108 結婚式準備開始
買い物デートから3日後。俺はベイリアル家の依頼で鉱山までの街道整備をしていた。
切り株は一部残っているがすでに木は切り倒されていて、街道の青写真は完成したらしい。
残りの切り株を引っこ抜きながら地面を均し、硬化させて行く。
3日かけて道を作り、2日で鉱山周辺に外壁を作った。依頼料は今後10年間の石炭の購入費用に上乗せする形で払ってもらえることになった。
街道が整備された事でマジックバッグを大量に担いで単騎で馬を走らせていた輸送が、馬車で輸送することが出来るようになり効率が大幅に変わる事になる。
速度だけなら単騎で馬を走らせた方が倍は早く着くのだが、輸送量と護衛を連れていける安全性を考えると馬車に軍配が上がるらしい。
いずれは山賊も出るだろうし、馬で引き離せるとはいえ休憩中に魔物に襲われる可能性は高い。レオゲンの西は魔物が多いし、
帰る途中でレオゲンに寄ってタイソンで使う鉄と食料を融通して貰った後、約3週間ぶりにタイソンに戻って来ることが出来た。
久しぶりに見た町並みには見知らぬ人が増え、建てた覚えのない木製の建物や屋台が増えていた。
街の住人は奴隷と金の無い移住者ばかりなのだが儲けは出ているんだろうか?店を定着させるために奴隷達にも多少の日当を渡しておくのがいいかも知れない。
どうせ何割かは税収で返って来るし、仕事の励みにもなるだろう。何年かして街が安定したら奴隷も開放して畑を分け与える予定だし買い物の経験は少しでもあった方がいいと思う。
本か何かで奴隷を開放したほうが税収が上がったと見たことがあるし元犯罪者以外はそのうち解放してしまうのが長い目では良さそうだ。
代わりに開拓村の様に結婚相手の斡旋はやってやれないので、それぞれで何とかくっついて欲しい。
家に戻れば今度は結婚式の準備が始まり、招待客への招待状や返礼品として地球側から伝統工芸品を買って来たりと面倒な仕事が次々と舞い込んできた。
招待したとしても辺境も辺境のド辺境なので来るのはどうせ代理人だろうが、招待客の名前と声を掛ける順番や話題など勉強する事も沢山あり、出歩く暇も無いくらいにやらないといけない事が増えてしまった。
ヴェロニカに頼むわけにもいかないのでひたすら書き取りと音読を繰り返している、もし自分よりも上位の貴族の名前を間違えたら一生嫌がらせをされるだろうから絶対に間違えてはいけないらしい。
しかも来るのは代理人だろうから貴族家の当主だけではなく、代わりに来そうな家人まで覚えねばならず、覚える人数が数倍に跳ね上がった。
簡易鑑定があるので人を間違うという事は無いのだが、あからさまに何か読んでいる様な視線移動ばかりしていると。それはそれで招待したのに覚える価値が無いと軽んじられている様に思われるらしく、鑑定は確認のために使うくらいが良いようだ。
街の運営の仕事はほぼ担当者に任せっきりで決済のサインをするだけだが意外と儲けが出ているようで一月で金貨数枚の利益が出始めていた。
もっとも石炭の売上が無いと大赤字ではあるんだが、商売や領兵による魔物の間引きの時に手に入った素材などの収入も徐々に増えているようだ。
2ヶ月もすれば野菜の収穫も始まるし食料の買い入れももうすぐ減らしていけそうだ。
そういえば今は地下室を食料庫にしているだけだけど誰かにアイスウォールを覚えさせて氷室にしたら生野菜も保存期間を延ばせるよな、兵士の偽ダークエルフの一人に覚えさせて定期的に食料庫に氷を作っておいてもらおう。
どのくらいの時間氷が残っているのか分からないが、温度が変化しにくい地下なら1日一回温度を下げてくれるだけでも違いが出るだろう。
後は育成中の兵士達が魔物を狩れるように成れば利益が出続けるサイクルに入り街運営は
ダンジョンとは違いこの辺の魔物はLv5くらいしかないのでLv20もあれば力負けせずに戦えるので隊列を組んで盾を並べれば新人達を連れていても倒せると思う。
そんなこんなで1ヶ月間、準備で忙しく動き回りながら書き上げた招待状を王都から各地に送り出し。さらに待つこと一ヶ月貴族達が集まり出すが思っていたよりも参加者が多く30名ほどの貴族や代理人が集まった。
出した招待状の半分以上は不参加の返信と祝いの品だけ送られて来たのだが。その量も一人当たり馬車2台分贈られて来るのでかなりの量になり。
さらにコークスやロックスパイダーの糸などを買って帰るので儲けもかなり出ているらしい。
まだ領の特産品が少ないので返礼品にエルジーに作ってもらった効果の高い精力剤を渡した。
本来は新婚夫婦に祝いの品として渡すのが一般的らしいのだが俺の噂的に逆に渡すくらいが似合うし、とても喜ばれるらしいので話し合いの結果これになった。招待状にもその
対応のためにニ十人ほどホムンクルスを増やし、その記憶力と再現力を活かして優秀なメイドを増やした。作って数日で優秀なメイドは出来上がるが普段はこんなに人数は必要無いのでちょっと使い道に悩み始めている。
魔力供給も大変なので全員をダンジョンで戦わせるのも難しいし、美人なので他の場所で働かせて惚れた腫れたを相談されても困る、普通の人から仕事を奪いすぎても後で歪みが出そうだ。
そういった小さな悩みをいくつか先送りにしたまま日々を過ごし何とか準備万端で式当日を迎えることが出来た。
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