第2話不思議な飲み会

平田と中山は居酒屋へ向かった。

暖簾をくぐると、焼き鳥の香ばしい匂いが充満していた。

2人は瓶ビールと焼き鳥盛り合わせを注文した。

「いや〜、今日は晴れて良かったですね」

と、平田がグラスを傾けながら言う。

「ホントに。子供は外で遊ばせるのが一番ですからね」

「そうそう」 

2人は次々に瓶ビールを注文して、焼き鳥をタレで楽しんでいた。

「オット、平田さん、腕に栓抜きがくっついてますよ!」

「えっ、ホントだ。磁石でもないのにくっついてる」

平田は、腕から栓抜きを取り外した。

「あっ、中山さん、背中に瓶ビールの王冠がくっついてますよ」

と、平田は中山にくっついた王冠を剥がした。

「平田さん、不思議ですね。我々は何故だが金属がくっついてきます。何か心当たりありますか?」

と、中山はねぎまを食べながら質問した。


「……じ、実は公園のベンチにスイッチが付いていて、ONにしたら感電しちゃって」

「えっ、平田さんも感電しましたか?私もあのベンチで感電したんです」

2人は、あの公園のスイッチで感電していた。

公園管理事務所に翌日電話すると、中山は鼻息荒く言う。

「もし、子供が触ったら危ないじゃ無いですか!」

「そうそう、中山さんの言葉は正しい」

2人はハイボールを注文して、強かに酔っ払った。

平田の額にトングがくっついている。段々と、磁力が強くなる感じがする。

中山は、

「もう、店を出ましょう」

と、提案して平田も同意した。


2人で歩いていると、建築現場を通りがかった。

すると、平田は背中に痛みを感じた。中山に見てもらうと、五寸釘が刺さっていた。

現場からカタカタ音がする。

2人が振り向くと、現場の工具がこっちに向かってくる。

「中山さん、走りましょう」

「は、はい」

2人は現場から走り出した。工具は飛んでくる。

あんなんが刺さったら大怪我だ!

一直線に走り、自販機の裏に避難した。

工具は自販機の正面に突き刺さった。

2人は、しばらく様子を見て現場から離れようとした。

平田の腕を中山が引っ張る。

否、平田と中山はくっついていた。

「平田さん、どうしましょう?」

「少しずつ、ずらしながら離れましょう。我々はどうやら、強力な磁力を帯びているようです」

平田は中山の背中側にずらし、少しずつしゃがんでいた。

平田の顔が中山のおしりまで、ずらすと自販機で買い物しようとした女性に目撃されて、

「こんな所で何やってんのよ!変態!」

と、罵声を浴びた。

やっとの事で2人は離れる事が出来た。


その様子をタバコを吸いながら観察する人間がいた。

その人間は、2人の行為を笑みを浮かべながら、後をつけた。

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