第8話 爪とぎ

うちでは猫を一匹お迎えしています。


その猫に爪とぎを与えてるんですけど、段ボール製の爪とぎだから捨てる時に結構面倒くさくて何かいい方法ないかなぁと考えていたら、ベランダに置いて雨さえ降れば雨水を吸収してぺしゃんこになるじゃん、と思い付いたんです。我ながら名案だと思い、新しい爪とぎに取り替えた時にベランダに爪とぎを置いて雨いつ降るかなぁ、とかのんびり考えていました。


次の日の夜、ベランダに放置している爪とぎで爪をとぐようなバリ…バリバリ…という音がして、他所の猫でも来てるのかな、と思ってそっとしておいたんですけど、それから数日間に渡って夜に爪とぎをするような音が聞こえてきて、ついに昨日家の猫がベランダに向かって威嚇するようになったんです。今まで気にしたことなかったのに何故だろうと不思議に思い、カーテンを捲ってベランダに目をやると爪とぎしてたであろう黒い物体がスッと消えていくのが見えました。


「黒猫ちゃんが来てたみたいね〜」


と我が家の猫に声をかけたんですけど、どうしても猫が落ち着かないからベランダに出て様子を見に行ったんです。そしたら爪とぎしたであろう猫の爪跡もあったんですけど、爪とぎの色んな箇所が噛みちぎられてぼろぼろだったんですよ。しかもよく見たら人間の歯型で。その日以降、ベランダに爪とぎを置くことをやめました。あのバリバリと聞こえてきた音って爪とぎの音じゃなくて、爪とぎを噛んでた音って思うと今でもゾッとします。

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