99 人のいない立派な街

 50人も人口がいないのにレオゲンの街並みのサイズで外壁を作ったので警備は大変だろうがこの辺ならトロールでも来ない限り壊されないだろうからかなり安全になったと思う。

 道も大通りだけでなく細かい道も張り巡らし、ラウンド交差点を定期的に配置することで中央へ直進しづらくして防衛力を上げた。

 まぁこんな所に馬で攻めてくる国があるのか分からないがまだ山の向こうは調べていないので有り得ないと言う事は無いと思う。

 精霊の力を使えばトンネルも掘れるだろうし異世界人が増えている今権力欲や領土欲を持つ者も出てくるだろうからいずれは戦争か内乱もあるだろうから防衛設備は必要だと思っている。

 その時のための直進できない道と2重の防壁、さらにワイバーン対策の巨大バリスタが設置できる場所も外壁に作っておいた。

 一山向こうに生息していたのでいずれテイムを狙った連中が引っ張ってくる事も考えられる。かなり遠くの望遠鏡にも気がついていたし遠くまで追いかけて来るかも知れない。

 分かっているだけでも付近に2種の大型の魔物がいるため、外壁はしっかりと王都にも負けない厚みを持たせてトロールでも登れない高さの壁を作ったので日当たりはかなり悪い。

 壁沿いに広めに道路を作り倉庫や荷物置き場などが作れるようにスペースは開けたが付近の収穫量は下がるだろう。まあ畑の土を作るのは俺の精霊なので許して欲しい。


 道の後は宿を西側と東側に作り大量の馬車を止められる様に井戸がある広場に駐車スペースと大きなうまやを建てる。

 商人ギルドと冒険者ギルドは整地だけして土地を確保しておき必要になったら希望を聞きながら作るつもりだ。

 街の南側一帯は畑にしたので北側を住宅街にして北門からすぐの所に練兵場と兵舎を作った。

 門だけで警備する人間が10人以上必要になるのでしばらくは南北の門は封鎖するしか無いだろうけどいずれは管理できるだけの兵員は欲しいな。

 護衛や施設の警備、街の巡回などを考えると最低でも50人は必要になるし交代や休暇なども考えると100人くらい必要になるんだけど村って何人の兵士で守っているんだろう?


 自宅になる館は他の貴族を泊めたり大広間や複数の食堂と必要な部屋の種類も多くヴェロニカ嬢や新しい執事と一緒に間取りを考え、結局3階建ての石の城が街の中央から北寄りの場所に建てられることになった。

 装飾もされていないので城というよりも砦にしか見えないがちょっと立派に作りすぎたかも知れない。

 色は黒くするとより砦っぽさが出るので土の色を明るくしたクリーム色にガラスの素であるケイ素を表出させて外から見える部分をテカらせた。白亜の城と言うには黄色っぽいがなかなか綺麗にできたのでは無いだろうか。

 精霊を使わないと修復が出来ないので子孫達は苦労するだろうが頑張って土精霊に頼んでくれ。

 部屋の大きさの割に窓が小さく全体的に室内が暗いので相談したら油を燃やすランプと光属性の魔石を使ったランプ、フローティングアイの結晶体を使った明り取りの窓を勧められた。

 軽油は燃やすと煤が出るので植物油が手に入らない現状では保留、魔導具のランプは設置するだけではなく持ち運びにも便利なので少しづつ買い集める事になった。

 フローティングアイは混乱の状態異常が怖くてあまり行かなくなっていたが暗殺者が入り放題になる脆いガラス窓を作る気はしないので明り取りの窓はこれで作っていこうと思う。

 フローティングアイも今なら弓を使って魔眼の射程距離外から攻撃出来るから楽に倒せるかもしれない。強度的にも数回の剣戟に耐えられるらしいので防弾ガラスほどではないだろうが侵入を防いでくれるだろう。

 もちろん岩を砕くような魔法を使われれば一発で破壊されるがそんな大きな音が鳴れば兵士も集まるのでやる様なバカな暗殺者もいないだろう。

 これからは暇を見つけては精霊に装飾を覚えさせて色々いじくっていこうと思う。どこぞの教会の様に付け足していくのを趣味にするのも面白いかも知れない。


 炭鉱に戻って来てから4日ひたすら建物を建て続け、制作魔法で木を消滅させてドライアドに睨まれたりしながらも家具を作り続けようやくこの街で暮らしていける環境が整った。

 畑も精霊達に耕してもらい種を埋めて水を撒くだけという状態で後を奴隷達に任せた。

 すべての畑を管理するには人数が足りないため移住者を募ってもらうようにヴェロニカ嬢に頼み、この立派なゴーストタウンを賑やかにして行くために人を集め始める事にした。

 商人ギルドや冒険者ギルドの誘致はまだ先のつもりだったがロックスパイダーやトロールなどの有用な素材を手に入れるために早めに出張所を作ってくれるらしい。

 どちらの魔物も動きが遅く魔法使いがいればシルバーのパーティでも倒せるので良い稼ぎになるそうだ。


 炭鉱の管理人ということで来ているがヴェロニカ嬢に街の管理も任せ始めて事実上の領主夫婦の様な関係となり領主館の部屋をプレゼントしたことでついに手を出した。

 メイドのマルティナさんに見守られながら致すことになったが、誰かに見られながらするのは慣れているので存分にインキュに習った技を発揮できたと思う。

 初めての相手にはやりすぎかも知れないがマルティナさんに合格を貰えたので大丈夫だろう。

 明日は辺境の村を整備し商隊が泊まれるような宿や村を囲む外壁を作ろうと思う。そろそろ村長への正式な通達も来ているだろうし自重せずに畑も広げてしまう。いずれこの領地の食料庫になるだろう村の一つなので一緒に規模を拡大してもらわないといつまでも食料で自立できないからな。

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