77 調査依頼報告完了

 冒険者ギルドの1階に戻り空いている受付で完了処理をしてもらう、ヘイディさんが受付嬢に少し話しかけると依頼書に完了の印を押してもらえ、常設依頼の討伐部位も並べて一緒に処理してもらった。



「こちらが依頼報酬の金貨1枚になります、常設依頼の方は合計で銀貨31枚と銅貨28枚になりました。

 遺品もあるとお聞きしておりますのでこちらにお出し下さい。」



 ゲートを開きカウンターの上に遺品を並べていく、指輪などの装飾品や防具、目立つ意匠の武器や手紙など量産品意外の物達だ。

 マジックバッグは2つあったがどちらも市販の物だったのでこちらで使わせてもらう、取り敢えず一人でも行動する機会がありそうなネヴェアとベラに渡しておくつもりだ。



「そういえばオークの村にあった遺品の方はどうなっていますか?」


「ほとんどの物は引き取られたのですが一部の物がまだ残っております、すでに一月は過ぎておりますので締め切ることも出来ますがどうされますか?」


「何が残っているのかも気になりますし締め切って下さい、しばらくは売り払う気も無いので問い合わせがあったら対応します。」


「承知致しました、では少々お待ち下さい。」



 受付嬢が席を立ち上がり裏へ行くと箱を持って帰ってきた。



「お待たせ致しましたこちらが買取額金貨2枚と銀貨18枚、銅貨26枚です。

 それと引き取り手がいなかった品をお返しします。」


「ありがとう、確かに受け取りました。」



 箱の中を確認してみると銀製の装飾品は無くなっていたが金の首飾りが1つと銅製の物が十数点、木製の物が数点残されていた。



「装飾品は黒ずみもサビもなくどれも綺麗な状態でしたので買取額が上がり予算内で買取ができない方もいらしたのでおそらくもう声がかかる事はないと思います。」


「あーなるほどそういうこともあるんですね。ちなみにその諦めた方って商人じゃなくて個人ですか?」



 土や血に汚れている物もあったので綺麗になるならいいかと気にしてなかったがサビまでは気にしてなかったな。



「商人の方ですね、木と銅の物以外はほぼその商人の方の物だったと思います。」


「なら気にしなくて良さそうですね、ありがとうございました。」


「こちらこそまた何かありましたらよろしくお願い致します。」



 木の装飾品はどうするか悩むが街で暮らすベラ達に渡そうかな、商人と営業はハッタリが大事らしいし衣装と装飾品は多いほうがいいだろう。

 ホムンクルス達に渡すかは悩んでいるが奴隷達には銅製の物は配るつもりでいる。

 金細工の物はどうしたらいいか悩むけど華美な物でもないしいずれ使う機会もあるかも知れないから仕舞っておくつもりだ。

 受け取った元遺品達を準備部屋に入れて次は買い取りカウンターへと向かう。



「すみません鉱石とかがあるんですけど何処に置いたらいいですか?」


「おう、量はどのくらいあるんだ。」


「砕いたアイアンタートルの甲羅が1mの木箱3つ分くらいですかね。他にも色々とあります。」


「なら倉庫だな、解体は終わってるんだよな?」


「はい、すべて解体済みです。」


「よし、着いてこい案内する。」



 そう言って買い取り所の職員は前に来た解体をしていた倉庫とは別の倉庫へ案内して入り口横に置いてあった木箱を並べていく。



「よし、鉱石はここに入れてくれ、他はいつもどおり床でいい。」


「はい、それじゃあ並べていきますね。」



 アイアンタートルや途中で倒した湖周辺の魔物や山の魔物の素材を並べついでに金になりそうな41階以降の素材を少しづつ混ぜておく。

 金にするためにトロール以外を少し倒して素材を数個づつ集めてきた。



「ウォーターリザードはともかくラヴァタートルなんて何処で取ってきたんだ。」


「まぁワイバーンでちょっと遠出を。」


「そういやそんな話が上がってたな、この辺は水の魔物が多いから水に耐性がある素材は助かる。

 でかいからそう何個も持ち帰れないだろうがまたよろしく頼むわ。」


「了解です。」


