64 4人目のホムンクルス

 ホムンクルスを作るために魔素を確認すると部屋の拡張に9万使ってもまだ25万ポイントも貯まっていた。

 ホムンクルスの胚で1万、薬術を覚えさせるのに5万、ダンジョンの41階以降へ行くための鍵を買うために10万ポイントを使って残り9万。

 動けるようになったフェリに攻撃方法がないのでアースランスを覚えさせておこう。

 土精霊の加護もあるし土の魔石を使った杖と頭飾りを装備させたら土属性のスペシャリストになれるかも知れない。



「シルフ、頼みがあるんだがいいかな。」


「なあに?人間の言うことなんて聞く必要もないんだけどエルジーの主人らしいし出してくれた恩もあるから聞いてあげてもいいけど。」


「それは助かる、シルフの髪の毛を1本もらうことは出来ないかな?対価としてこの風属性の魔石と交換でどうかな。」



 ホムンクルスの素材に精霊の素材が使えないかと思いシルフに交渉を持ちかけてみる。



「う~ん閉じ込められてて魔力が減ってるから魔石はとっても欲しいんだけど精霊の体って本体から切り離されると魔力になって消えちゃうのよね。

 渡せるとしたら精霊の実くらいなんだけどそれじゃダメよね?」



 精霊の実か、普通の甘さのは食べたことはないし木精霊の時は試さなかったけどホムンクルスにも使えるかも知れないし試してみるか。

 精霊の実と精霊の加護は関係無いらしいがもし手に入るなら儲けものだしな。



「それなら精霊の実をもらえるか、甘さは普通で頼むよ前にドライアドに貰った時はいたずらで砂糖の塊を食べているようだったんだ。」


「なにそれ面白そう!」


「いや、本当に勘弁してくれ。あれは人間が食べれる甘さじゃないから。」



 しぶしぶ渡してきた実を早速使ってみるとモンスターの素材としてちゃんと認識してくれた。

 木精霊の時はこれがモンスターの素材だとは思いつかなかったが勿体無かったかな?



「さすがにこれを食べても加護はもらえないよな?」


「そんな簡単にあげるわけ無いじゃない、それに私の加護はもうエルジーに与えてあるから他の誰かに渡す気はないわ。」



 風属性の加護がもらえるならトラッドに一口食べさせようかと思ったけれどそうはいかない様だ。

 ホムンクルスの核を作るのに必要な量は4分の一ほどで十分だったので一口づつになるがみんなで味わう事にした。

 グレープフルーツの様な酸味とベリー系を混ぜてかすかにミルクを入れたような味わいの風精霊の実は味を感じるも後を引くのも早く思わず次の実を口に入れそうになる。

 なるほど、これは確かに美味しい。地球で競りに出したら間違いなく何百万もつく事だろう。

 エルジーが契約している限り魔石さえ用意すれば定期的にこれを食べさせてくれるのならシルフの価値は天井知らずになりそうだ。


 肝心のホムンクルスはのきねぇさんとエルジーとシルフの遺伝子で夢の巨乳エルフを作り出す。

 少し緑が入った色合いをした明るい茶髪と茶色の瞳に見る人が見ればのきねぇさんだと分かるが、ややエルフよりの顔付きをした20歳くらいの女性を核を投げて呼び出だしシエナと名付ける。



「お前の名前はシエナだ、薬術を覚えさせるからこの本を読んで勉強してエルジーから作業を習え。

 休憩と睡眠は好きに取っていいがダンジョンに行ける時はレベルを上げるために夜は狩りについて行け。」



 丁度帰ってきたゴブリン達を見てゴゴとボボを一時的に新人2人に貸し出そうと思って振り向くと青ざめた顔で凍りついていた。

 第6感でもあるのかシルフだけは逃げることが出来た様子でエルシーの腹付近から顔だけ出してキョロキョロと周囲をうかがっていた。


 2人のレベルはとりあえず30まで上げて召喚獣は回収することにした。

 これから41階から先を進んで行く場合にパーティが分けられないと俺、ネヴェア、フェリ、エルジー、ベラの5人で魔素を分け合う事になるため5分の1しか手に入らなくなるのだ。

