65 指名依頼
翌朝、準備を整えてエルジー達の冒険者登録をしに受付へと向かう。
「エルジー、ベラ、シエラの冒険者登録とパーティ申請をお願いします。」
「承知致しました、このカードにお名前をお書き下さい。」
「はい、できました。」
「ありがとうございます、パーティですが余り人数が多くなられますと評価が上がりにくくなったりしますのでお気をつけ下さい。
臨時パーティなどもありますし処理の問題で1パーティ10人までにしていただけると助かります。
一応20人までは処理できますがそこまで増やすのならいっその事ギルドを作っていただければ50人でも100人でも処理出来ますのでそちらを利用していただければよろしいかと。」
「ギルドを作るには何か条件がありますか?」
「はい、拠点となるギルドハウスの所有とギルドマスターがゴールドランク以上が条件となっております。
本来シルバーランクで10人を越える人数が必要な依頼が無いので珍しいことですがこれからも人数を増やす予定なのでしたらショート様はそろそろゴールドランクになることが出来そうですので先を見て準備されるのもよろしいかと思います。」
拠点というと王都に買わないと行けないのだろうか?
辺境でもいいなら作れるけどギルド用の大きな依頼とか持って来られても困るし悩みどころだ。
「拠点は王都に買わないといけないのですか?他にも利点がありますか?」
「利点と言えるかは分かりませんが評価の高いギルドにはギルド向けの依頼が出される事があります。
それ故どの街に拠点を作られても問題ありませんが依頼主が多い場所のほうが多くの依頼を受けることが出来ると思います。
念話で離れた街から依頼が来ることもございますが基本的には拠点のある街からの依頼がほとんどになるはずです。」
「なるほどギルドの掲示板にある物以外の依頼が受けられるんですね、拠点を買う資金も必要ですし考えてみます。」
「よろしくお願い致します。それではこちらが新しい冒険者カードとなりますので無くさないようお気をつけ下さい。」
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ランク:アイアン
名前:エルジー
パーティ:森猫の影
称号:風精霊の加護
賞罰:なし
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ランク:アイアン
名前:ベル
パーティ:森猫の影
賞罰:なし
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ランク:アイアン
名前:シエナ
パーティ:森猫の影
賞罰:なし
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「ありがとうございました。」
カードを受け取り受付を離れようとすると隣の受注受付の方から声をかけられた。
「お待ち下さい、森猫の影に指名依頼が入っておりますので受注受付までお越しください。」
「指名依頼?」
用事が終わったので帰ろうと思ったのだが仕方がない、列に並んで話を聞きに行こう。
ランクが低い時は滅多に無いと聞いたんだけど欲しい素材でもあるんだろうか?やりたいことがあるからあまり受けたくはないので納品して終わる依頼だといいんだけど。
「こちらが森猫の影への指名依頼となります、内容は王都の東にある浄化湖にいる魔物の数を減らすことです。
アシッドスラッグやボムフロッグなど強さの割に面倒な相手が多くシルバーランクのパーティへの依頼になっております。
依頼料は銀貨40枚で討伐証明は魔物の体内にある鉱石を50個になります。
倒しても鉱石を持っていない魔物がいたり他の地域から入ってきた魔物も出ますがそちらは通常の常設依頼として処理いたしますので通常の討伐証明をお持ち下さい。」
「シルバーのパーティに依頼するには依頼料が安すぎませんか?」
「こちらの依頼は街から近いため依頼料は安めになっていますが国からの依頼のためその分評価を高くしていますのでショート様なら成功すればゴールドランクに昇格させていただきます。」
どれくらい魔物が出るのか行ったことも無いから1日で終わるかも分からないし東にある浄化湖ということは地図を見るに王都の下水が集まる湖のことだろう。
王都の西と東に人工の物と思われる四角い湖が1つづつあり西側が山に近いので東が下流のはずだし出来れば近付きたくない。
「依頼料も安いし王都は来たばかりで討伐部位も分かりませんし今回はお断りします。」
「ちょっとなんでよ!国からの指名依頼って言ってるでしょ断れるわけ無いじゃない!」
横から突然以前問題を起こした受付嬢が口を挟んできた。
「いや、強制依頼があるのは聞いてるけど今回のは緊急性もないし強制じゃないだろ?
