周囲を見渡すが、


周りにいる生徒はこちらを一瞥するだけで誰も手を差し出そうとはしない。





少女はスッと立ち上がってスカートの裾を直してまた歩き始める。





ねぇ、あれって...



また1人でいるよ。



何してるんだろうね。







少女のことを揶揄する言葉がひそひそと周囲で上がる。




少女は聞こえているものの、反応はしなかった。




転んだ際に落としてしまった藁人形?を大事そうに傷がついていないか確かめていた。






少女は藁人形に特別な思い入れがあった。





亡き祖母はオカルト好きで、


呪い代行の際に使った藁人形が部屋にいつも飾ってあった。




いわく亡き祖父から貰ったものと聞いた。




亡き祖母はいつも大事そうにその藁人形を手入れしていた。




亡き祖母は親戚の間で避けられてはいたものの、とても優しく、



なにより頂いた藁人形を手入れている際の優しい瞳が好きで、




少女はそんな亡き祖母が好きだった。






そんなおばあちゃん子だった少女は藁人形が好きだ。




自分で手作りをしようとしたが、


藁の手に入れ方が分からなくて紙で代用した。




使い道は変なものの、その藁人形?を大事にしていた。





傷を確認している少女が今度は恰幅のいい生徒とぶつかる。




思わず当たった表紙に藁人形を落としてしまう。





あっ!




ぐしゃっ!





恰幅のいい生徒はそんな音には気付かず、踏みつけて歩いていった。





少女は踏まれてぐしゃぐしゃになった藁人形の元に座り込み、必死に直そうとする。





周囲で変わらずひそひそ声が聞こえつつも少女は気にせず座り込んだ。





すると、頭上から恋焦がれる少年の姿が。




[少女]さんだよね。

(間違えてたらごめんなさい...)




拾うの手伝うね。




[少年]いつもこの子この人形大事そうにしているな...



大事なものらしいから本当は触れないほうがいいのかな...?





[少女]あ、あの、ありがとう、ございます。


([少年]くんと話しちゃったよ!これはもう運命!?)



あんなことあったのに、少女の頭の中は幸せそうでなりよりである。




[少年]いえいえ。

(触っていて不快に思われていないかな...)




[少年][少女]あ、あの!




ふっ、ふふふ!



被っちゃったね。



だね。



お互いに笑い合う。



改めてありがとうね。本当に感謝しています。

([少年]くん、こんな顔もするんだ。尊い!)




...。こちらこそお礼言ってもらえたら感無量だよ。


(この子、いつも暗そうだけど、こんな風に笑うんだな...)





[少女]あ、あの今度改めてお礼渡したいので連絡先...。



[少年]あ、はい。




[少年][少女]やった!連絡先もーらい!




キーン、コーン、カーン、コーン。



授業の始まりのチャイムが廊下で鳴り響く。




[少年][少女]あ...一緒に行くか...ね。




少年も少女も心なしか素の状態で話せるようになり、それからは距離が近づく。




それから数日後。。





[少年] [少女]さん、明るくなってから色んな人と話すようになったな...


男も話しかけている...




[少女] [少年]くん、またあの子と喋ってる...

次こそは、このA子:Reで!



あっ!




ビリっ!

(力を入れすぎて破いてしまう。)




クラスの女子) [少女]ちゃん大丈夫?

いつもそれ大事そうにしてるね。


貸してみて。

テープでこうして、こうすれば...


はい!ほら治った!




あ、ありがとう...




[少女]ちゃんかわいいーー!




でも相変わらず少年と少女はお互いをチラチラと確認していた。




[少年][少女] やっぱりあの人近い!!


次こそはアタックするぞ!!





教室の中は相変わらず賑やかだが、心なしかいつもより明るくなっているような気がした。



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