83 岩山登山
簡易鑑定のメガネの存在を忘れていたので76話で鉄鉱石を簡易鑑定した文に変更しました。読み返す必要はありません。
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翌朝、朝食を終えて準備を整えゲートを通って北へ向かうが1日目はトロールが再び出てきたくらいで変化もなく水属性の魔力がまだ多い様でウォータースネークなどの水属性の魔物が現れた。
徐々にフォレストキャットが出始めたのでもう少し移動しないと変化は無さそうだ。
2日目、段々木々が減り岩肌が見える場所が増えて来ると水属性の魔物は姿を消しロックウルフや大きな蜘蛛の魔物が増え始めた。
見たままビッグスパイダーと呼んだらネヴェアに訂正されロックスパイダーという名前だと判明。
岩肌のような外殻を持ち
巣も見つけ難くて気づかずに触れてしまうので注意が必要だそうだ。
この辺にあるのは古い巣なのかよく見えるので松明で焼きながら進んで行く。
尻から出す前の糸袋ならいい値段で売れるらしいが粘着性を持った糸はあまり需要が無いらしいのでどんどん燃やしていく。
よく燃える材質な様で一瞬で数メートルの範囲が燃え尽きるのは見ていて楽しい。
「旦那は巣が見えてるのか?」
「え?そりゃこれだけ太い糸で作ってたらよく見えるだろ。」
「残念だけどあたいには今燃やした巣も見えなかったんだよねぇ。」
巣があるとフォレコが立ち止まるので松明を持った俺かインキュが燃やしに行くのだが見るためにレベルかステータスが必要なのかも知れない。
全員に聞いてみるとフォレコとトラッドとインキュは見えておりホムンクルス達とサユキ、スカラ、シドーは見えていないらしいので結構ギリギリのラインで見えている様だ。
見つけたロックスパイダーの位置をスカラに教えフレイムランスで倒してもらいダリアに解体してもらう。
大きな尻の半分ほどに糸袋が詰まっていて20cmほどの袋が採れる、これの口をよく縛り小さな穴を針で開けて絞ると粘り気の無い丈夫な糸が採れるらしい。
カイコの作るシルクのように高級な布が作れるらしいからいずれはあの村の産業になるだろう。
ロックスパイダー達の巣を焼きながらまっすぐ北上していくとさらに木々が減り地属性の魔物ばかりになってきた。
そろそろ日が落ちてきたので今日はここまでにして準備部屋に帰る。
3日目、ロックオクトパスなどの強力な地属性の魔物が現れ始め切り立った崖が多くなって移動出来ずに困ることが増えて来た。
午後になってこのまま北上するのは無理と判断して山を降りていると崖の壁面に人間の身長を越える高さまで黒く染まっている地層を発見した。
ツルハシで掘ってみると炭の様に割れて黒く輝く断面を見せてきた。
離れた岩の上に置いた黒い石をスカラにフレイムランスで燃やしてもらうとランスが消えた後も真っ赤な炎を上げて燃え続けている。
「鑑定で石炭と表示されたけど一応何箇所かで分けて採掘してくれるか。」
「鉄鉱石に次いで石炭の鉱脈発見、旦那は鉱山主にでもなるつもりなのかい?」
「いやそんな面倒な事はしないしそういうのは国から派遣されるものなんじゃないのか?」
「では鉱山街の領主になるつもりも無いのですか?」
「無いね、やるにしても誰か他の人を雇って任せると思う。」
鉱山は死亡率が高いと地球では言われていたんだ。そんな所を管理するとなれば仲良くなった人を死地に送らないと行けないかも知れないし、毎年の様に知り合いが死んでいくのに俺が耐えられるか分からない。
もちろん奴隷やホムンクルス、スケルトンに働かせる事もできる。毒ガスだけは耐性を覚えさせることが出来るが落盤や水没事故はどうにもならない。
領主はまだ現実的だがフェリを第一夫人にしたら何処かから横槍が入りそうだしダンジョンに連れていけなくなるので仕事ができる執事か嫁が欲しい所だ。
現状その伝手も無いので村長だろうとやるつもりは無い。
「しかしこれを報告すると何かしら押し付けられる事にはなると思いますよ?」
「そうだねぇ報奨金を払うにしてもこうも立て続けじゃ払いきれないだろう。」
「じゃあ領主やギルドに報告しないで他の人の手柄にしたらいいんじゃないか?
