67 指名依頼終了

 ゲートを通って外に出ると倒されたモンスター達で小山が出来ていたのでホムンクルス達に指示を出して急いで鉱石を取り出してもらう。


 スケルトンナイトが2匹倒されていたが無事に依頼は完遂出来たようだ。

 高位の死霊は思ったより細かい指示を聞いてくれることが分かったしこれから先も使っていけそうだ、ゴーレムと相性が悪いのが不安ではあるが壁役のホムンクルスも増えたしそこまで必要でも無いんだけど。

 全力で強化してもラヴァタートルには噛み砕かれたし大型の敵に合わせて大きくするのは相性が良くない気がする、大きさがないと注目が集められないけど毎回破壊されてたんじゃMPの回復が間に合わないので硬さを優先して突っ込ませる方がいいかも知れないな。



「解体が終わりました…」


「鉱石はいくつあった?50個あれば帰れるんだけど。」


「鉱石は128個、モンスターは計156匹いましたがすべて討伐部位の回収を終わっています…」


「早いな、というか解体中にも追加が来たとはいえ3時間でそんなに倒せるんだな。」



 もうゴーストで呼び込んだりもしていないがたまにこちらに近付いてくるだけでもそこそこの数が来た。

 遠くに見えるだけでもまだ数十匹の魔物が見えるので湖の中心にトルネードを撃ち込んだらいい経験値になりそうだ、巻き上げられる物体がどうなるか考えると絶対にするわけにはいかないけど。

 魔物を減らすことが目的の指名依頼だったけど100匹倒しても全然魔物が減ってる気がしないしもっと違う解決方法が必要なんじゃないだろうか。

 とにかく依頼分が集まったのならこんな所さっさと離れよう。




 王都に戻り臭いがついてないか気にしながら受付で報告をする。



「お疲れさまでした、ずいぶん沢山倒して来てくださったんですね。」


「ええ、思ったよりたくさん居まして早めに帰って来れました。」


「浄化湖の様子はどうでしたか、目に入る範囲でどのくらい魔物が残っていましたでしょうか?」


「中心の方にはまだ100以上はいたと思いますけど近くにいて向かってくる奴はすべて倒しました。」



 本当は一周して浄化湖からあふれている魔物の討伐する依頼なのかも知れないが一箇所でしか倒して無い、問題が起きても依頼書には一周しろとは書かれてはいないし逃げるが勝ちだろう。



「そうですか、少し数が増えているかも知れませんね。

 確認出来ました指名依頼料が銀貨40枚、常設依頼分が銅貨48枚になります。

 討伐数を大幅に超えて討伐していただいた事を勘案して評価を上げさせて頂きます。

 ショート様とネヴェア様のランクをゴールドに、フェリシティ様とジュリア様をシルバーに、エルジー様ベル様シエナ様をブロンズにランクアップさせて頂きます。」


**********

ランク:ゴールド

名前:ショウト

パーティ:森猫の影

称号:精力絶倫

テイム:淫魔、シャドーキャット、セイントスカラベ

賞罰:なし

**********

ランク:ゴールド

名前:ネヴェア

パーティ:森猫の影

賞罰:なし

**********

ランク:シルバー

名前:フェリシティ

パーティ:森猫の影

称号:木精霊の加護

賞罰:なし

**********

ランク:シルバー

名前:ジュリア

パーティ:森猫の影

賞罰:なし

**********

ランク:ブロンズ

名前:エルジー

パーティ:森猫の影

称号:風精霊の加護

賞罰:なし

**********

ランク:ブロンズ

名前:ベル

パーティ:森猫の影

賞罰:なし

**********

ランク:ブロンズ

名前:シエナ

パーティ:森猫の影

賞罰:なし

**********


「はい、更新が完了致しました。また指名依頼があった場合はよろしくお願いします。」


「明日には王都を離れるのでまぁ機会があったら考えてみます。」


「そうでしたか、では新たな場所でのご活躍をお祈りしております。」



 冒険者ギルドを出て逃げるようにそのまま王都を出るとレオゲンの街へ戻るために東へ向かう。

 すでに日が暮れているため門が見えなくなった所で準備部屋に入り夕食を食べる。

 食休みをしたらダンジョンの43階に踏み込むが敵が土属性なので風精霊のシルフ共々エルジーもベラと一緒にお留守番だ。



「43階のモンスターはサンドワームだ、ヘビやミミズの様な体で地面を掘って突然襲って来るモンスターらしいがダンジョンの壁や床は掘れないので地上を這って移動しているらしい。

