第7話・サドル

 私はサドルに転生した。

 自転車じゃないのかい!

 とりあえず、レバーを動かして自転車につけらる。さて、私に購入者が現れるのだろうか?自転車はそう買い換えする物ではないので、凄い不安だった。

 そんなとき、女神が現れる。

 私の自転車を気に入り、購入してくれたのだ。

 お尻が私に乗っかる。

 ああ、暖かい。これが人の温かみと言うやつか。

 私は彼女の家族の一員になった。

 喜んだのも束の間、過酷な現実を受け入れなければならなかった。

 自転車屋さんでは室内だったが、これからは屋外で暮らさなければいけない。

 夏は熱いし、冬は寒い。基本的に野ざらしだ。

 自転車は乗られ始めたら地獄。

 雨にも負けず。風にも負けず。というが、耐えきらねばならない過酷な現実。

 サドルなので、私は不備に見舞われることはなかったが、周りが劣化し、不備に見舞われることになった。

 10年後、我が家に電動自転車が来てしまい。私ごと、廃品回収に出されることになった。

 ああ、リサイクルされて終わりだなと思った。しかしこれが違って、私ごと、海外に出荷されてしまったのだ。

 よりにもよって、紛争の起こる地域へ。

 そこでは金属の私は貴重らしく、私は自転車と一緒に溶鉱炉へとぶちこまれた。

 アイルビーバック。

 何になるかは分からないが、私は戻ってくるぞ!

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