俺にも予定があるしよく知らない依頼を受ける必要も無いんだから問題ないだろ。」
「それがそうでも無いんです、国からの依頼は断られるとさすがにギルドとしても困るので断れはするのですが評価が下げられる事になります。
そこまで大きく下げられるわけでは無いのですがクルスさんとダリアさんがシルバーに上がったばかりなので評価が下げられると降格ということになります。」
「あーつまりまたゴールドランクの依頼が受けられなくなるということですか…」
「そういうことよ!分かったならさっさと浄化湖に行ってらっしゃい!」
「はぁ、お黙りなさいあなたはもう一度新人教育のやり直しです。こっちにいらっしゃい。」
「ちょっと離して!腕はそっちの方向には曲がらないから!痛いってば!」
裏から出てきた少し年上の女性にあっという間に拘束されてニ階へ運ばれていった。
しかし2人のランクが下がるとなると話は別だな、レオゲンでは片道3日の依頼しかシルバーランクの依頼がないしもう一回上げるとなると少し時間がかかる。
「この依頼って普段は何日くらいかかるものなんですか?」
「皆さん1日で終わらせて来ますよ。浄化湖を一周すると丁度終わるくらいの量なので。」
「そうですか、では依頼を受けてさっさと終わらせてきます。」
「ありがとうございます、正直受けていただいて本当に助かります。貴族関連は本当に大変なので…」
依頼の受注を済ませて王都の南門から街の外に出て城壁から出ている川沿いに東へ移動する。
辺りには悪臭が漂っているので川が見えるギリギリの距離を歩いてはいるが風向きが変わると臭ってくるので気が滅入ってくる。
昼頃に浄化湖に辿り着き遠目に確認すると大きなナメクジやカエルがかなりの数確認できる。
倒す相手を確認できたので途中で覚えたとっておきのスキルを使用して依頼を片付けてしまおう。
「ゴースト召喚!スケルトンナイト召喚!
ゴーストはあのアシッドスラッグとボムフロッグをスケルトンナイトの所まで連れてこい、スケルトンナイトは近づいてきたモンスターを倒して倒した後体内の鉱石を取り出して集めておけ。」
死霊魔法でゴーストとスケルトンナイトを複数召喚して指示を出し送り出す。
死霊魔法はMPの最大値を使ってモンスターを喚び出し使役するスキルでモンスターカードと違ってゴーレムのように使い捨てが出来て便利なのだが消費MPが優秀なモンスターほど多くなるので全MPを使って何を何体呼び出すかが難しい。
今回はMPを50使用するゴーストを3匹と100使用するスケルトンナイトを10匹喚び出して様子を見る。
もっと強いモンスターでもいいと思うけど素材の回収も出来ないと行けないからなぁ。
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死霊魔法
スケルトンやゴーストなどの死霊系のモンスターを呼び出す魔法。
魂や死体は必要が無いが召喚し続けるために常に魔力を消費し続ける。
強力な魔物を前触れ無く召喚出来るためこのスキルの所持者は警戒が必要とされている。
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様子を見ているとゴーストが魔法を使って呼び集めて順調にモンスターは倒せている様だ。
ただし鉱石の取り出しは苦労しているので手伝いの人員を出したいところではあるがホムンクルスをここに残すのも忍びないし死体だけ集めておいてもらえればいいかな。
ダンジョンのように消えてしまうわけじゃないし時間を開けなければ大丈夫だろう。
ここはスケルトン達に任せて俺はダンジョンの攻略に行かせてもらうとしよう。
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