80 3姉妹

 夜に襲って来る魔物もいなかったらしく夜中に起こされることも無く早めに起きて朝食を作る。

 夜と同じ物を作るのも芸がないので醤油で味をつけてみた、意外と好評だったので今後もバリエーションの一つに使っていこう。

 鳥はいるんだし鶏ガラスープの元なら持ち込めるんだろうか?あれがあるだけで大分味が変わるんだけど。

 味噌汁は好みが分かれるかも知れないがで中華スープなら塩だけのスープを飲んでる人達に受けそうな気がする。


 食休みの後テントを片付けて空を飛んで街まで戻り冒険者ギルドで報告をする。

 報告と言っても依頼主と一緒に行ったのでサインしてもらった依頼書を見せるだけだけど。



「今回は本当に助かったそなた等のおかげで街に産業ができ鍛冶師を誘致することも出来るだろう。

 何せ今まで武器を打てるような鍛冶師すらいなかったからな!

 必ず報奨に色を付けるように言っておくからもうしばらく待っていてくれ、その際にはご当主様から呼び出しがあるだろうから再会を楽しみにしておるぞ。」


「お話しできて楽しかったですまた一緒に空を飛びましょう。」


「うむ、得難い体験であった。今度は一緒に酒も飲めるとよいな。」


「俺は下戸なので期待に答えられるか分かりませんがネヴェアなら飲めるし大丈夫かな?」


「それなら茶でも飲めば良いさ、それではまた会おう。」


「はい、またお会いしましょう。」



 ギルドの玄関をくぐった所でエドワードさんと別れ依頼と倒した魔物の買取額をもらう。

 戦闘は殆ど無かったので稼ぎはほぼ金貨1枚だけだがこの街で暮らしていくならいい繋がりが出来たんじゃないだろうか。

 しかし初めて会った人と5時間二人っきりなのはとても緊張した、変なことを言っていないといいのだけど。

 冒険者ギルドに来たついでに掲示板を見て月光の花を取りに行くついでにできそうな依頼を探すが良さそうなものがないな。

 ウォータースネークの討伐依頼はあるけどあの沼地を歩くのは遠慮したいし常設依頼だけでいいかな、ついでに山の方の魔物の分布でも見て来ようか。

 山の調査依頼は変わらずに掲示されているけど今は支払いのためにお金を貯めないといけないのでまた確認のために呼び出されて足に使われると少し困る。何か見つけた時にでも報告すればいいだろう。




 冒険者ギルドから薬屋に帰宅しソファに身を沈める。この2日長時間の緊張を強いられたので精神的に疲れ切ってしまった。

 今日はもう動く気はしないので皆に解散を伝えて適当に過ごすことにする。

 魔素も貯まっているしスキルでも覚えさせようかな、ホムンクルス達に身体強化や武器の扱いなどをネヴェアが教えていたが武器の扱いはともかく身体強化は魔力の扱いが出来ているのにスキルとして発現せず覚えることが未だに出来ていない。

 これはゴブリン達も同じで人間なら一週間も練習したら発現くらいは出来るはずなのに未だに一度も成功していない。

 記憶力と学習力の高いホムンクルスが出来ないはずがないので召喚獣とホムンクルスは訓練でスキルを増やすことが出来ないのかも知れない。

 ちなみにフェリとベラの念話は俺が教えようと試してみた、相手を思い浮かべて念話を使用すると考えれば発動すると教えてみたが全く成功しなかったので魔素を使って覚えてもらった。


 ダンジョンの敵も強くなっているしいい加減見切りをつけて魔素で覚えさせたほうがいいだろう。

 30万ポイント貯まっていたのでフォレコとゴブリン達4人に身体強化を覚えさせることにした。

 ネヴェアもジュリアに身体強化を覚えさせることにしたらしく前衛組が一気に強化された。


 エルジーも魔素は貯まっているが今は新しく必要なスキルも無いので保留すると言っていた。

 ローレルの死霊魔法を見てレベル上げのために何か使役するスキルがいいかも知れないと考えている様だ。

 シルフがいるので魔力をあまり使わずに済ませたいがホムンクルスの胚がリストに表示されておらず俺が買い与える必要があり、テイムや死霊魔法はあまり融通がきかないのでだめらしい。

 器用さ強化や魔力量増加みたいなスキルがあれば薬作りにも役立ちそうなんだけど残念ながらリストには無かった。触覚強化ならあったけどこれはちょっと違うだろう。

 魔素の分配が減るためエルジーとベラはパーティから外す予定だったが向上心があるならホムンクルスを1体づつ渡そうか。フェリもスライムでは戦えないしいっその事奴隷達4人のホムンクルスでパーティを組ませて狩りをさせれば魔素の獲得量で悩む必要も無くなるだろう。

