第15話 スピン

たまたま寄ったチェーン店ではない古本屋さんで小説や漫画を買った時に、そこのおじさんに、この本読まないか?て聞かれたんです。見た感じは表紙もぼろぼろでとても分厚い本なんですけど分厚い分、日焼けも目立って正直美品とは程遠い小説だったんですよね。でも、誰かが長年読み続けたり色んな人に読まれてきたものなのかな、と思ってそのまま頂いてきたんです。


帰ったら早速どんな内容なのか気になってその本を手に取ったんですよ。内容は【呪い】とかの歴史や実際の手順などが載ってるオカルト寄りな本で、そういうものが元々好きだった私は真剣に読んじゃったんですよね。それで気づいたら日も暮れそうなぐらい時間が経ってて、小説とかの本の上部に糊付けされてる栞のような紐を挟んだんです。それ、スピンっていう名称らしいんですけど、今まで見たことがない黒色でしっかりした素材だったんです。本の雰囲気に合わせて作られたのかな?て思って触ってたら先端の方がはらはらと少し解けて広がっちゃったんですよね。


それからその本を読むにつれて、そのスピンがどんどん解けてきちゃったんですけど、そのスピンをよく見たら癖毛、直毛、硬い、柔らかい、茶色、黒色って色んな人の髪の毛をびっしり編んで出来てたんですよ。呪いの本だしなんかちょっと怖くなって、本を返しに行こうと古本屋に向かうんですけど、毎回迷ったり、辿り着けなかったりして、捨てるのも怖いし押し入れの奥の方にしまったままです。

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