第2話・トイレ

 次に目覚めた時、私の身体は動かなかった。

 口がない為か、しゃべることは叶わず、嗅覚もなかった。ただの洋式トイレとして。

 トイレに転生を果たしていた。

 まさかの人外。動物でもない。物だ。

 私は一軒家にある備え付け洋式トイレとして、50年後に取り壊しになるまで、いろんな糞尿体験をした。汚ない話で申し訳ない。

 転生する前は人間の男性だったせいか、女性が来た時は興奮したものだ。いたされるまでは。

 スカトロの性癖のない私には苦行でしかなかった。

 映るものがあったので、視力だけ残されて。

 ああ、人が来たら心を閉ざそう。

 トイレになった私は考えること止めた。

 無を通し続けた50年だった。

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