第12話 踏切

過去にお付き合いしていた彼が霊感のある人で、付き合いだしたのが夏だったから夜中にドライブしたり、海辺で花火したり、心霊スポットに連れて行ってもらったりした。

その日も夜中にドライブしてたんだけど、何を思ったのか唐突に【線路沿いに車を走らせて踏切が見えたら霊感のある彼にあそこに幽霊いる?と聞いてみて、いるかどうか確認させる】という遊びを思いついた。今思えば本当に罰当たりな行為なんだけど、何故それをやろうと思ったのかは今でも分からない。


「ねぇ、あそこいる?」

『いないね〜』


ていうやりとりを3回ぐらい繰り返して、またぽつんと踏切が見えた時に、


「ねぇ、あそこいる?」


て聞いたら彼が無言になってしまった。その踏切は花とかも供えてある踏切じゃなくて私には全く何も見えなかったんだけど、多分彼は何か見ちゃったのかな。それからその遊びを一切しなくなったし、あの時に彼が何を見たのか聞かないまま何となく疎遠になった。

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