第17話 嵐

「...まぁ、そういうことだろうと思ったよ」と言った俺に「...どういうこと?」と、呟く園原。


「...え?」

(そこがグルなわけじゃないの?)


「いやー、お前のこと色々調べてて正解だったわ。けど、まさかこんな面白い展開になってるなんて思ってなかったけど」


「そりゃ何よりだ...」


「何で...塩田がここに...」


「いい質問するじゃん。いじめられっ子の園原」


「...」


「まず、先に言っておくとあんたをいじめるように言ってたのは私だから」


「...」と、少し目を丸くし固まる園原さん。


「なんで...」


「なんでって、なんとなくむかついたからだけど。それ以外に理由とかいる?」と、悪びれもせず半笑いでそう言った。


「ひどい...」


「ひどい。ひどいねぇ。酷いっていうのは裏でコソコソ私たちのことを嗅ぎ回って、2人を転校に追い込んだそこの男のようなやつの行動を指していう言葉だと思うけど」


「...酷くねーだろ、因果応報、自業自得だろ。何だ?自分は散々好きなことやっておいて、やられたら発狂するメンヘラタイプか?」


「...やっぱ、お前面白いね。お前への復讐のプランは色々考えてたんだけど...。一番いい方法思いついた。園原と加賀島とお前を一気にどん底に突き落とす最高のプラン」と、言いながら園原を押し退け俺に近づき、キスをした。


「!?//」


「...ちゅ...。お前の初めてを全部奪うことにした」


「...はぁ、何言って!?」


「まぁ、今日は挨拶だけの予定だったからねー。そんじゃ、週明けからの学校楽しみにしておいてね」と、手をひらひらさせながら颯爽と居なくなる塩田。


「...あいつ...帰ってくるんですね」


「...だろうな。けど、もう園原や加賀島がターゲットになることはないだろ」


「...優しいですね。本当」と、言いながら近づいて俺の拘束を外し始める園原。


「...ありがとう」


「...いえ。こんなことしても嫌われることがあっても好かれることがないことくらい分かってますから」


「...おう」


「...嫌いになりました?」


「いや別に。愛の重さは人それぞれだし、別に嫌いにはならないよ。けど、拘束はもう勘弁してくれ」


「...優しいですね」


「比較的優しい方だとは思う」


 そうして、すべての拘束を外した園原は俺の顔を両手で押さえて俺にキスをした。


「ん!?」


「う、上書きです...//加賀島さんに取られるならまだしもあの女には絶対負けたくないので...」


「...お、おう」


 こうして、週明けから地獄の学園生活がスタートするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る