 使ってくる魔法はアースカッターだが巨体を使った薙ぎ払いのほうが怖いそうだ。

 飲み込まれたり潰されないように十分注意するように。」



 準備中にゴーレムを2mの大きさで強度を増やして呼んでおき回復したらMPを750使って死霊魔法でレイスを呼び出す。

 使用MPは多いがダークランスを使える魔法型の死霊なので今のうちのパーティに丁度いい。

 MPを千使えばもっと強力な死霊も喚べるんだけど近接物理型で今回の戦闘には合わないんじゃ無いかと思ってレイスにしてみた。


 43階に入り最初に出会ったのは運良く1匹でいるサンドワームだった。

 物語では地中から突然現れて人や馬を丸呑みにする恐ろしい生物として描かれているがこのダンジョンではヘビのように床を移動している。

 ただ巨体だけは物語通りで20mはありそうな巨体をうねうねと動かしこちらに向かってきた。

 あんなデカい魔物に近くで暴れられたら堪ったものじゃないので魔法で倒せたらいいんだけど。


 下がりながら魔法を撃つがまだ入口に近いので限界がある、幸い相手の移動速度は早くないので3発づつ魔法は撃つことは出来たがまだまだ元気そうだ。

 というか定期的に床に頭を打ち付け噛み付いているのは地面に潜ろうとしているのだろうか?

 近接組は暴れまわるサンドワームを恐れること無く近付いて武器を振り下ろす。

 身体強化スキルのおかげか人間が動けない様な速度で飛び退きサンドワームの大ぶりの攻撃を見事に躱していた。

 体の大きさに比べれば小さい傷を無数に付けられ徐々に弱ってはいっているが一向に脳や心臓などの弱点が見つからない。

 10分以上戦いついには全身をズタズタにされて根負けしたサンドワームが動かなくなって粒子へと変わっていく。



「弱点とかなんか見つけた人はいる?」


「グギャ!」



 リリが何か伝えようと口を指差して斧を横に何度も振り回してからこちらを見るがなるほど、分からん。



「何か見つけたのならいいか、無理して巻き込まれないように気を付けてな。」


「ギャッ!」



 正直トルネードを撃ち込んでしまいたいくらいデカくて生命力が強い相手だったが生憎属性が合わなくてダメージが期待出来ない。

 レベルの低いエルジーが敵から逃げられるのかという不安もあるし今回は連れては来れないだろう。

 トラッドがウォーターランスを覚えて相性に問題が無くなったとはいえ、やはり土属性は頭一つ抜けて強い気がする。


 次に出会ったサンドワーム2匹の群れには最初の魔法を撃ち込むのは変わらなかったが正面に立つのはゴブリン達に変わり、大盾を持った二人は左右に回って対峙した。

 鞭の様な横ぶりの攻撃を盾で受け止め、噛み付きにゴーレムが口の中から口が閉じないように押さえ付ける。

 余計な重りがついて動きの鈍った1体の口に向かってゴブリン達が武器を食らわせ口角を切り裂くと首を振るたびに傷が広がる様になった。

 傷が広がり口が閉じれなくなるとサンドワームは動かなくなり消えていった。

 良くわからないが顎が外れて呼吸困難にでもなったのだろうか?

 リリの狙い通りなのかは分からないが作戦が功を奏したおかげで大分時間が短縮出来た。

 クルスが相手をしていた残る1匹も同じ様に倒すことが出来たので攻略法を見つけたと言っていいだろう。

 サンドワームの岩を削れる歯にゴーレムが耐えられる強度を持っているため出し直さなくていいし効率がいい。


 2匹目のサンドワームが落とした素材の牙は岩を削る強度は持つが大きさ的に剣には短く矢にするには大きい微妙なサイズで数十本の歯が並んでいたにも関わらず落としたのは1本だけであった。

 ナイフには加工できるようなので剥ぎ取り用のナイフを更新しようかな。


 戦闘に時間がかかり5時間も掛けてようやく階段を見つけて準備部屋に戻る。

 難易度に素材の価値も見合わないし二度と来ない階層かも知れない…

 日付も変わりこれ以上は起きているのが辛いので明日ついに飛行モンスターをテイムして空の旅と洒落込むとしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る