50 オーク村依頼報告
街道を北に進むと小さな村に着いた、柵に囲われているおかげでオークから襲撃されることも無かったようだ。
本来ならここに泊まって翌日馬車で半日かけてレオゲンの街へ向かうのだろうが宿で泊まる必要がないのでそのまま通り過ぎて歩き続ける。
きちんと固められている街道を通っているとやっぱり馬が欲しいなー、クルスとダリアさらにネヴェアの分も考えるとカードは無理だし準備部屋で普通に飼うか?スライムグミで馬も飼えたらいいんだけどな。
「お、帰ってきたってことは無事にオークの村は退治できたのか?」
「ええ、上位種も村にいたのは全部倒せましたよ。」
「ありがとよ、顔見知りの馬車も襲われてよ本人は帰って来れたが…誰も連れていないって事は攫われた人達はダメだったか。」
「残念ですがすでに殺された後でした…」
「ま、お前の責任じゃない。遺品でも残っていればいいがなそれもな。
よし、通っていいぞ。」
「ありがとうございます。」
初めて会った衛兵の人だったんだが俺の事を知っていたらしい、まあ犯罪者やらの人相の共有が仕事なんだしこんな分かりやすいメンツじゃすぐに分かるか。
そして遺品か、金目のものは持ってきたが服や髪束なんかもあったほうが良かったかも知れない。
その辺は冒険者ギルドがやってくれると思うので俺は報告して貴重品を提出するだけでいいはずだが。
初めて通る南門からの道は東や北よりも道が広く宿屋や商店が多くて屋台の数が少ない。
あちこちに停められている馬車から荷物を下ろして店に運び込んでいる。
門側から宿、食事、雑貨、服と似た店が固まっているのは客の取り合いになるんじゃないだろうか?
途中で武器や防具を売っている所があったから後で行ってみよう。
見知った道を通り冒険者ギルドに入ると依頼完了受付に向かう。
「オーク村の討伐が完了したんですがどうしたらいいですか?」
「はい、こちらにオークに討伐証明をお出し下さい。」
「あー数の確認である程度把握する感じなんですね。」
「そうですね、別途他の方に依頼して最終確認をする場合もありますが今回の場合はオークの数が減ればいいので討伐証明で十分です。
合計58匹ですね。依頼完了ですありがとうございました。」
「オークの村にあった装飾品とかはどうすればいいですか?」
「ギルドに預けていただければ査定をして買取希望者とこちらで交渉させていただきます。少しお安くなってしまいますが個人で交渉するよりは面倒はありませんよ。
ちなみに攫われていた方々の方はどうでしたか…?」
「あー攫われた人で生き残りはいませんでした遺体の方も荒らされないようにまとめて燃やしましたね。装飾品の交渉はお任せします。」
「そうでしたか、分かりましたお預かりします。
お預かり期間1ヶ月が立ちましたら残ったものをお返しいたしますのでこの札と交換願います、半年間交換されませんとギルドの方で処分されますのでお気をつけ下さい。」
「了解です、忘れないよう気を付けます。」
「はい、指名依頼料金貨1枚と銀貨20枚、睾丸58体分が銀貨29枚です。
オークの睾丸は買い取り依頼が増えているのでその分価格に色が着いております。」
「確認しました、ありがとう。」
「また何かありましたらよろしくお願い致します。」
報酬を受け取って次は買い取りカウンターへ向かう。
「オークの買い取りお願いします。」
「おう、例の大量に持ってくるって言ってたやつか、ちなみに何体だ?」
「58だそうですね。」
「そらここに出されると困るな、倉庫の方に頼むわ。こっちだ。」
裏口から出て井戸を挟んで反対側の倉庫に入る、すでに解体中の物がいくつかあり塊が天井からぶら下がるフックに吊るされている。
解体作業をしている数人のスタッフに向けて買い取りカウンターの職員が声を掛けた。
「おい、お前ら!よろこべ大口が入ったから今日は徹夜だ!」
「ぎゃー!」
「まじかよこの間あったばかりじゃねぇか!」
「一体何処のどいつだ!ここに連れて来やがれ説教してやる!」
絶叫とともに怒声が響き渡り机を殴りつける音が聞こえた。
