到着!芝桜(しばざくら)家

「今回のあらすじ!

 オレの発案により日曜午後ニチゴゴこまりんのプールで遊ぶことになったオレ、芹那、マッキー、こまりん、ツナ氏の五人! こまりんのお兄さんに車で送迎してもらいなう、芝桜家まで(おそらく)あと少し!」

「急になに言ってんだオマエ」



「はーい、到着〜」

「ありがとうございます!」「ありがとうございます」「ありがとうございますっ」「……ありがとうございます」

 四者四様に感謝を述べ、停車した車から各々荷物を持って出る。

「マツライ、なにか落ちましたよ」

 ……おっと、俺としたことが。

「水中眼鏡……? 気が早すぎませんか、とんだフルーツポンチですね……」

「いやなに、久々のプールが楽しみでついな。昨日の夜から肌見離さずだ」

 目は口ほどにモノを言う。委員長閣下はつまりこう言いたいのだろう――「バカですか」と。

「そうとも言えるし、ないとも言えるな」

「何ぶつくさ言ってんですか……ドア閉めますよ」

 委員長がばたんと後部座席のスライドドアを閉め、お兄様がすかさず施錠。うむ、見事な連携プレー。

「家に入ったら丁字とツナはワタシの部屋、マツライ・ゴハ組は脱衣所で着替えを。

 おにい、男子ふたり案内したげて」

 ……つなしが目を丸くするのも無理はない。委員長――コマリの口調は言うなれば外面、家族に対してはフランクそのものだ。中学時代にご家族と面識のある俺とスミは既知。丁字は未エンカウントだが気に留めていないのだと推察する。

「……しかし大きな家だ」

 屋敷というにはコンパクトだが、一般家庭のそれよりも遥かにずっと立派な住宅。メインストリームから少々外れた地点に所在しているのも頷ける。

「ほんとだよねぇ」

 そののんびりとした声はスミ。

「やっぱりルンバ飼ってたりするの?」

「ロボット掃除機ですか? ありますよ。……あとで餌やり体験でもします?」

 冗談のつもりが存外喜ばれて戸惑っている委員長。スミはともかくつなしにまで興味を示されればそうもなるか。

「と、とにかくまずはウチに入って着替えっ! 餌やり体験会はプール遊びとおやつの後に余裕があれば、です。――あ、マツライ。ちょっと」

 面を貸せ、のモーション。一行から距離を取り委員長閣下に耳を貸す。

「例の件、忘れていないでしょうね」

「ああ――車内でつなしから回収済みだ。スミと俺の分含め、後ほどお兄様に渡しておく」

「ならよし」

 ――うむ、プールの後も楽しみだ。

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