70 45階層へ
夕食後に魔素が貯まっていたので部屋の拡張をしてからダンジョンの45階攻略を始める。
「45階のモンスターはトレントがでてくるそうだ。
使ってくる魔法はアースカッターの他にダークボールも使ってくるらしい。
甘い香りを嗅ぐと軽い魅了状態にかかることがあるらしいから注意してくれ。」
鼻栓は持っていないので一応マスク代わりのタオルを全員に渡して鼻を覆ってからダンジョンへ入る。
45階に足を踏み入れると香水のような甘い香りが充満しておりタオルの上からでも美味しそうな香りが感じられる。
通路を進んでいくとダンジョンには生えていない木が3本生えていた。
大人2人でようやく抱えられるほどの太い幹をしているがダンジョンの天井が低いので先端の方がぶつかって折れ曲がってしまっている。
根っこが地面に広がってはいるが床を掘ることは出来ないので完全に露出していた。
シルフがウインドカノンで1匹目をへし折ると余波の突風で他の2匹も床に転んでしまった。
根を必死に動かして立とうとしているが上側の枝のほうが重くそもそもの高さが足りないため斜めの状態からは戻れないらしい。
ランス系の魔法が突き刺さり幹に大きな傷を作り、特にスカラのフレイムランスが刺さると燃え上り火を消そうとトレントが必死に自身の体を叩いて消化する。
このまま魔法だけで戦っても倒せそうだけど近接組も接近して武器で戦う。
剣や槍では効果が薄いがゴブリン達はポールアックスを振り回し太い枝や根を切り払いつつ本体にも傷を付けていく。
2体目は魔法で集中攻撃されてへし折れ、3体目は枝と根を払われて丸裸になり斧で伐採された。
トレント達のそれぞれが太い枝を落としたので色々と装備を作れそうだ。
エルジーが弓を使えるそうなので弦を用意すれば作れるし俺のクロスボウも更新出来る。
魔素を貯めるためにバンシーも倒しているので魔法の杖も作れるだろう。
ナイフを作ったので殆ど残っていないがサンドワームの牙と合わせて刃は短いが槍も作れるかも知れない。
トレント素材は街でも高額の納品依頼があったほどの有能素材なので色々と作れる物が多いな。
魔法にだけ気を付ければ難易度が低いのも良いところだ、幹が手に入らないのは残念だがこのサイズの枝なら十分色々と作れるだろう。
戦闘時間はそこそこにかかるものの3匹でも楽々と倒せるので見かけたトレントを全て倒しながら階層を攻略する。
3時間ほどで階段を見つける事が出来たがその前に久しぶりにモンスターカードが出現した。
「トレントかぁデカい上に足も遅いしどうしようかなぁ。」
「準備部屋でなら飼えるのでは無いですか?以前トレントの実が食べてみたいと言っておりましたし精霊の実も美味しゅうございました。」
なるほどフェリの言う通り戦闘に連れて行くのはともかく飼うだけなら別に問題無いのか。
準備部屋は確か床を花壇や畑にする事も出来たしいいかも知れない。
実を作るのに受粉が必要な場合は困るが呼び出して聞いてみればいいだろう。
この世界でも美味しいと有名な食べ物には興味があるし決まりだな。
部屋の拡張はやらないといけないが2回拡張するには15万ポイント必要か、今のペースなら3日あれば貯められるだろう、床を畑に変えるのも千ポイントで出来る。
「よし、トレントは準備部屋に植林することにしよう。
どのくらい実が作れるのか分からないけど美味いのが食えるといいな。」
「たくさん採れるようなら売るのもいいかも知れません、王都では1つ銀貨1枚くらいになったと思いますわ。
辺境でどのくらい売れるかは分かりませんが領主か商人達は買ってくれるでしょう。」
「リンゴみたいに沢山生ったら売れるかも知れないけど木が1本じゃ自分達で食べる分で無くなるんじゃないか?」
「トレントの実は薬の材料になりますので余るようでしたら売るよりこちらに回していただけると助かります。」
「薬?上級ポーションみたいに高く売れるのか?」
「いえ、材料が高いのでそこそこの値段はしますけど上級ポーションほどではなくて高くても銀貨十枚くらいでしょうか?
高熱や流行り病、産後の体調が悪い方に効く栄養剤の様な物なのですが結構効果が高くて妊娠した方へのお祝いなどで結構需要があるんですよね。
きちんと涼しい所に仕舞っておけば数年持ちますし保存もきくんです。
トレントの実と薬草を強いお酒に漬けて作るので味を好んで水やお酒で割って飲む方もいらっしゃるんだそうです。」
「なるほど高熱はこれだけ人数がいれば掛かる人も出るだろうし常備薬にしてもいいな、考えておこう。」
薬酒のたぐいの様だけどポーションなんて物があるこの世界で効果が高いと言われているなら効能は期待できる。
インフルエンザなどの感染症に限らず食中毒の脱水症状なんかにも効くかも知れないし上級ポーションと一緒に常備しておきたい。
準備部屋を拡張するまで呼び出せないけど楽しみが増えたな。
早ければ明日の夕方にはレオゲンに到着する予定だったけど夕方に到着しても何も出来ないし移動は午後からだけにしておくか。
翌朝ダンジョンの46階を攻略するために集まってもらい説明を始める。
「46階のモンスターはトロールだ、デカい人型のモンスターで力が強いらしいから掴まれたりすると危険らしいから気を付けてくれ。
使ってくる魔法はウォーターカッターが使えるらしいけどほとんど使って来る事が無いらしい。」
トロールといえばデカくて馬鹿力で頭が悪い怪物としてよく描かれて、手足を切ってもすぐに生えてくる事もあるがこのダンジョンでは幸いなことにそこまで早く再生することは無さそうだ。
トレントも再生を持っていたけど根っこをすべて切り落として動けなくすることが出来たしな。
通路を進むと身長4mはありそうな緑色の太った巨人が棍棒を持って2匹で佇んでいた。
こちらを見つけると壁に棍棒をぶつけながら興奮した様子で走って近づいて来る。
先頭を走っていたトロールがウインドカノンを腹に受けて後方に吹き飛び、残った1体の顔を魔法で狙う。
トロールはクロスさせて頭を守った腕をズタズタにされながらも防ぐとクルスに向かって棍棒を振り下ろした。
斜めにした盾で上手く受け流すと斧をトロールの脛に打ち付け、隙をついてダリアとインキュが槍を突き刺す。
近接組が攻撃を仕掛けるが相手の身長が高すぎて足しか狙えないが、ゴブリン達の攻撃でアキレス腱を切られて立ち上がれなくなった。
床に手をついて体を支えるため顔を守る余裕を失った隙を見逃す事無くトラッドのウインドランスが頭を貫く事で倒すことが出来た。
驚いたのは最初にカノンで吹き飛んでいったトロールが未だに生きていた事だ腹部を半分以上失った状態で意識を失ってはいるが粒子になること無く倒れていた。
再生スキルの力は思っていたよりもすごいのかも知れない、寝ているトロールにトドメを刺して落とした皮を荷車に乗せる。
トロールの皮は丈夫さは大した事は無いがとにかく大きくて色々と加工が出来そうだ。
丈夫じゃないと言ってもプラチナランク以上のモンスターなので売却すればかなりの値段になるだろう。
今は作りたい物も思いつかないので冒険者ギルドに持って行ってみようかな。
3時間ほどで階段を見つけることが出来たので少し遅い昼食を取ってアーラと一緒に空に旅立った。
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