103 街道建設

 翌日、のきねぇ達の家を一等地に作りあげ。壁で囲った敷地内に倉庫と使用人の家と井戸を併設して建てておいた。

 二人はどうやら10人ほどで店を回すつもりのようだが間違いなく足りなくなるだろうからサービスしておいた。

 この街唯一の衣料品店なのだ領兵や使用人達の統一衣装など作る物はいくらでもあるので職人は多く抱えていて欲しい。

 街を創るのを手伝うと言ってくれたのだ目一杯甘えさせてもらおうと思う。奴隷が嫌なら移住者でもホムンクルスでもいくらでも差し出そうじゃないか。

 向こうのネタが通じるうえに何のしがらみも無い便利な店を使わない訳が無い。ついでに領主御用達の看板も付けておいてやろう。

 2人の店を出来るだけ写真の雰囲気に似るように頑張って作り上げた後は、そろそろギルドの出張所の人員が派遣されるという事なので仮設の建物をレオゲンのギルドの間取りを思い出しながら作り上げる。

 街道作りで1週間ほど街を空けるのでその間の間に合わせではあるがこれも後から変更できるからこそ出来る強みだな。




 それから1ヶ月、移動日を含め1週間1セットで道を作ってはタイソンに帰る生活を送った。セオ以降は移動日の方が多くなるがどうせ工期を伸ばさないといけないのでツーリングを楽しませてもらった。

 山賊が襲ってくることもなく順調に工程は進み、後はヴェロニカを連れて王都まで行くだけになった。

 地球では以前関わったアイドルグループのミュージックビデオの再生数が凄い事になり5千人規模のライブが決まったと連絡が来た。まだ先の事ではあるが関係者席で観ることが出来るらしいので喜んで行ってこようと思う。

 後は復活薬の実験結果がで出て霊石の買取額が数量限定で10万円での買い取りが始まった。

 カードの召喚獣はどんな大怪我で死んでも下級復活薬で治せるなど色々と検証された効果が発表されて、ポーションと復活薬が保険の対象になったが復活薬の売買には処方箋などが必要だったりと偉い大人達もダンジョン関連に絡もうと必死な様子が伺えた。


 ダンジョンに関してははまだ49階で足踏みをしている。

 街の警備などで主要メンバーが全員集まれないのもあるが情報が少なく、バジリスクの様なボス枠のモンスターなのでは無いかと警戒しているのが理由だ。

 まあ、この一ヶ月以上魔素を貯めてスカラに上級ヒールを覚えさせ、他にも武器術や2属性目の魔法やストーンウォールを覚えさせたので準備としては十分だろう。

 新たな戦力としてはゴブリン達がバンシーのカードを、ローレルの喚んだスケルトンナイトがゴブリンのカードを拾ってきた。

 それぞれヴィヴィとギギと名付け、ヴィヴィは魔法系のギギは他のゴブリンと同じくポールアックスとスキルを持たせた。

 上級ヒールになったことで奴隷の治療速度も改善し、街を守れる人員が増えたので主力を引き抜いても問題が無くなったしそろそろ向かおうとは思っている。


 ギルドも職員が到着して移住者と共にいくつかの冒険者パーティと商人が来る様になり税収が入る様になった。

 タイソンだけでは無くイストリーにも多くの移住者が来たので理由を聞いてみたら、口減らしで街に来たが仕事に有りつけず上手く街に馴染めなかった者がイストリーの村を希望して移住しに来ているそうだ。

 そういう者は男女問わず何処の街にもいる様で30人ほどの新規住民を獲得できた。手に職が付いている者はいなかったが元農民とアイアン冒険者達で街に欲しい人材なので全員受け入れた。

 元冒険者達は奴隷ではないので育成には時間がかかるだろうが巡回だけなら問題はないだろう、武器と防具は良いものを装備しているので魔物の討伐を多目に行かせて育ててもらおうと思う。



 準備を整えるとタイソンから飛び立ち、レオゲンに一度寄って領主館にヴェロニカを預けて薬屋に一晩泊まる。

 小休憩後に偽ダークエルフ隊以外の主要メンバーを全員集めてダンジョン50階へ行くための準備を始めた。



「大分久しぶりにはなったが50階の説明をさせてもらう。出て来るモンスターはアピスという聖属性の大きな牛だ。

 ライトカッターと突進が危険ではあるが大きな角による突き上げや後ろ蹴りに踏みつけなど大型の獣がやってくる攻撃はすべて危険だから上手く避けてくれ。」



 ダンジョンに入り遠目に見えたアピスは、以前見たロックライノクスを超える体躯を持ち頭部よりもデカい巨大な角の生えた大きな牛だった。

 2匹の牛はこちらを見つけると走り始め一瞬で加速して自動車の様な速度でこちらに向かってきた。

 突進が危険だと事前の情報で聞いていたので覚えさせたストーンウォールをインキュ、サユキ、ヴィヴィが唱えアピスを減速させる。

 2枚の壁にぶつかり完全に止まったアピスにフォレコが飛び乗って噛みつき、1枚の壁で減速しただけのアピスには岩の壁が崩れると同時に精霊達のカノンが突き刺さり巨大な角がへし折れた。しかし頭に2発当たったにもかかわらず頭が吹き飛んだりもせず立ったままフラフラとしており頑丈さが伺える。

 ゴブリン達が止めを刺しているのを確認しフォレコが噛みついたアピスに目を移すとトラッドが撃ったウインドカノンと入れ替わりにフォレコが離れるところだった。

 足をすくわれて転がった巨体に次々とランスが突き刺さり、ホムンクルス達が起き上がれないようにアピスを押さえつける。

 新たに怪力のスキルを取ったネヴェアの大剣による一撃が、喉を切り裂き大きな傷を作ると暴れていたアピスが大人しくなり粒子に変わっていった。


 アピスが落とす大きな角は斧や鎚、長柄の曲刀などに使われる素材で聖属性の魔力が付与された装備が作れる。

 聖属性武器なのにアンデットに特攻は無いが霊体への攻撃が可能になり闇属性以外の相手に威力が上昇する効果があり、簡易ではない鑑定スキルで攻撃した相手の生命力と魔力を微量だが吸収する効果がある事が分かっている。

 ゲームのように生命力を吸収したら傷が治るわけではないが疲れが抜けるくらいの効果が確認されているらしい。


 3匹目が壁にぶつからず通り抜けて来ることはあるが通り過ぎて戻って来る頃には他の2体は瀕死になっているのでUターンして戻ってきたらもう一度壁にぶつける事で倒すことが出来た。

 5時間ほどの探索で階段を見つけたが上の階には行くことが出来ず、転移の登録だけして準備部屋に帰ることになった。

 部屋みに戻って魔素交換を確認すると51階以上への鍵が売られていたので今後は10階ごとに鍵を買って開放していくシステムになるのかも知れない。

 購入には50万ポイント必要なのでまた魔素を貯めないといけない様だ。

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