73 散財
購入した自宅に鍵を締めて出ると3人の宿を取りに行く。
今日はまだこの街にいるので1日分無駄になるかも知れないがいざという時にどこの宿に泊まっているか分からないのも困るので先に1週間分払って宿を取ってしまうことにした。
ぶっちゃけ今更銅貨の20枚や30枚は誤差だしな。
宿を取ってもまだ日暮れまでは時間があるので発注出来なかった日用品で必要なものを買いに雑貨屋などを回る。
ベッドや布団は発注出来たがタオルや食器などは買わないといけない。
地球産の歯ブラシなどの他、今まで使っていた小物も石油製品系は全部持って来ることが出来ないため色々と買い足さなければ暮らすことが出来ない。
後は武器屋に行って矢とクロスボウを追加で買っておきたいな、ミスリル武器も買えるかも聞きたいし寄ってみよう。
ネヴェアの腕が治った姿も見せに行きたいしな。
「おっさんいるかい?久しぶりに顔を見に来てやったよ。」
「おうネヴェア、色男と一緒に王都に行ってもう帰って来ねぇって噂になってたぜ。」
「誰だいそんな事言い出した奴は会ったらシメてやらないといけないね。」
そう言って治った腕をこれみよがしに持ち上げて揺らして見せる。
「おいおい本気で治療したのかよ、俺の見る目も落ちちゃいねぇな。」
「全くだよ、よくあの時の旦那を見て目をかけようなんて思ったね。」
「あたりめぇだ。何年武器屋やってると思ってんだ装備を買っただけの奴と使ってる奴の見分けくらいつくわ。
それにあの時装備してる物の中にはゴールドランクでも持って無さそうな物も混ざってたからなそのうち直してもらえるかもしれんとは思ったがまさかこんなに早いとはな。」
「それは私も思ってたけどね、今じゃ旦那にとってはたいした苦労でも無いって事が分かったけど…」
「盛り上がっている所悪いけど買いたい物もあるんだ先にそれをいいか?」
2人揃ってこちらを見て意味ありげな顔をしたので話を先に進めさせてもらった。
「そりゃここは武器屋なんだから死にたがりの馬鹿と身の程知らず意外は大歓迎だ。」
「ならこの前買った大型のクロスボウが2張りとトレントの弓に見合う弦、後は矢があるだけ欲しいけど何本あるかな。
それとミスリルの武器が欲しいんだけどこの店にあるミスリル武器の種類って何があります?」
「お、ミスリル武器まで約束通り買ってくれんのか景気が良いな。
矢は街の防衛のためにも少しは残しておかなきゃならんから売れても500までだな、弦はアースタイガーの腱を使った弦が手に入ったからあれなら強度は十分だろう。
クロスボウはそこにあるのでいいとしてうちにあるミスリルの武器は剣と槍だな、あとはツルハシとナイフがあるがこれは武器じゃないな。」
「鉄じゃ掘れないような岩があるのか?」
「そりゃ硬い岩盤もあるが掘れるにしても鉄じゃ時間がかかりすぎる様な所に使う様だな。
ミスリルやらの魔法鉱石って言っても量がそんなに多いわけじゃないから周りごと掘ればいいだけだから鉱夫で
モンスターが出るような場所で掘る時は早い方が安全だからって冒険者でたまに買う奴がいるんだよ。」
「この辺ってまだ鉱脈は見つかってませんよね?目星くらいは付いているんですか?」
「いやまだだな、これだけ山があって何も無いってことは無いだろうが魔物が多くて奥地は探せていないらしい。
だからもし山に行って赤茶けた石や崖に黒い線があったらギルドに伝えてくれ。」
「分かりました覚えておきます、それじゃ槍とナイフが欲しいのですがいくらになりますか?」
「ミスリルのナイフが金貨1枚、槍が金貨15枚、クロスボウが2本で銀貨6枚だ、槍を買ってくれるなら矢は全部おまけにしてやるよ。
ちなみにツルハシは金貨5枚だがいらないか?」
「前回来た時に買えなかった奴が言うことじゃありませんが思ったよりも安いですね。
それなら剣とツルハシも頂きます、剣も15枚ですか?」
「いや、剣は20枚だな武器で受けとめる事も多いから多めにミスリルを入れてるんだ。
逆にツルハシは先にしか入れてないからサイズの割に安くなってる、どっちも買ってくれるならクロスボウの分もまけて合計金貨41枚になるがどうする?」
「頂きます、それと戦斧も欲しいんですけどオーダーメイドって出来ますかね?」
「ミスリルでだよな?本気でオーダーメイドしたいなら鍛冶屋に行った方が良いが標準の物でいいならうちでもできるぞ。
戦斧だと刃の部分だけ混ぜることになるが後ろと先にツルハシと槍も付けるから金貨20枚は越えるな、注文するなら担保に金貨10枚かかるがそれでいいなら受け付けるぞ。」
「分かりました、なら戦斧を4本お願いします。
刃は通常の物と同じサイズでいいんですが柄の長さだけ1.5mにして下さい。」
「4本!?どんだけ頼むんだよ、速くても2週間はかかるがいいか?」
「はい大丈夫です、合計金貨81枚ですよね。」
「お、おう。ネヴェアお前すげぇ所に買われたな。」
「だろ、でもこんなのほんの一角なんだぜ。」
「そいつはすげぇな、これからもうちをご贔屓に頼みますよ旦那。
届いたら念話を飛ばすからこの割符を忘れないでくれ、多分4本で差額金貨60枚くらいになると思うが本当に大丈夫か?」
「金は大丈夫。念話が繋がらないこともあるかも知れないから念話するなら夜の方がいいかも知れない。」
「繋がらない?まぁ繋がらなかったら違う日にまた念話するだけだからいいけどな。
そういや俺は噂で知ってたが名乗ってなかったなデクスというよろしくな。」
「俺はショートです、よろしくお願いします。」
「おう、よろしくな有名人。」
自己紹介を済ませて次の買い物のために店を出る。
散財し過ぎて金貨がもう10枚ほどしか残っていないが上級ポーションもあるし焦る必要は無い。
ゴールドランクの依頼では2週間で稼ぐのは難しそうだけど41階の素材があれば1日で稼ぐ事もできそうだ。
トロールとワイバーンの素材はしばらくは自重するとしてトレントやラヴァタートルなど金になりそうなモンスターはまだいるのだ。
まずはアリバイ代わりに山に行く依頼でも受けて数日街を離れる事にしよう。
ついでだから陽光の花を見てから行ける西の湖の先に行ってみようかな。
さすがに10枚を切ることはなかったが雑貨や着替えなどでさらに散財をして宿に戻ると3人と別れてから冒険者ギルドに行って依頼を探す。
ゴールドの依頼に山の植物や魔物の分布を調べる依頼があったので丁度いいのでこれを受けて明日向かうことにしよう。
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