古今東西、あるいは山手線ゲーム
「……で、結局プールって何すんの」
冷たいシャワーを浴びたところで、水もしたたる丁字芹那さん(神奈川県在住)からのクエスチョン。回答者・オレ。
「え?うーん……なんかこう、心のおもむくままにプカプカスイスイばっしゃんばっしゃん、みたいな……」
そうだ――芹那、プール授業の自由時間でヒマ持て余しちゃうタイプだった。なら……。
「……ビーチボール! ビーチボールやろう、トスしながらお題に合わせて『古今東西』していくやつ! みんなー、みんな、集合ーっ」
◆
「それじゃあ――お題『お寿司のネタ』! マグロ!」
プールの中で円を作った真正面、ツナ氏にまずはボールをパス。……図らずしもそういうイジりみたいになっちゃったなと思うも、時すでにお寿司。ゴメン。
「えっと――サーモンっ!」
こまりん目掛けてトス! 届くか!
「オニオンサーモン」
冷静なボールさばきで芹那にパス!
「……トロサーモン」
うん、隣のマッキーに届く高さ。ナイス!
「サーモンアボカドッ!」
オレ目掛けてスマッシュ、からの――!
「炙りサーモン!」
レシーブ! さあツナ氏、どう出る……!?
「え!? えっと、えっと……ひゃっ!」
――ばしゃーん!
「ツ……ツナ氏、大丈夫……!!?」
「スプラッシュな水しぶきに見事な背面着水だったな」
オレと芹那が近付くより先、こまりんに起こされてとりあえず一安心。
「うう……。落ちた瞬間『サーモンねぎラー油』だ、って浮かんだんだけど……」
「……別にサーモン縛りってワケじゃないですからね? そういう流れになってましたけど」
ワンテンポ遅れて「はっ」と顔を見開くツナ氏、時すでにお寿司。
「では、ツナはアウトで審判へ。――次のお題は何にします? ゴハ、任せます。ワタシ思いつかないので」
「んーと、じゃあ……」
渡されたボールを両手でころころしながら考えてみる。歴代スーパー戦隊のタイトル……とか言ったらこまりんが不利か。そうだな……。
「――アイスの味! バニラ!」
「イチゴ」
「……抹茶」
「ラム……レーズンッ!」
「ソーダ!」
「あずき」
「……チョコ味」
「クッキー! アンド! クリームッ!」
「チョコミント!」
「えっ、ズルいですよ! ――あ」
「――こ、こまりちゃん、アウトー!」
パスには成功してたけど答えは言ってなかったパターンだ。残念!
「……サトリ妖怪ですか貴方」
芹那のジト目はご褒美だけどこまりんにされるとひたすら視線をそらしたくなるのなぁぜなぁぜ。
「……残るは三人か。スミ、お題は?」
「よーし、それじゃあ遠慮なく……!」
――その後、始祖から歴代の全47作品を言い終わるまでひたすらボールパスが行われたことは言うまでもなく。
その達成感たるや、芹那まで思わずハイタッチに応じてくれるほどであった。
「なんなんですかコレ」
「あははー……」
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