第12話 勉強会

 人生にはモテ期が3回訪れるという。

だとすれば今がその一回なのだろう。


「ねぇ、なんでこの子がここに居るの?」


「わ、私は...圭人くんに会いに来ただけですから...//」


「え?これ私も混ざっていい感じ?wウケるw」


「お兄ちゃん!やったね!ハーレムだよ!」


 ...頼むから平穏な生活を送らせてくれ...。


 ◇7月10日土曜日


 再来週にテストを控えた土曜日。

当然テストに備えるべく、勉強に勤しんでいたのだが...。


「そこ、計算間違えているわよ」


「...はい。すみません。...ちなみにその格好には何?」


「何って。男子が好きな服装ランキング3位の看護師よ。ほれ、写真撮っておかずにしなさい」


「...しねーから」


 まぁ、決して悪くはないけど。

なので、目の中のフィルムに収めることにした。


「そういえば、園原さんとはあれから何かあった?」


 一瞬、計算の手が止まる。


「...別に何も」と、言った瞬間顔を極限まで近づける。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818023213779007414


「嘘ね。何か隠してるわね」


 ひえっ!?怖っ!!


「...まぁ、ちょっと...色々な」


 更に顔を近づけてくる。


「ちょっとって、何?」


 そのタイミングでピーンポーンと、チャイムが鳴る。


「あー、ピンポンきちゃったなー」


「そんなのいいから質問に答えなさい。お客さんの対応は雪花に任せればいいから」


「あっ...はい」


 すると、雪花が玄関を開ける音がする。


 何やら喋っている声が聞こえて、ドンドンと駆け上がる足音がする。

あー...すごく嫌な予感がする。


「お兄ちゃーん!お邪魔しまーす!」と、勢いよく扉を開ける。


 そこに居たのは雪花と、雪花の友達であるギャル系女の子の園原そのはらしのぶ(妹)と、園原途華さん(姉)だった。


「おにいさーん、おっひさー!って、勉強してんじゃんw真面目で草ぁww」


「ちょっと、忍...岡田くんに失礼だよ...」と、ゾロゾロと部屋に入ってくる。


「って、何この美人看護師!?何!?そういうプレイ中だったの!?ww」


「これは...圭人くんがどうしても着て欲しいって言うから...」


 え!?なんか俺のせいになったんだけど!?と、思わず彼女を凝視するとものすごい表情で睨まれる。


「...はい。俺のリクエストです...」


「うわっwwwきめーwwwやばすぎーwww」


「お兄ちゃん...流石にないわ...」


「そ、そういうの好きなんだ...//」


「悪いけど今私と圭人くんは非常に忙しいから邪魔するならみんな出ていってくれる?」


「えーw美人さんこっわwいいじゃないですかー?wちょっとくらい遊んだってー!ねー?変態お兄さん?」と、わざとらしく胸を肘に当てながら腕を組んでくる。


 パキン!と、シャー芯が折れる音がする。


 そうして、結局4人で勉強を始める。

と言っても雪花と園原妹はゴロゴロしているだけだったが。


「また計算ミスしてるわよ」


「...すみません」


「...加賀島さん厳しくないですか...?」


「甘くして点数が上がるなら私もそうするのだけれど。このお馬鹿さんは厳しくしないと伸びないタイプだから」


「...可哀想」


「可哀想だからって東大に受かるならそれほど楽なことないのだけれどね」


「「「東大!?」」」と、三人の声がハモる。


「えぇ。私と一緒に東大に行くの。ね?圭人くん」


「...Yes,Boss」


「お兄ちゃんの頭じゃ無理でしょ」


「だから勉強してるのよ。何事も始めるのに遅いなんてことはないから」


「...東大...」


 こうして、遊びながら勉強をするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る