 ネヴェアには悪いがジュリアには引率をしてもらってパワーレベリングをしてもらおうと思う。


 見た目は完全に俺の趣味でいじらせてもらいフェリとサユキは固定で以前のアイドルグループの遺伝子を使って3姉妹を作った。

 割合をほぼ半々にしたおかげで姉妹というよりは似た親戚くらいになりサユキの要素を増やしたおかげで胸も大きくなった、少し身長が下がって小さな角が側頭部に生えているが帽子で隠せる程度なので大丈夫だろう。

 ジュリアもフェリとサユキの遺伝子で作られているが両性体なので4姉妹と言っていいのかは分からない。



「シエナの時に見たから知っているかも知れないがそのホムンクルスの核に魔力を流して床に投げるとホムンクルスが出来上がる。

 あれを何度もみたくはないだろうからちゃんと3人でタイミングを合わせて投げるんだぞ。」



 光景を思い出したのか強張った顔で核を受け取りフェリの合図で一斉に放り投げる。

 近くに投げすぎたのか蠢く肉塊がくっつき合っていつもより大きくなりぶつかり合うように揺れ動く、弾かれるように3つの塊に分かれると徐々に小さくなって人型に変化した。



「次は立ち上がるように命じて名前を付けてやってくれ。」


「ではわたくしから、立ち上がりなさい貴方の名前はヴァイオラです。これからよろしく。」


「立ちなさいあなたの名前はウィローです、よろしくお願いね。」


「立ってください、あなたの名前はライラです。よろしくお願いします。」



 フェリがヴァイオラ、エルジーがウィロー、ベラがライラと名付け3人に服を着せていく。

 事前に名前を3人で相談して草花に関係ある名前を付けることにしたらしい。



「この3人は外に出すつもりは今のところ無いけど店内の掃除や倉庫整理なんかの荷物持ちになら使っていい。

 普段はダンジョンで狩りをするのが仕事だな。ジュリアには悪いが3人の引率をしてもらってまずは9階でイノシシを倒してレベルを上げて欲しい。

 Lv10くらいまで上がったら11階以降で4人で狩りをしてくれ。防具はそれまでに作るから武器はお古を使ってくれ。」



 靴と服はさすがに余ってる素材で作ったが武器は丁度ミスリル武器と持ち替えた時の物があるのでそれを使ってもらう。

 壊れなければ30階でも使えるし剣、槍、斧と武器種が分かれていて丁度いい。

 エルジー達もレベル20を越えたのでゴブリン達を返してもらいスライムのボニータを連れて行くのをやめればゴブリンPT、動物型PT、ホムンクルスPT、アーラ、ローレルの5組がそれぞれ魔素を稼いできてくれるようになる。

 今までのままでも1日6万〜7万も魔素を稼いで来てくれてたがどのくらい増えるのか楽しみだな。


 レベルといえばボニータはずっとゴブリン達に連れ回されてレベルが35を超えているのだが、動かないスケルトンを攻撃させても転ばせることしか出来なかった。

 防御力は怖くて試せないけどホーンラビットに突かれたら死んでしまう気がする。

 レベル一桁の時からゴブリンを薙ぎ払っていたアーラとの種族差を考えると涙が出る。

 ただ、詳しいステータスは分からないが俺と同じく戦っておらずMPはたくさんあるはずなので新人ホムンクルス達の魔力補給をしてもらいたい。


 俺のレベルもいつの間にか54まで上がっているし召喚獣達には頭が上がらないな。

 新しい死霊も呼べるようになったし48階以降の攻略もそろそろ進められそうだ。



**********

間使 翔人(まつかい しょうと)24歳♂

種族:人間

Lv43→54

最大HP:440+110=550

最大MP:1170+220=1390(-70)

力:53+11=64

頑丈:53+11=64

敏捷:53+11=64

器用:68+22=90

魔力:53+11=64

精神:53+11=64

残りポイント:43+11=54


スキル:

ホムンクルス生成、製作魔法、ゴーレム生成、テイム、精力強化、念話、死霊魔法


称号:精力絶倫


装備:

鉄のカトラス、溶岩亀の甲羅の小盾、岩蛸の胸当て手甲脚甲、飛竜の革服、岩蛸の革兜、睡眠馬の革グローブ、睡眠馬の革ブーツ、八属性のブレスレット


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