第3話・お正月紅白かまぼこ
ミンチにされた白い魚肉の塊が、小さな板の上に乗っけられる。
もうひとつの機械の中で食紅を入れられ、ピンク色に着色される。
ピンク色のすり身を白いすり身に薄く塗る。
それから蒸らされ固まらせ出来上がるお正月の紅白かまぼこ。
今回は食べ物に転生を果たしていた。
今回は食べ物に転生。視覚、聴覚、味覚、嗅覚はないが、触覚だけはあった。全く動けないが。
かまぼこの包み紙から出され丸裸にされる。
包丁で切り込まれて行く。これが気持ちいい。張り付いている板と身をその後引き離す。しかしながら、これだけで終わらない。最後に食べられる痛みを感じながら、人間の胃に収まって行くのだ。
箸で摘ままれ、口の中へ吸い込まれて行く。
咀嚼(そしゃく)され、固まりがほどけていき、すりつぶされて、ぐちゃぐちゃになって胃のなかに収まって消化されていく。
これが、人間で言う「快感」なのだろう。
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