辺境の村の村長にだけ伝えておけば必要になったら情報を領主に伝えてくれるんじゃないか。」
「村の狩人じゃ来れないんだからそのうちバレるのは変わらないと思うけどね。いっその事しばらく報告しないのは駄目なのかい?」
「それでもいいけどその間に他の人が見つけるとなんか
我ながら面倒な性格だとは思うがゲームの攻略情報を見つけては攻略サイトを編集するのは一つの楽しみだった。
まぁいずれは冒険者ギルドのランクが上がって爵位を授与されたりもするんだろうしそこまで行ったら俺も断るつもりもない。
冒険者ギルドの最高ランクであるオリハルコンランクやその下のミスリルランクを蔑ろにする様なら国なら他の国へ行く覚悟も出来るしな。
そこまで考えて自分のやりたいことで人に責任を押し付けるのも違うかと思い直す。石炭については領主に呼び出された時に手土産として投げることにして報酬は向こうに任せてしまおう。
「うん、面倒になったから領主に全部投げてしまおう。ぶっちゃけ鉱山もらおうが村をもらおうがなんとかなるしな。」
「まぁそうだろうね。ホムンクルス達がいれば人員はなんとかなるし物資もワイバーンを使えばいくらでも運び放題だもんね。」
「そうですわね、多少の心得はありますしわたくしもお手伝いできると思いますわ。」
「その時はよろしく頼むとして今は薬屋を起動に乗せるのが先かな。色々と素材も取れたし一度街に帰ろうか。」
アーラが飛び立てる広さを確保して広場を作ったが今から帰ると街へ着くのは日が暮れてからになる。今日はここまでにしておいて明日レオゲンまで帰るとしよう。
時間が少し早いから休憩を取った後早めの夕飯を食べてダンジョンの攻略を進めるとしよう。
「ダンジョンの49階に出るモンスターはレギオンという幽霊の集合体の様な魔物だ。
魔法はダークカッターの他に死霊魔法を使って大量のゴーストを喚び出して来るらしい。
体は霊体で物理攻撃が効かないのでミスリルかフロストベルグの爪を使った槍かサンダーバードの爪を使った弓を使ってくれ。
魔法には弱いらしいけど大量のゴーストが邪魔なので数を減らすのを頑張ってくれ。」
「旦那、レギオンって霊石を落とす気持ち悪い黒い球みたいな奴のことで合ってるかい?」
「詳しい姿は知らないけど霊石を落とす死霊系のモンスターって事なら合ってると思うよ。」
「てことは復活薬の材料じゃないか!このダンジョンの他の階みたいな量が手に入るんだったら白金貨なんて目じゃないほど儲けが出るよ!」
「復活薬って作れるのか?他に必要な材料は知ってる?」
「おとぎ話でも有名な薬ですのでそのお話を知っている方であれば知っている方は多いと思いますわ。
作り方もおとぎ話通りなら中級以上のポーションに霊石を浸すだけですから簡単に作れると思います。」
「使ったポーションで癒せる傷なら生き返すことが出来るから上級ポーションを作れる旦那ならポーションの価値を5倍にも10倍にも出来るってわけさ。
本来なら大きな墓地で10年に1度出て来るかダンジョンでたまに見つかるくらいの珍しい魔物なんだけどこれは価値が大暴落しそうだねぇ。」
「復活薬に初級、中級、上級ってあるから何かと思ってたけど重症で死んだ人間に初級を使っても生き返らせられないのかよ危ねぇな。
ちょっとこれネットに書いてくるからちょっと待ってて。」
復活薬の仕様をまとめて掲示板とダンジョン攻略Wiki、政府へのメール。最後にろくに動かしてないのに無駄に有名なSNSのアカウントで投稿すると、人気の話題に以前関わったホムンクルスを使ったアイドルが上がっていたのでついでに宣伝を手伝っておいた。
「お待たせ。さてと、もう話してない事は無いよな?」
「途中で遮って悪かったね。多分大丈夫だと思うよいつもやる注意分は終わってる筈さね。」
「そうか、なら問題ないな。」
止まっていた準備を進めて闇耐性が上がる闇の魔石のブレスレットとナイトメアホースのマントを着てダンジョンに向かうゲート前に集まると全員でゲートを通って49階へと入った。
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