 シエナはレベルを上げ続けたいのでさっさと目標まで上げてパーティメンバーの人間を減らしておきたかった。


 41階以上に連れて行くにはまだ心配ではあるので新人2人は置いて試しに行ってみる事にした。




「41階に出るのはウォーターサラマンダーという体高3m近いデカいトカゲだ。

 ウォーターカッターの魔法を使ってくるので炎のブレスレットを忘れないように。

 ランスよりも威力は無いが範囲が広くて避けづらい、それから全身から出ている粘液で滑りやすいから近づくときには注意するように。」



 久しぶりにネットで調べた内容をパーティに共有し感覚を思い出す。

 ゲートを通りダンジョンに入ると40階までより少し広いいつもの通路が現れた、今まで変わらなかった天井の高さも変わりゴブリンが思いっきりジャンプしてもポールアックスが天井に届かなくなってしまった。目的である飛行モンスターを倒すのが面倒になりそうだな。


 通路を進むとバカでかいサンショウウオが道を塞いでいた。

 確かにサラマンダーと呼ぶけどもちょっと精霊っぽい奴だと思ってただけに残念だ。

 粘液でギトギトしていて乗れもしないし最近まったくモンスターカードが出ていないけどこいつはいらないかな。。。

 取り敢えずゴーレムに先行させて抑えさせて魔法で相手をする事にした。

 顔に当たった4種のランス系魔法が突き刺さりダークハンマー2発が視界を塞ぎ、その場で暴れ出したウォーターサラマンダーにゴーレムが抱き着く。

 顔を狙える様に体に抱きついたゴーレムだったがぬかるみに足を取られて盛大にすっ転んだ。

 2発目の魔法を受けてまだ暴れながらも徐々に近づいて来るウォーターサラマンダーを見て諦めて近接攻撃を解禁した。

 撒き散らされた粘液を踏まないように出来るだけ離れて攻撃したり魔法を撃ったりしてどうにか4発目の魔法を当てて敵を倒す事に成功した。

 骨が硬く肉を切ってもまるで効果が見られなかったが脳の位置さえ分かれば次はもっと簡単に倒してくれるだろう。

 横に広い顔をしている癖に脳が中心に無いうえに小さいのは卑怯じゃないか。

 尻尾を合わせて5mはありそうな体長と同じくらいの幅をした顔の端にある右目の上に空いた穴に灰色の物体が見えたのでおそらくあれが脳だろう。

 中央付近を狙ってたんじゃ絶対倒せなかったな、こんなのが最大3匹も来て道を塞いで暴れるのは中々に恐ろしい。

 ゴーレムも近づくと転けるだけなので大きめに出して遠目に抑えるだけにして攻撃はさせなくても良さそうだ。

 それでもバジリスクよりは動きも遅いし戦いやすいから後は硬い頭蓋骨を上手く貫ければ効率よく倒して行けるだろう。


 次に出会ったウォーターサラマンダー2匹は先頭をゴーレムが邪魔をしているせいで後ろが前に出れなくなったので、先に前にいるウォーターサラマンダーに魔法を当てた後にゴブリン達で骨を破壊する事ができ早々に倒すことは出来た。

 粘液だらけの道に行きたくなかったので後退して前に出てくるのを待ったのだけど死体を乗り越えられずに結局魔法を撃ってくるだけになって動かなくなった。

 ウォーターカッターもゴーレムに当たるだけでこちらに被害は無かったので1体目が消え去ってから戦うことにした。

 最大3匹と聞いていたのでどう戦うか悩んでいたが横にデカすぎて1体づつしか戦えないとは思わなかった。

 粘液の上で戦う事になった近接組は転ぶわ踏まれるわで大変そうであまり火力にはならず、一度倒れたゴーレムは危ないので四つん這いで動いてもらったのだが振り降ろしは十分ダメージを与えられている気がする。

 近接組が不甲斐ない中魔法組の活躍で無事に倒すことが出来はできたのだが倒した後も残っている粘液の中を進まないと行けないのが嫌すぎる、体を支えるために壁に手をつきたいのに壁も粘液塗れなんだもんな。


 落とす素材はウォーターサラマンダーの肉で焼いたり煮たりして食べることも出来るが淫魔の体液やオークの睾丸と合わせる事でより強く滋養強壮、精力回復が出来る薬が作れるようだ。

 睾丸は持っていないけど体液と合わせるだけで十分な効果があるみたいなので後で作って試してみよう。




 どうしても戦闘時間が伸びてしまうため4時間かけてようやく次の階段を発見することができた。

 大型のモンスターはやっぱり効率が悪いよなレベル上げにも使え無さそうだし41階以降にも倒しやすい場所があるといいんだけど。

 飛行モンスターは44階に出現するので明日、明後日がんばって進めばテイムしに行ける。

 明日は冒険者ギルドで登録をしてから王都を離れよう、あんまり王都の近くから飛び立って騒ぎになっても悪いしな。

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