第10話 接近
登校中もべったりとふっついてくる加賀島。
いや、別にいいんだけどさ。いいんだけども...。
「...近くないですか?」
「そう?友達として普通の距離感だと思うけど」
「そうなのか?ならもし俺と加賀島が付き合うことになっても、女友達とこの距離で仲良くしても問題ないと」
「...それは...嫌」
「わがままかよ」
「まぁ、わがままボディではあるわね」
「...まぁ、確かに」と、視線を胸に落とす。
「...エッチ」と、胸を隠す。
「男なんて漏れなく全員エッチだからな。特におっぱいには夢中なんだよ」
「...ふーん。そう。...やっぱり大きいのが好きなの?」
「うーん。俺は結構形重視かな。巨乳より美乳派」
「...形はそこそこ自信あるわ」
「ふーん。まぁ、今のは嘘だけど」
思いっきり二の腕を摘まれる。
「イテテテテテッ!!」
「乙女を揶揄った代償よ」
「...さーせん。...そういや気になったんだけど、加賀島ってハーフだよな?どことどこのハーフなん?」
「日本とロシアよ」
「おー、ロシア。その高身長も血筋ってことか」
「...そうね。本当は小さい方が良かったのだけれど」
「へぇ?そうなん?いいじゃん。高身長女子」
「...好き?」
「俺は嫌いじゃないな。普通に好きまである。なんか身長高かったらドSそうだし」
「...もしかしてMなの?」
「当たり前だろ。間違っても俺がSではないことくらい分かるだろ」
「ふーん。責められたいんだ。うわー...」
「その程度で冷める恋ならそれでいいと思うけど」
「別に冷めてないわ。普通に引いただけ。私はあなたはがどんな性癖を持っていてもそれを受け入れる覚悟があるわ」
「...そりゃ大層な覚悟だこと」
そんなくだらない会話をしながら二人で教室に入っていく。
元々浮いていた二人だったが、今回のことで余計に浮くのは必然だった。
けど、これに関しては別に問題なかった。
元々一人なのだから失うものなんて何もない。
余計な干渉をされないのはメリットですらあった。
「ところで圭人くん。あなた大学はどこにいくか決めているの?」
「大学?いや、決めてないけど。なんで?」
「そう。なら、東大を受けなさい」
「...冗談も休み休み言ってくれ」
「冗談ではないわ。本気も本気、マジと書いて本気よ」
「俺がどんだけ本気出したところで東大に受かるわけないだろ。勘弁してくれ」
「そう。分かったわ。それじゃあ私がみっちりとあなたを扱いてあげるから覚悟しなさい」
「...待て待て。せめてもう少しハードルを下げてくれないか?」
「嫌よ。妥協も挫折も2番手も私は嫌だから」
「...悪いが俺はどれもウェルカムなんだが」
「あなたって見かけによらず頑固よね」と、やや困ったような顔を浮かべる加賀島。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818023213718459012
「努力が苦手なんだよ」
「才能で得られた結果に再現性はないのよ」
「...さいですか」
そんな風にどうでもいいやりとりを交わしていると、「あの...//」と声をかけられる。
立っていたのは同じクラスの女子である
顔を手で隠しているが顔が真っ赤なのが分かる。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818023213720147295
「ん?何?」と、平然と返事を返す俺とは対照的に、睨みつける加賀島。
「えっと...//その...//あの...//SNSのあれって...//岡田くん...だよね?//」と、急に確信をついた質問を受ける。
「...何でそう思うの?」
「えっと...//その...//」
「もしそうだとしてあなたに何か関係があるの?」と、冷たく突き放す加賀島。
「えっと...//私も...あの3人にいじめられていて...//だから...//」
「だから何?」
「加賀島。ストップ」
「...」
「続けて」
「...お礼を言いたくて...//」
「だとしたらお門違いだ。俺は何もしてない」
「...そ、そうなんだ...//私はてっきり...//」
「勘違いだ。俺が加賀島と仲良くしていたからそう勘違いしたのかもしれないが、別にこれは関係ない。たまたま話す機会が増えてたまたま仲良くなっただけ。あの事件とは無関係だ」
「...そっか...//ふ、二人はその...//つ、付き合っているの...?//」
「付き合ってない」
「そ、そっか...//わ、分かった...//きゅ、急に話しかけてごめんなさい...//それじゃあ//」と去っていく園原。
「...結局男子ってああいうあざとい女が好きなのよね。あーやだやだ、鼻の下伸ばしちゃってさ」
「...何の話だよ。別に園原のことはどうとも思ってないし」
「ふーん?まぁ、そういうことにしておいてあげる」
この時、俺は油断していた。
この園原という女を甘く見ていたのだった。
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