「ほれ、出来たぞこれを持って受付に行ってくれ。」


「ありがとうございます。」



 倉庫を出てギルドの本館に戻り木札を受付へ差し出す。



「計算が出来ました合計で金貨18枚と銀貨19枚、銅貨35枚になります。」


「確かに確認しました。」


「パーティ森猫の影は評価は十分ですので後は依頼回数を数回分こなしていただければショートさんとネヴェアさん以外の昇格が可能になっていますね。

 常設依頼の達成回数もすごいですが通常依頼の内容も申し分ないです今後も活躍を期待しております。」


「ありがとう、無理のない範囲でがんばるよ。」



 上がったばかりだと言うのにクルス達はもうランクが上がるのか、森を歩いているとフォレコ達が見つけた敵をすべて倒して来るのでクルスやダリアに準備部屋内で解体してもらわないと進めないくらい素材を集めていたからな。

 銅貨数枚から銀貨1枚ほどの素材とはいえランクを上げるために必要なので捨てずにすべて拾ってきた甲斐があったようだ。

 ミスリル武器の残金分もあと半分ほどで貯まるし順調だ。


 ギルドを出ると次は購入した店舗に向かうためエルジー達に念話で店に向かう事を伝える。

 店の裏に回るとベラが外で待っていて出迎えてくれた。



「わざわざ待っていなくても念話したら扉を開けてくれれば良いんだぞ?」


「いえ、さほど待っておりませんし使用人の仕事ですので。」


「まぁ仕事に支障がないなら好きにするといいさ。」


「はい、掃除も終わりましたし今はやることも無いので好きさせていただきます。」


「ああ、そうだ。薬草を取ってきたからエルジーを呼んでくれ倉庫に先に行ってる。」


「それでしたらすでに倉庫にいらっしゃいますよ、保存用の瓶などの整理をしているはずです。」


「そうなの?なら丁度いいな。」



 倉庫部屋に向かいエルジーに声を掛ける。



「エルジー薬草を採って来たから机の上に出すよ仕分けと仕舞うのは任せる。」


「ありがとうございます、整理が終わったら早速調合させて頂きます。」


「あと次は月光の花の蜜を採ってくるつもりだけど上級ポーションの調合をしてもいいけど高額の品だから変な奴に目をつけられるかも知れない、シルフがいるとはいえ十分気を付けてくれよ。」


「はい、シエナさんに戦い方も習っていますしレベルも20を越えています。暴漢なんかに負けませんよ。」


「店なんて壊してもいいから死なないでくれよ、生きてさえいれば上級ポーションとヒールで直せるから。」


「さすがにそんな事はないと思いますけど私に死にかけるような怪我をさせたらシルフが街を更地にしかねませんよ?

 魔石のおかげで魔法が使い放題の精霊の方が危険だと思います。」


「出来れば攻撃するのは犯人だけにして欲しいな…さすがに賠償金が払いきれない。」



 薬草類と陽光の花の蜜を準備部屋から取り出して机に並べ邪魔しないように部屋を出る。

 整理は大変かもしれないが職人の部屋を勝手に弄っても良い事は無いからな。

 手伝いはベラとシエナがいるし後は任せる。

 家具が置かれた店内や2階の応接室などを見て回りゲートを2階の突き当りの壁に作って応接室の椅子の座り心地を確かめる。

 高い物じゃ無かった筈だが革張りの2人用の物が2つ置かれていた。

 柔らか過ぎて立ち上がり難いという事もなく俺にはむしろ使いやすい気がする。

 クルスが準備部屋で入れてくれたコーヒーを楽しみながらしばらく雑談をし早めの夕飯を取ってから解散となった。

 エルジー達は今日からここに住むらしくすでに宿は引き払ったらしい。

 そんなに急がなくて良いと言ったが大した手間ではないと言われて押し切られてしまった。

 マジックバッグを渡したベラに恐縮され、渡した装飾品に喜ばれ今日は久しぶりの3人に相手をしてもらう。

 装飾品を着けると普段の格好でも色気が増して見えて他の貴金属も買ってみようかと思わせる。

 装飾品が合うドレスっぽい服も欲しくなってしまった。

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