第9話 妹と友達
私は人生の勝ち組だった。
何をやったって一番で、みんなから憧れの目線を向けられる。
そういう存在のはずだったのに、あの女のせいでその全てを奪われた。
加賀島ユリン。絶対に許さない。
◇
『学校行けそうか?』18:25
加賀島ユリン
『問題ない。だって、あなたがいるもの』18:26
『あんまり期待されてもねー』18:29
加賀島ユリン
『安心して。学校ではあなたと話すつもりはないから。迷惑かけたくないし』18:30
『俺たちは友達になったんぞ。変な気遣いは無用だ。普通に話しかけてこい』18:35
加賀島ユリン
『本当、優しいのね。そういうところも大好きよ』18:36
返信はえーな。と思いながら『あんがと』と
返信してベッドにダイブする。
俺は彼女についてまだまだ知らないことが多すぎる。
それに懸念点も残っている。
色々手を打っておかないといけないことが多すぎるな。
◇
いつも通りの早朝。
やや寝不足のまま家を出るとそこには当たり前のように加賀島が立っていた。
「...何してんだよ」
「好きな人の家で待ち伏せしたくなるのは乙女として当たり前の行動だと思うけど?」
「乙女としはどうか知らないけど、人として終わってるだろ。...はぁ。いつから待ってたんだ?」
「そうね。大体30分ほど前からかしら。あなたが普段何時に家を出てるか知らなかったし」
「...別に一緒に登校するのはいいけど、それならそうと事前に言うか、家に来たならインターホン押してくれればよかったのに」
「...迷惑だって思われるかもしれないじゃない」
どこで乙女モード発動してんだよ。
「変な気遣いいらないっての。もし恋人になるならそういうところもちゃんと「恋人!?やっぱり二人は付き合ってるの!?」と、雪花が顔を覗かせる。
「...いや、付き合ってないから」
「そうね。残念ながら今は付き合ってないわ」
「えー!そうなんですか!けど、こうやって朝お迎えに来ちゃうってことはユリンさんは脈アリなんですよね!」
「えぇ、そうね。大好きよ。昨日の夜も圭人くんのことを考えてしまって結局一睡もできなかったわ」
えぇ!?こわっ!?寝ろよ!
「その気持ち分かります!ユリンさんめっちゃ乙女なんですね!」
「えぇ。あなたとは仲良くできそうね」
「はい!あ、改めまして妹の岡田雪花です!愚兄のことよろしくお願いします!」
「加賀島ユリンよ。よろしくね、雪花」
そうして、いつものように家を飛び出す雪花。
「車には気をつけろよー」と、声をかけると加賀島が不敵な笑みを浮かべる。
「...なんだよ」
「いえ、意外とシスコンなのかと思って少し嫉妬しただけよ」
「...兄として普通の気遣いだろ」
「そうね。そうかもしれないわね」
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