「おう、こいつだ。獲物はオーク58体だそうだ。」
「58!?どうやって持って来たんだ?」
「サキュバス?てことはまた淫魔の主かよ、てめぇいい加減にしろよ!」
「やめとけよ、触れるだけで男女問わずイかせるらしいぞ社会的に殺されたいのか。」
「まじか、そんな事されたら一生酒場に行けなくなっちまう。」
腕を捲くって近づいて来る男を止めてくれたのはいいが何か噂が勝手に強化されているようだ。そんな事をした覚えはないぞ、それが出来るのは俺じゃなくて淫魔の方だ。
「この壁際に積んでくれや。」
「はいはい、了解です。」
ゴブリン達が出せないので女性陣だけ働かせる訳にはいかずがんばってペアになってオークを運ぶ。
レベルのおかげで重さは何とも無いのだけど血と内蔵を捨てても100kgを
これを部位ごとにバラして商人の馬車まで運ばされるこの人達がブチ切れるのも納得だな。やはり強いモンスターを数匹狩って来るように変えた方が良さそうだ。
「お前が持ってくる素材は妙に綺麗だな?こっちも楽だからいいがわざわざ洗う必要は無いからな。
ほれこの札を受付に持っていけ。」
「大丈夫です手間がかかってる訳じゃないので。」
「そうか?ならいいがな。前にも言ったがたまになら数も気にしなくていいぞ腐った物を持ってきてるわけじゃないしな。」
「ありがとうございます。」
貰った札を換金するために依頼完了受付に再び並ぶ。
「これお願いします。」
「はい、確認します。
オーク58体の素材とゴブリンの常設依頼で合わせて銀貨30枚と銅貨25枚になります。」
「確認しました、ありがとう。」
流石シルバーがパーティで受けるだけあって中々いい稼ぎになったんじゃないだろうか。
掲示板を一通り見たが納品できそうな物も無いので上級ポーション関連の依頼書だけ確認する、花を5本で金貨1枚だったので確かに報酬はいいな。
まぁ俺はランクが足りないし製作魔法で何本使うか分からないから受けないけど。
ギルドを出てから準備部屋に入りネヴェアに声を掛ける。
「ネヴェア武器屋とか行きたいんだけど案内してくれ。」
「あいよ、と言ってもあたしは目利きなんて出来ないから先に言っておくよ。」
「簡易鑑定のメガネがあるし変なものを掴むことはないだろ、相場が分かるだけでも十分だ。
フェリは何か買って欲しい物はあるか?」
「欲しいものですか?本が読みたいですが手が無いですし、読み聞かせまでお姉様にして頂くのも悪いですわ。
そうですわね何か甘い物でもあると嬉しいですわ、グミ以外の…」
「甘い物はこっちじゃ高そうだから明日にでも買って来るから期待しててくれ。貴族でも食えないお菓子を食わせてやるよ。
本はこの文字は読めるか?」
そう言ってからスマホに電子書籍を表示してフェリに見せる。
「残念ながら読めませんわね…ショート様のお国の言葉ですの?」
「そうだ、となると動画がいいかな、これは聞き取れるか?」
今度は動画サイトの映像を見せてみる。
「大丈夫ですわ、ショート様と同じく口の動きが合っていませんが言葉は理解できますわね。」
「なるほど、ボニータこの画面のここを触ってみてくれ。」
ボニータが体をほんの少し細くして画面に触れるとホーム画面にあったアプリが起動した。
触手を生やして操作出来れば最良だったがこれでもボニータに命令して画面を操作したら暇つぶしができそうだ。
フェリとボニータに簡単な使い方を教えてスマホをベッドの上に置く。
検索は出来なくても巡回していれば何か面白い動画に行き着くだろう、幸い海外の言葉も翻訳されるようだ。
明日タブレットと倒れにくい台座も買うとしよう。
「それじゃこれでも見ててくれ、待たせたなネヴェア買い物に出かけようか。」
「これくらい待ったうちに入らないさ、後であたしも見せてもらうよ。」
「ああ、後で好きに見ると良い。」
ゲートを通り武器屋があった道へ向かうがもう3時を過ぎているしゆっくりは見れないかも知れないな。
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