第8話・バレンタインチョコ

 私は、板チョコに転生していた。

 丁度時期はバレンタインデー手前。私は無造作に置かれた板チョコの1枚。そんな私はある女性に他の板チョコとまとめて購入された。

 板チョコなもんだから、義理チョコなんだろうなと思った。だが、そうではなかった。

 家に着くなり、私は他の板チョコと共に、湯煎して溶かされたのだ。

 他の板チョコと混ざり合い、固形から液体になる。

 そうして型へ流し込まれる。

 型へ流し込まれた私は、冷蔵庫で冷やされる。

 義理チョコだと思っていた私が実は本命チョコに生まれ変わった。

 冷やし再構成された私は、女性にラッピングされ、意中の人に渡されることに。

 渡された男性は喜んだ。

 そうして私は男性に齧られた。元は私がタダの板チョコとも知らずに。

 私は食べられながら、ほくそ笑むのだった。 

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