第3話 いじめの過激化

「あっれ〜?どうしたのぉ〜?w」と、笑う相沢。


 その目線の先には加賀島がいて、その手には自身の教科書が握られていた。

しかし、その教科書はビリビリであり、落書きをされていたのだった。


「うっわぁ〜、ひっどぃ!誰がこんなことしたのぉ〜!?」と、吉田が続く。


 まぁ、言うまでもなくその犯人は彼女達であった。


 そんな様子をクラスメイトが引きながら見ていた。

けど、当然露骨に態度に表すことはない。

そんなことをすれば次の標的が自分になることをわかっていたからだ。


 その日は教科書を忘れてしまったという体でなんとか乗り切った彼女だったが、それは始まりに過ぎなかった。


 彼女がいない隙に持ってきた弁当箱の中身を全部捨ててゴミと入れ替えたり、上靴の中に虫を入れたり、ありもしない噂を流したりと、段々のそのイジメはエスカレートしていった。

それでも誰が助けるわけでもなく、彼女はひたすらいじめられた。


 しかし、彼女は相変わらずの無表情、無感情でいつものように生活していた。

慣れているということなのだろうか。

そんなふうに思っていたある日のこと。


 いつも通り学校に到着すると、自分上靴を探す彼女の姿がそこにあった。


「...靴ないの?」と、俺が話しかけると、コクリと頷いた。


「そっか。スリッパならあっちにあるよ」と、伝えるとぺこりと頭を下げる彼女。


「ねぇ。学校、辛くないの?」と、あえて無神経な質問をしてみた。


「...」と、俯いて黙り込む彼女。


「こんな酷いことされて辛くないの?」と、追い打ちをかける。


 すると、潰れたような声で「辛いに決まってるでしょ」と、呟きその場を去るのだった。


 そうか。そりゃそうだ。

こんなことされて辛くないわけがない。


 そして、いよいよ重大な事件に発展するのだった。


 ◇


 いつもの早朝。

何やらこのクラスのイケイケ男子とやつら3人組がヒソヒソ話をしていた。


 またくだらないことを考えているのだろうと思っていると、相沢が俺の席に近づいてくる。


「おい、岡田おかだ。お前、放課後体育館裏にこい」


「...なんで?」


「何でもいいから。お前にとってもいいことだから楽しみにしておけ」と、いやらしい笑顔を浮かべる。


 逆らうと面倒なので一旦了承する。


 そうして、放課後を迎える。


 ◇放課後


 体育館裏に行くと、そこには既に男3人と女2人が立っていた。


「おせーよ。早く中に入れ」


「...うん」


 そうして、あまり使われていない古びた体育倉庫の中に入ると、そこには相沢と加賀島さんがいた。


 いや、正確にはあられもない姿の加賀島さんがいた。


 手はロープで縛られ、口にはガムテープが貼られ、そしてYシャツのボタンは開いており、可愛らしい白のブラジャー見えていた。


 それでも彼女はいつも通り無感情な表情をしていた。


「この子、男性経験がないみたいだから。あんたがやってくれる?」


「...え?俺?」


「え?何?不服なの?」


「そういうわけじゃないけど...」


「じゃあ、さっさとやって。その姿を録画してネットに晒してやるから。流石にそこまでしたらあんたの表情も少しは変わるでしょw」


「...」


「おい、岡田。なにぼっーとしてんの。さっさとやれって言ってんの」


「...って、僕そう言う経験ないし...」


「はぁ?そういうビデオくらい見たことあるでしょ。さっさとやれって。バレたらどうすんだよ」


「...でも...」


「いいからそいつの胸を揉みしだいて、下着を脱がしてち◯こ打ち込めばいいんだっての」


「...そんな...」


「あ?次お前のこといじめてやろうか?」と、呟かれ渋々彼女に近づく。


「...ごめん」と、つぶやいて俺は彼女を抱きしめた。

そして小声であること囁いた。


 その瞬間のことだった。


『こらぁ!!何してる!!!!』という、聞き慣れたこの学校の強面教師である小林先生の声が倉庫の裏から聞こえた。


 その声に驚いて相沢はその場を後にし、外で待っていた男女共にその場を去るのだった。


「...もしかして、岡田くんの仕業?」


「...まぁね。君はちゃんと助けを求めたから。俺が救ってあげるから安心して」と、俺は彼女に笑いかけた。


 

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